[記事提供=旬刊旅行新聞]
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森会長が、やっと辞任まで漕ぎついた。あの女性差別発言は国難だった。
あ~、それにしても、世界経済フォーラムが2019年12月に発表した各国の女性差別度を査定するジェンダーギャップ国際ランキングの日本の位置は121位だよ。
僕はこのコラムでも再三、あらゆる業界での女性進出について言及してきたつもりだ。10年も前に提唱されたトウェルブ・サーティ(20年には日本の組織で女性管理職が30%を超えるようにしよう、という運動)がむしろ後退していることに苦言を呈したし、ホテル旅館や外食産業のパーティーなどでの女性の数の少なさにうんざりだと指摘もしてきた。
翻って、我が観光・飲食業界からのこの一件についての反応がさっぱり聞こえてこない。我関せず、なのだろうか?
全旅連、日本旅館協会、日本ホテル協会、JF(日本フードサービス協会)などの公的組織が女性差別問題にこれをきっかけに本格的な改革姿勢を示してもいいのでは。
これからは女性の会長、理事長なども積極的に登用し、新しい風を吹かせたく思います、くらいのステートメントがあっていいように思う。
コロナで閉塞している状況に女性の力をたっぷり借りて、風穴を開けるんだ、という力強い姿勢を社会に示すと、世間に好感されると思う。
まして、女性の活動領域が多いサービス産業、女性大ウェルカム。協会レベルでも女性をどんどん増やしていくくらいのことを言ってのけてほしいと切に思うのだ。
それにしても、後任の川淵さん選びもねえ。
やめる人が後継指名をするというのはルール違反でしょう。それに、この委員会のメンバーは肩書の軽重に関わりなく遠慮すべきだろう。懐かしい用語だが、昔の「ボス交」の匂いが漂う。
実際、アフターコロナで女性の雇用、活用は不可欠だと思う。
女将さんという旅館業界特有の職位でも、それは飾り物ではなく、
①顧客サービスの最前線の接点役
②従業員全体をまとめる教育者
③若い従業員には良き相談相手で母親、姉さん役
④料理や全体のホスピタリティレベルをキープするスーパーバイザー(監督・助言者)役
⑤コミュニティや業界へのソーシャルコンタクト役――の5役だろう。
この中で、いちばん欠けているのが、この⑤の社会の中での位置づけではないか。業界トップに「女の身でなにができる」という本音が見え隠れする雰囲気を僕も感じないわけではなかった。
くどいようだが、女性活用が大事というなら、まずこのあたりから声を上げてほしいものだ。
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