【岩林誠(いわばやしまこと) 経歴】
四街道市役所シティセールス推進課長。J-PHONE/ボーダフォン宣伝部、I&S BBDO(広告代理店)、はるやま商事マーケティング部等でのマネジメントを経て、四街道市初めての民間出身管理職として現職。
(記事提供=シティプロモーション超入門)
シティプロモーションの目的や目標を定めていくためには、その目的や目標設定が正しい道筋にあるのかを見極める必要があります。前述しましたが、たとえば「定住人口の増加」は果たしてシティプロモーション部門で実現できるものなのかどうかも検証する必要があります。もし定住人口の増加を目的とするならば、定住地を決定させる機動要因(ドライバー)はなんであるのかを見つけ出す必要があります。
家族構成、勤務地からの距離、通学地からの距離、地価、仕事の有無、保育園(待機児童の有無、行政の子育て支援政策)などの子育て環境、住宅環境、自然環境、公園の有無、街のイメージ等々、数多くの要素が関係しているはずです。しかし、そのすべてをシティプロモーション部門がコントロールしうるのか、逆にシティプロモーション部門が担えるのはどの要素であるのかを正しく見極める必要があります。
シティプロモーション部門が担う領域が定まったところで、適切な目標を設定します。そのためにはその道筋(シチズンジャーニー=市外に居住する人が転居してきてくれる意志決定経路)がどのようになっているのかを分析します。たとえば、街の認知向上、既存居住者の定住意向向上がシティプロモーションの目的だとしたら、その目標値(KPI)を定めます。逆にその実現を拒む要因は何なのかも同時に見つけ出します(図参照)。
四街道市の場合は、千葉県内、東京都において、やはり市名の認知率が低く、注力している子育て施策に対する理解度も低い状況にありますが、すでに居住している市民の定住意向は高いため、図のように認識過程の入り口部分がボトルネックになっているような状況です。ですので、既存市民の良好な街への評価をいかに市外の人々に波及させるかが課題となっています。
目標を定めるに当たっては、今自分たちはどこに立っているのかを確認することが大切です。つまりベンチマーク(基準点)を知るということです。それには定量調査や定性調査などのマーケティングリサーチを行なうのが適切な方法でしょう。以前に比べれば、今はインターネット調査も劇的に安価になってきているので積極的に試みてみるべきです。現在の市の認知率は何%なのか、定住意向率は何%なのか、各自治体ともコミュニケーション関係のデータや愛着度に関するデータは意外に持ち合わせていない場合が多いので、事業執行の確認のためにも独自で調査することをオススメします。
そして、施策を実施した後には、その目標とするKPIに対する実績値の推移を追跡していくトラッキング調査(追跡調査)を行うことを推奨します。調査の周期はKPIの内容と考え方によりますが、認知率や定住意向率などは短期間では大きな変動はないため、2年から3年周期でいいでしょう。つまり、定点観測していくということです。民間企業では「ブランドヘルス調査」と呼ぶこともあります。ブランドの健康診断ということです。健康診断では様々な数値の推移をみることが大切なはずです。同様に街に対する市民の意識や知覚状況を定期的に把握していくことがシティプロモーションの健康維持にも欠かせないということです。
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