【岩林誠(いわばやしまこと) 経歴】
四街道市役所シティセールス推進課長。J-PHONE/ボーダフォン宣伝部、I&S BBDO(広告代理店)、はるやま商事マーケティング部等でのマネジメントを経て、四街道市初めての民間出身管理職として現職。
(記事提供=シティプロモーション超入門)
現状分析の方法はいろいろありますが、民間企業では当たり前のように行っているSWOT分析を行政にも適用してみることをお勧めします。
行政の場合は、よくいわれるように「縦割り」組織ですので、総合的な視点での分析は、政策企画部門でしか行わないかもしれませんが、時には広い視点で町全体を対象として分析するのもいいでしょう。もちろん、自分の部門を中心とした見方でもいいと思います。
SWOTは「スウォット」と呼んでいます。マーケティングに関する本やサイトでは十分説明されているので、ご存知の方も多いかもしれませんが、ざっと説明しておきます。
SWOTは分析項目である、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Occasion(機会)、Threat(脅威)の頭文字です。大きく分けると、この4つはまた2つに分類できます。Strength(強み)、Weakness(弱み)は組織の内部環境に関すること、また、Occasion(機会)、Threat(脅威)は外部環境に関することです。四街道市について4年前に行った私のSWOT分析は図の通りです。
図を大まかにまとめると、このようなところです。
- 強み(S)・・・一度住むと定住意向が高めなこと(内部環境)
- 弱み(W)・・・ニュースの少なさ、知名度の低さ(内部環境)
- 機会(O)・・・千葉県内はいまだに人口増加が続いていること(外部環境)
- 脅威(T)・・・人気の近隣市や東京への人口集中(外部環境)
このような分析ができると、おのずから課題が見えてきます。
- 定住意向の高さ、評価を生かす必要があること
- ニュースの発信数を増やす必要があること
- 県全体の人口増加基調を有効に生かす必要があること
- 人気ある周辺市町村との差別化を図る必要があること
民間の外資系企業などでは、SWOTではなく、Pros / Cons(プロスアンドコンス、略してプロコンなどともいう)もよく使います。この場合は、SWOTのように4分類ではなく、長所(Pros)と短所(Cons)の2分類で要素を切り分けるということです。
SWOTにせよPros / Consにせよ共通しているのは、強い点と弱い点をどう扱うかということを考察、認識するということです。さらに一歩進めると、次のような選択肢が見いだせるはずです。
- 強み↑:弱み↓・・・強いところをさらに強め、同時に弱みをなくしていく
- 強み↑:弱み→・・・強いところをさらに強め、弱みはそのままにしておく
- 強み→:弱み↓・・・強みは維持しながら、弱みだけ改善させていく
現実の戦略立案はこのような単純な図式ではないものの、模式図として考えても、このような選択肢があるということです。
四街道市に照らしてもわかりますが、ニュースが少ないという弱点は、市行政の話題を再発見して、プレスリリースを増加させるなどの工夫によって改善することができますが、知名度が低いという部分については、大きな広報費や宣伝費があるわけではありませんので、直接的に改善しきれるものではありません。
こういった強みと弱みの発見と、できること/できないことの見極め、それから各要因の因果関係などを考察したうえで、戦略的な取り組みの取捨選択、優先順位を決定していく必要があります。
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