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総務省消防庁コラム1

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女性職員の活躍推進を目指して ~後方支援訓練とアンケート調査を実施~[さいたま市消防局]

(記事提供=総務省消防庁 広報誌『消防の動き』

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1 緊急消防援助隊埼玉県大隊
   合同訓練について

 緊急消防援助隊の実績として、平成31年4月1日現在で38件の多種多様な災害に出動しています。埼玉県としては、平成15年9月に発生した出光興産北海道製油所原油貯蔵タンク火災に対応する泡消火薬剤搬送に始まり、救助活動としては平成16年の新潟・福島豪雨、新潟県中越地震、平成20年の岩手・宮城内陸地震、平成23年の東日本大震災、平成25年の台風第26号による伊豆大島の災害、平成27年関東・東北豪雨、平成29年栃木県那須町雪崩事故など、8件の災害に出動しています。
 このような災害実績が増えていく中、平成31年2月25日(月)・26日(火)の2日間で、埼玉スタジアム2○○2(さいたま市緑区)において、埼玉県大隊としての対応・連携力の強化及び後方支援体制の強化を目的とし、緊急消防援助隊埼玉県大隊合同訓練を実施しました。本訓練では、現在後方支援小隊として登録している消防本部や新規増隊を検討している消防本部から男性94名、現職務に関係なく訓練参加を希望する女性65名、合計159名の県内全消防本部が参加しました。(県内女性消防吏員316名(平成30年4月1日現在)の内、約20%の参加率。)
 各種資機材の説明を受け、消防本部の垣根を超えながら男女混合で協力し合い、テント設営や給食資機材、照明資機材等を準備し、野営することで埼玉県大隊として一丸とならなければならない後方支援を実災害のイメージを膨らませながら行いました。

訓練に参加する女性隊員

訓練に参加する女性隊員

リフトアップテントの設営①

リフトアップテントの設営①

リフトアップテントの設営②

リフトアップテントの設営②

2 女性消防吏員の活躍推進に向けて

 「消防本部における女性消防吏員の更なる活躍に向けた取組の推進について(平成27年7月29日付け消防消第146号消防庁次長通知)」が発出され、全国の消防本部では、消防吏員に占める女性消防吏員の比率を5%に引き上げる他、適材適所を原則とした女性消防吏員の職域拡大など、女性消防吏員の登用拡大に向けて各種取り組みをしているところです。
 しかしながら、女性消防吏員による緊急消防援助隊の派遣については、資機材や衛生面等の問題により派遣実績が極めて少ないのが現状です。
 このような背景から、本訓練では県内の女性消防吏員に訓練参加を積極的に促し、参加者に対してアンケート調査(31項目)を行い、女性自らが広域応援に対する必要資機材や体制のあり方について意見・課題等を抽出しました。
 今回はその一部を抜粋して紹介します。

エアテントの設営

エアテントの設営

①テント内で着替えた場合はどうか。
 (着替えていない場合は着替えた場合を想像して回答)

①テント内で着替えた場合はどうか。(着替えていない場合は着替えた場合を想像して回答)

≪意見≫
・他の消防本部の女性がテント内で着替えをしていたが、出入口から着替えをしている姿が外に見える場合があるため出入口にパーテーションを設けた方が良い。
・同性同士であっても着替えについて気になる人もいると思うので、配慮が必要だと感じた。
・下着などを着替える際は、同性同士でも、身体的特徴など、見られることに抵抗がある人がいるのではないか。更衣用にワンタッチ式の小さいテントが幾つかあれば良かった。

エアテントの内部

エアテントの内部

②テントは、異性と分けるべきか。

②テントは、異性と分けるべきか。

≪意見≫
・異性とテントを分けた方がお互いリラックスできる。
・ある程度女性の人数が集まっているのであればよいが女性が一人しかいない場合、その一人のためにわざわざ1張設営するとなると資機材、手間も増えるので、そこまでして女性を派遣する必要があるのか・・・というところに行きつく。
・女性隊員が着替える際には、男性隊員はテント外に出て警護にあたることや支援車を活用するなどの配慮をすれば問題ないと思う。
・異性間での問題が起きる前に、しっかりとテントを分けるべきだと思う。

③食事量はどうか。(主食)

③食事量はどうか。(主食)

