コラム

シティプロモーションは、行政にとっての「打ち出の小槌」なのか?

岩林誠6

【岩林誠(いわばやしまこと) 経歴】
四街道市役所シティセールス推進課長。J-PHONE/ボーダフォン宣伝部、I&S BBDO(広告代理店)、はるやま商事マーケティング部等でのマネジメントを経て、四街道市初めての民間出身管理職として現職。

(記事提供=シティプロモーション超入門 )

 私事になるが、2015年の秋、私が四街道市のシティセールス推進課長というポストに着任するときに初めて「シティセールス」という言葉を知った。私自身は広告代理店勤務も長く、事業会社でもずっと宣伝や広報に携わってきたので、マーケティングコミュニケーションやコーポレートコミュニケーションにはそれなりに通じていると思っていたが、それでも「シティセールス」という言葉は知らなかった。広告代理店時代も地方自治体をクライアントとして担当していなかったことも理由のひとつだったかもしれない。

 着任後、ざっと調べてみると、自治体のコミュニケーションやプロモーションを担当している部門名として「シティプロモーション」、あるいは「シティセールス」という和製英語が多用され始めていることを知った。

 私が働く四街道市でも、シティセールスは「魅力発信」と「魅力づくり(地域づくり)」というふたつのドメインでの活動がミッションとなっている。なるほど、シティセールスとは、単に「広報」の言い換えだけでもなさそうだ。少なくとも既存の要素を発信するだけでなく、新たな魅力を創造することも求められているのだと理解した。

 入所してみると、さらに驚いたことに「魅力発信」を担当するグループでは、広報活動のほかに広聴事業がある(平成30年4月に事務分掌が変更され、他課に移行された)。まあ、これはわからなくもない。「発信すること」と市民の声を「聴くこと」が一緒になっているのは、ある意味理に適っている。ただし、民間企業ではCS(顧客満足度を向上させる業務、組織によってはコールセンター等顧客接点の運営業務を指す)関連業務と広報業務は同一組織では取り扱わないことが多い。

 イベント事業も業務範疇か。これももちろんわかる。国際交流事業も担当。これもグローバルコミュニケーションという意味ではわからなくもない。なかなか幅広い。

 加えて「魅力づくり(地域づくり)」を担当するグループでは、主として市民協働事業をマネージしているが、市民参加手続に関する管理業務も担当している。市民協働に関する事業は、主に市内の市民に対するコミュニケーションや市民活動の支援しているが、市民参加手続に関しては、庁内の事業執行時の法的な手続きの進捗管理であり、いわゆるシティプロモーションとはやや色彩が異なっている。とにかく、さほど多くはない課員の割にはマネージする業務領域が広いなぁという印象。

 そんなことも手伝ってか、「市の魅力」に関する新しい事業の話が出てくると「それはシティセールスの仕事?」と言われることも時々ある。つまり、市役所のなか(庁内)でも「シティセールスは何をするところ?」と思われている節があった。

 他の自治体ではどうなのだろうか。自然にそのような疑問が浮かんだ。

 少し自分で調べてみたり、セミナーなどに参加してみると、「シティプロモーションは何をする部門なのか?」「シティプロモーションとはどこまでの仕事を指すのか?」という同様の課題に直面している自治体が少なくないということもわかってきた。

 それでは各自治体の事務分掌ではどうなっているか。シティプロモーション部門を有する自治体の事務分掌を眺めてみると、ここでも事務項目のひとつとして「シティプロモーションに関すること」などと記述されていることが多い。マトリョーシカではないが、開けてみても結局シティプロモーションの実体の謎は解けずじまい。

 どうも、「シティプロモーション」とはある種の「ブラックボックス」化、振ると何か魅力的なものが現れてきそうな「打出の小槌」化している部分もありそうだ。悩ましい。

 私なりの現在の結論を述べてしまうと、行政で言うところの「シティプロモーション」「シティセールス」は、民間企業では「広報」「宣伝」「セールスプロモーション」がやはり近い。あるいは「マーケティング」や「ブランドマネジメント」の一部役割に近いということがわかってきた。つまり、意外に多岐にわたっている。

 シティプロモーション、シティセールスの業務範疇のわかりにくさ、組織内部、外部からも指摘される若干の理解しにくさは、この名称にも課題があるように思える。

 やはり「名は体を表す」。

 組織名やプロジェクト名について再考しながら、改めてシティプロモーション部門のミッションを改めて整理してみるのも、シティプロモーション部門の黎明期には必要な作業であるだろう。

 それから、言い忘れたが、ここでは「シティプロモーション」と「シティセールス」という名刺、呼称は特に区別なく用いることにしたい。厳密には「プロモーション」と「セールス」は、部門名、事業名としては全く異なるものであるが、多くの自治体を見る限りでは大きな差異なく用いられているという実態に即し、同様の意味として取り扱いたい。

 ただし、私なりの解釈で言うならば、シティプロモーション部門やシティセールス部門の業務内容を見る限りにおいては、「プロモーション」という単語の方が実態に近い。そのため、代表制の高い名称としては「シティプロモーション」を便宜上、標準としていきたい。

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