『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2020』、9人目の受賞者の紹介です。
寺本 英仁さん(島根県邑南町 商工観光課 課長)
推薦者1:盛田 昌彦 (鹿部町 町長)
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
人材育成「耕すシェフ」や「0円起業」制度を確立。「全国A級グルメのまち連合」設立。
推薦文
彼の心の奥底には、故郷が消滅するという、恐怖にも似た強い危機感がある。彼の鬼気迫る行動力は間違いなく、祖母をはじめとする家族愛と熱狂するほどの地域愛なのだ。
これが、私がはじめて彼と会い感じたことだ。
NHKの番組「プロフェショナル・仕事の流儀」で「地方公務員」で初めて取り上げられたのが、寺本英仁氏である。私が彼を知ったのも当番組であった。町づくりで悩み、相談した知人が偶然、彼を紹介してくれた。私はすぐに邑南町へ飛んだ、歳も血液型も同じであることを知り、痛烈な親しみと尊敬の念を抱いた。
彼が住む島根県邑南町は人口1万人、高齢化率44%の過疎の町で、「食と農」をキーワードにイタリアンレストランを町が主体となり立ち上げ、フランスレストランガイド ゴ・エ・ミヨに掲載されるまでとなった。いつの日か邑南町は「 A級グルメのまち」として全国にその名を轟かせるまでとなった。
邑南町は、食材もつくり、料理もする「耕すシェフ」の研修制度を創設し、10年間で44人の料理人を受けいれ、町立の食の学校等で3年間研修を実施し、7件の飲食店の起業を実現した。また、町内にこの10年間で23件の飲食店が増加するまでとなった。
近隣の市町村が過疎化に伴い、飲食店が激減している中、地産地消の飲食店が立ち上がり、若手料理人が地元農家を支援している。
また、地域の方々に出資、応援をしていただき、料理人は0円で起業をできる「0円起業」のスキームを確立させた。このような、住民を巻き込み本気にさせる取り組みが3年連続社会増と言う中山間地の奇跡を起こした。今、彼はこの邑南町のA級グルメの取り組みを全国に広げるために、本町も加入している「にっぽんA級(永久)グルメのまち連合」を全国5自治体で創設した。今後、このA級(永久)グルメの理念が全国へと広がることを漁師町の漁師の三男として切に願う。今、時代は地方だ!
推薦者2:清水 由美 (葛飾区役所 子育て支援課)
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
出身地である過疎の町でスーパー公務員として産業おこしに取り組み、総務省地域力創造アドバイザーに就任
推薦文
私の推薦する寺本さんは、ご自身の出身地での過疎化を食い止め、活性化させるためにご尽力されている熱意は並外れていて、逆境に対してもそのことをバネにして飛躍していかれる方であり、発想力の豊かさには本当に敬意を表します。
学生時代に学んでこられたノウハウを生かし、食と農を切り札に地産地消で町を盛り上げていこうと考え、「邑南町に食べに来てもらう施策:A級グルメ構想」を打ち出し、料理人を町で育成するために「耕すシェフ」などの制度を創設し、都会から料理人を呼び寄せ、一流の料理人に仕上げていく。そして、邑南町でお店を展開してもらう。そんな構想が功を奏して若者が都会から移住し、今や全国有数の「おいしい町」に生まれ変わらせた立役者なのです。そんな寺本さんは、「にっぽんA級(永久)グルメのまち連合」のアドバイザーとしてその心と手法を全国に広めていらっしゃるビレッジプライドをもった素晴らしい方です。
推薦者3:久次 恭子 (北広島町役場 財政政策課)
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
長く続けてきた取組がA級グルメ構想となり、さらに進化し続けている
推薦文
お隣の邑南町はA級グルメでいくらしいよ、と職場の先輩から聞いたのは10年くらい前の話だろうか。世の中ではB級グルメが流行っていた頃で、こんな田舎でA級グルメ??と思った記憶がある。それから何年か経ち、NHKのプロフェッショナルを見て寺本さんを知った。県は違うけれど、隣町にスーパー公務員がいるなんて!会ってみたいと思っていたら、A級グルメのディナーイベントでお会いすることができた。これ、うちの牛(ステーキ肉)。今朝も餌をあげてきたよ、という。元気な人だなあ…と驚いた。その日初めて会った私に翌日のイベントにも参加しない?と声をかけてくださった。臨機応変で柔軟性を感じた。
SNSでつながると、マメな発信、イベント時にはぜひ来てくださーい!の個別メッセージも。趣味の水中写真も全力で、美しい。SNSからはとにかく行動する日々が垣間見れる。
メディアに出ることも多く派手に見えるかもしれないが、ここまできたのはずっと行動してきたから、だと思う。これが何よりすごい。
公務員は目立たず黒子に徹するべきだという人もいる。私はどちらでもいいと思う。自分が得意な方でいいと思う。 表でも裏でもいい、失敗したら修正すればいい、とにかく動いてみよう、寺本さんはそう思わせてくれる人だ。
課長になられて議会対応等でお忙しく、あまり長くないとおっしゃっていた公務員生活、現場で地元で元気に走り続けてほしいので推薦します。
ちなみにそんなすごい寺本さんを支える奥様もまたすごいと思います。
推薦者4:安田 諒介 (米子市 財政課)
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
町営レストランの立ち上げの他、A級グルメ構想を基に他自治体とも連携して食と農の振興を行なっている点
推薦文
私が寺本さんを最初に拝見したのは、テレビ番組に出演されている姿でした。それも、なんとNHKの「プロフェッショナル〜仕事の流儀〜」。同番組に地方公務員が特集されることは初であったらしく、私は「自分と同じ地方公務員が、全国放送のドキュメンタリー番組で特集されることがあるんだ!」と、嬉しい気持ちになったのを覚えています。どうしたら番組で特集されるような人になれるのだろう?と思って居ても立ってもいられなくなった私は、直接寺本さんに話を聞こうと邑南町へ向かったのです。