≪意見≫
・少なく感じ、副食が必要だった。
・活動隊として派遣された部隊だとすると副食がないと足りないと感じた。

④衛生面で気になるところはあるか。

④衛生面で気になるところはあるか。

≪意見≫
・食事の際の手洗いや消毒があったほうが良い。
・女性職員は、生理の時は衛生面で不安を感じると思う。
・長期間に渡って宿営を続ける場合の(交代を含め)毛布やベッド、テント内の衛生管理が気になった。個人的にシュラフ内に敷く保温性のあるシートを用意して、毛布やシュラフを汚さないよう配慮した。

⑤簡易トイレで用を足すことができるか。

⑤簡易トイレで用を足すことができるか。

≪意見≫
・男女別であれば可能。
・男女を別にすることや男女の簡易トイレを離れた場所に設置するなどの配慮が必要になると思う。
・自衛隊のようにトイレ専用車があると助かる。
・生理の場合同じトイレで用を足すとなると出血の点で抵抗が生じるため、数が少なくても良いので女性専用の簡易トイレはあった方が良いのではないかと思う。

⑥女性隊員が訓練参加したことで、活動の幅が広がったと感じたことはあるか。

6女性隊員が訓練参加したことで、活動の幅が広がったと感じたことはあるか。

≪意見≫
・後方支援隊の活動は、男女関係なく活動ができると感じた。
・後方支援の活動は、女性の繊細さ・気配りがあればよりよい活動になると思った。
・実際の活動において男女の差はあまりないと思う。経験することが大切だと感じた。
・女性だけで設営が可能だと感じた箇所が多くあったため、活動の幅が広がったと感じた。
・女性が訓練参加することで、どこまでのことが出来るのかということが参加した女性本人だけではなく、男性にも理解してもらうことが出来たと思う。
・男性同士よりも女性同士の方が気を遣わなくてはならないことも増えるので、こういった活動を行う場面での「女性躍進」は、それほど求められていないと思う。

夕食であるレトルトのカレーと米

夕食であるレトルトのカレーと米

⑦今回の訓練は、1日のみであったが不安に思ったことはあるか。
 また5日間以上の派遣となった場合さらに不安に思うことはあるか。

⑦今回の訓練は1日のみであったが不安に思ったことはあるか

≪意見≫
・長期の派遣の場合、衛生面(トイレ等)について不安を感じた。また、飲料水の確保も重要だと感じた。
・大規模災害等でも女性が現場の最前線で活動すべきだと思っていたが、活動するには女性用の資器材を揃える大変さや女性ならではの問題を身に染みて感じ、女性1人が派遣されるだけで多くの問題が発生するのだと思うと、いざ派遣されるとなると不安になった。
・正直、女性がいた場合、男性の仕事量が間違いなく増えると感じる。ただし、女性ならではの気遣い等も必要な場合があるとは思う。

⑧今回の訓練で派遣に不安が解消されたか。

⑧今回の訓練で派遣に不安が解消されたか。

≪意見≫
・訓練を通じ全体的な動きが把握できた。
・資機材の取り扱い等の研修を重ね、取り扱いに熟知していれば、後方支援隊としては女性でも活動できると感じられた。自分の所属にはない資機材であっても、指示できる人がいて、協力し合えばできると思った。
・災害は季節等含め多種多様なため、不安がなくなることはないと思う。ただイメージは沸いたと感じたので、対策はできる。
・緊急消防援助隊自身が被災者のようにならないためにも長期滞在が可能な設備等(シャワー等)を整える必要がある。

⑨男性は女性に対し、女性は男性に対し何に気を遣ったか(配慮したか)
・女性だから・・・と区別されるのは嫌なので、足手まといにならぬよう、男性と同じように活動できるよう心掛けた。
・女性は、男性に気を遣われないように気を付け、活動していた。
・重量物の移動や高い位置の作業で手が届かない時などに、協力することを心掛けた。

⑩今回の訓練で一番大変だったこと(きつかったこと)は何か。
・寒さで寝付けなかったため、暖を取る方法をもっと準備しておくべきだった。月経期間中等はより一層、自身の体調管理に気を付けなければならないと思った。
・テント内の寒さ対策、および夜間のトイレ。(出入りには、テントのファスナー開閉が必要でこれに伴う音や風がテント内に入る為、大変気をつかう。)

 今後は、これらの意見を参考に、同訓練を継続して実施するとともに、緊急消防援助隊埼玉県大隊後方支援中隊として機能強化(女性消防吏員の派遣を含む)するために後方支援活動要領等の作成に繋げてまいります。

夜間ミーティングも男女混同で行われた

夜間ミーティングも男女混同で行われた

今回訓練に参加した159名(埼玉スタジアム2○○2)

今回訓練に参加した159名(埼玉スタジアム2○○2)

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