【岩林誠(いわばやしまこと) 経歴】
四街道市役所シティセールス推進課長。J-PHONE/ボーダフォン宣伝部、I&S BBDO(広告代理店)、はるやま商事マーケティング部等でのマネジメントを経て、四街道市初めての民間出身管理職として現職。
(記事提供=シティプロモーション超入門)
前回はシティプロモーションに関する既存施策についてその考え方を示しましたが、今回は新規施策の導入についてお話したいと思います。
多くの地方自治体では、シティプロモーション部門の歴史は10年も経過していないものと思われます。私の勤務する四街道市でもようやく5年目を迎えているところです。
そのような状況は、悪くいうと不安定で未成熟ですが、ポジティブにみれば新しいことにチャレンジできる可能性が広がっているということです。ですので、できる限り後者のような考え方で施策の立案に臨むべきだと思います。
もちろん、徒に失敗することは好ましくはありませんが、トライアンドエラーというように、試みて失敗することもあります。しかし、それを恐れて手をこまねいているよりは、できる限りリスク回避はしながらも、積極的に新しいことに取り組むことが、中長期的にみれば、シティプロモーション(=ブランディングの一部)の発展にも有効であると思われます。
新規施策といっても、もちろん戦略に沿って施策の立案を行います。ただし「認知度向上」「交流人口増加」を目的とするということだと、大くくりすぎるので、シティプロモーション施策に着地させるには、もう少し細かい設定をする必要があります。それは、シティプロモーション活動によって、どのような成果(最近の行政の流行言葉だとアウトカム)を引き出したいかということです。成果目標は次のように整理してみるといいでしょう。
- 期待するパーセプション(知覚=心理変容)
- 期待するアクション(行動変容)
つまり、シティプロモーション活動をおこなった結果として、どのような気持ちになってほしいか(心理変容)、あるいは、どのような行動をしてほしいか(行動変容)ということです。
たとえば、心理変容の例でいえば、
- 「○○○市に行ってみようと思った」
- 「○○○市は子育て施策が充実していることを知った」
- 「○○○市は見どころがたくさんあることを知った」
というようなことを目標にします。
また、行動変容の例ならば、シティプロモーションの結果として、
- 「○○○市の恒例イベントに初めて参加した」
- 「○○○市のウェブサイトで観光地を検索した」
- 「○○○市で初めて買い物をした」
というようなことを行動の目標として設定するわけです。
「認知度向上」という大きなことを目標にしてしまうと、施策は「なんでもアリ」になってしまいますが、上述のような目標設定をすれば、一度街に来てもらうきっかけづくりをしよう、子育て施策について集中して告知しよう、ウェブサイトで観光地を積極的に告知しよう、検索された時に検索結果に出やすくなるようにしよう、などという施策の方向性が見いだせるわけです。
少し長くなってきたので、目標と対(つい)となる効果測定と施策設定の関係については次回とします。
まとめ
- シティプロモーション活動として新しいことに積極的にチャレンジしてみよう
- 施策の成果目標は、戦略に則り設定する
- 成果目標として、期待するパーセプション(心理変容)、期待するアクション(行動変容)を設定してみよう
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