寺本さんの第一印象は、とても明るくて心の垣根が全然ない人という感じ。おしゃべりがとても面白くて、ずっと話を聞いていても飽きない不思議な魅力を持った方でした。寺本さんは、ご自身の失敗などをユーモアを交えて話してくれて、最初はゲラゲラ笑って聞いていただけでしたが、よくよく聞くと尋常じゃない行動力と発想力と地元への愛を兼ね備えた人だということが分かってきました。道の駅みずほスタイル、町営レストランAjikura、A級グルメ構想など様々な立ち上げの中心として走り続けてこられたのですが、どれも普通の発想からは思いつかないようなものばかりでした。みずほスタイルでは当時それほど普及していなかったネット販売を積極的に取り入れ、Ajikuraでは地元でシェフを育てるために地域おこし協力隊制度を活用して財源と人材を確保。これだけでも寺本さんは尊敬に値する方なのですが、私が一番すごいと感じるのは、常に周りの人をやる気にさせて巻き込んでしまう寺本さんの人柄にあると思います。何より私も、寺本さんの活動を目にすると、いつも「自分も頑張らなくては」という気持ちにさせてもらうことが出来て、それこそが寺本さんの一番の魅力だと感じています。地元を愛する寺本さんのような方が本当の意味での地方公務員だという想いから、地方公務員アワードに推薦させて頂きました。
審査員のコメント
特産品をつくって盛り上げるという方法ではなく、人を育て、働く場をつくり、町の人たちが町の可能性を感じる素晴らしい地方創生に取り組んでおられる点。(大垣 弥生)
素敵な事業を興すだけでなく、好循環が継続するように設計されていることが素晴らしいと思います!(岡元 譲史)
非常にレベルの高い成果を出している点がすごい!(井上 純子)
地元のために何ができるかを考え次々とチャレンジされている。その発想力、行動力もズバ抜けて傑出している。
成功の裏にはいろいろあったと思うが、地元愛、覚悟、度胸、粘りもハンパない。また、これまでのまちづくりの取り組みをメディアや本で情報収集したあと邑生町を旅すると、そこにある物語が次々と頭に浮かび、旅が楽しくなるという新しいスタイルも確立した。(田中 弘樹)
「自分の地元にはなにもない」という方は多いですが、そこに次々と価値を見出し発展させていく活動には目を見張るものがあります。
いつか「A級グルメ」を食べにいってみたいです。(石塚 清香)
特別協賛社賞-電通CP塾賞
全国共通の課題でもある地域の高齢化・過疎化に対し、食と農をキーワードに、情熱をもって積極的に行動し、住民と一体となって取り組み続ける姿勢は、社会の課題解決を担う公務員を感化・善導する模範となるため
寺本 英仁さん、受賞おめでとうございます!
【地方公務員アワード2020 受賞者の推薦文はこちら】
①牧野浩樹さん ②福本靖さん ③同前嘉浩さん ④辻双九さん
⑤柘植良吾さん ⑥石塚浩司さん ⑦森田修平さん
⑧小川亮さん ⑨寺本英仁さん ⑩宮下智さん
⑪吉川牧人さん ⑫灰谷貴光さん ⑬河尻和佳子さん
『地方公務員アワード2020』全体発表はコチラ
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後援
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地域に飛び出す公務員を応援するために、60人を超える首長が参加。過去4回にわたって「地域に飛び出す公務員アウォード」を主宰。過去の受賞者プレゼンやサミットの内容はこちら。
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「社会の無関心を打破する」をミッションに、社会問題に関するスタディツアーを企画運営。地域住民向けにツアー企画スクールを開催し、外部事業者に頼ることのない、持続的な関係人口の創出に貢献しています。詳細はこちら
協賛
1979年より毎年、自治体職員を1年間、研修生として受け入れる研修制度「自治体等パブリックセクター年間研修受入制度」を実施。座学、OJT、フィールドワーク等で弊社の社員と共に働き、学び、帰任時には首長に自主提案を行う。観光や広報に限らず、幅広い分野部署で活躍できるプロデューサー人財の育成を目指す。
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プレスリリース配信サービス「PR TIMES」をはじめとして、企業とメディア、生活者をつなぐインターネットサービスを提供。利用企業数は4万社を超える。地域情報を流通させる為の枠組み作りも積極的に開拓しており、地方金融機関14行・8信金、地方メディア1媒体、地方自治体1府3市と提携している。(情報は2020年6月時点)
不動産・住宅情報サイト『LIFULL HOME'S』のノウハウを生かした全国版空き家バンク『LIFULL HOME’S 空き家バンク』の運営をはじめ、空き家問題を解決できる人材の育成を目的とした『空き家の相談員育成カレッジ』を開講するなど、空き家問題の解決や地域活性のための取り組みを行っている。
株式会社ホープが毎号7万部を発行する、全国の自治体職員向けの行政マガジン『ジチタイワークス』。地方自治体のさまざまな取り組みや実務レベルにおけるノウハウを共有し、仕事につながるヒントやアイデアを提供。全国の地方自治体の課題解決を強力に後押しする。
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『自治体通信』は、イシン株式会社が運営する、経営感覚をもって課題解決に取り組む自治体とそれをサポートする民間企業を紹介する情報誌です。全国のすべての都道府県市区町村に合計約28,000部を送付しています。先進自治体の具体的な取り組みをはじめ、自治体経営に役立つ情報をお届けします。
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