『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2020』、10人目の受賞者の紹介です。
宮下 智さん(群馬県 産業経済部労働政策課 係長)
推薦者1:岡田 淳志 (群馬県伊勢崎市 総務部職員課)
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
卓越した行動力と新しいリーダーシップのスタイルで公民連携を市町村の枠を超え、広域的に展開している点
推薦文
「行動が規格外で人を育てる達人」、宮下智氏はそのような人物である。
【行動範囲、活動範囲に枠がない】
地方自治法で県は「市町村を包括する広域の地方公共団体」と規定されているが、彼は広域で大活躍する、県職員である。商政課勤務時に市町村へのリノベーションまちづくりの導入などを仕掛け、そこで築いた広域的な人的ネットワークを基に、任意団体「base on the green team」を立ち上げ、伊勢崎市をはじめ、市町村の枠組みを超えて20回以上もマーケットを開催している。
また、公営競技である、伊勢崎オートレースの活性化にも10年前から取り組み、任意団体「伊勢崎オートレース部」の代表として、都内から女子のバスツアーを呼び込んだり、全国各地から訪れる若いファンのための交流拠点を場内に開設したりして、累計集客数は3000人を超える。
【人財育成のエキスパート】
さらに特筆すべきことは人を育てる、リーダーシップのスタイルである。それは自ら旗を掲げて、付いて来いというスタイルではなく、黒子として組織を導いていく、奉仕型のスタイルである。
一人ひとりの強みを大事にしており、例えばアイデア力、プレゼン力のある職員に対しては本人の考えを採用し、前面に出しつつ、裏で関係者と調整し、確実に実行できるようサポ―トしていくのである。このようなスタイルで現在も5つのチ-ムで多くのプロジェクトを進めながら、公民問わず、公民連携の担い手を30名ほど育成している。
特に県庁の若手職員からの信頼が厚いことからも、これからの公務員に求められるリーダーシップは何か、人財育成策とは何か、その一つを彼は行動で示しているのである。
これだけ活躍しながら、彼は自ら前面に出ようとはしない。そのことは彼の魅力の一つではあるが、一度はスポットライトを浴びてもらいたいと感じており、今回、推薦した次第である。
推薦者2:[連名]大橋 志帆 (太田市役所 沢野行政センター)黛 由紀子 (群馬県庁 産業経済部経営支援課)
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
公私両面で人を巻き込みながら活用されていない公共空間を公民連携で活用、その取組は他自治体にも普及
推薦文
前所属の商政課でまちづくりの仕事に出会い、H29年夏に庁内の政策提案チームを結成。民間団体との公民連携により普段活用されない群馬県庁前の芝生広場でナイトマルシェを開催し、県予算0円で約1000人来場を記録。任意団体「base on the project team」を立ち上げ、県内の普段賑わいの少ない駅前広場や公園で、様々な年代が集まるマルシェのイベントを仲間と20回以上仕掛けている。この取組を参考に新潟県庁でもR1年8月にナイトマルシェが開催された。
H31年4月、庁内の部局横断組織「官民連携まちづくり推進チーム(dot-project)」の立ち上げに関わる。チームとして発足とほぼ同時に県道の占用許可基準の40年ぶりの緩和を実行、地域団体がイベント等の際に簡単な手続きで道路を使えるようにした。県道を利用した公民連携のマーケット「歩道nite」等をチームで行い、普段人通りの少ない商店街等でも、公共空間をうまく活用して賑わいと経済循環を生み出す取組を行っている。
R2年3月に発足し自身も理事を務める「特定非営利活動法人自治経営」では、全国の公民連携事業実践者のネットワーク化や各地の取組支援を行う。
R2年4月からコロナ禍の緊急的な飲食支援として課外活動の「base on the project team」、業務の「官民連携まちづくりチーム」、更に庁内関係各課を巻き込み「県庁前キッチンベース」を13回開催(現在も週1継続中)。県庁前の広場に飲食店がキッチンカーを並べ、3密を避けつつ職員や県民向けにランチを販売。県内市役所にも展開する他、こうした取組を参考に千葉市、一関市、松江市等でもキッチンカーによる飲食店支援が広がっている。
公民連携のビジョンに共感する人を公私両面で巻き込み取組を成功させる実行力、実行した取組がモデルとなり他自治体に広がる影響力が「すごい!」ポイントだ。
推薦者3:根岸 舞子 (群馬県 障害政策課)
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
本業で成果を出しながら、働き方改革で捻出した時間を使って地域に貢献する姿は後輩職員の理想そのもの!
推薦文
庁内の若手職員勉強会の発足当初から活動のサポートをし続けてくれている先輩職員の一人が宮下さんです。勉強会には何度も講師として登壇し、特に「業務改善・働き方改革」について若手に刺激を与えてくれる存在です。同時に自身の地域活動に若手を巻き込み、地域とつながるきっかけも作っています。
宮下さんは本業においては早くから時差出勤やテレワークに取組み、過去にはサテライトオフィスでのテレワーク実施数県庁No.1にもなりました。係長でありながらそれが可能だったのは、起案の電子化を進め、日頃から係員と上手にコミュニケーションを取っているからです。先輩職員である宮下さんが、働き方改革により作った時間でプライベートの活動を充実させている姿を見て、モチベーションが上がっている若手職員はたくさんいます。
また、働き方改革をすすめつつ、本来業務でしっかり成果を出し続けているのも後輩の憧れポイントです。宮下さんは近年、若者の就職支援やまちづくり、障害者雇用について、次々と新規事業の立ち上げを行ってきました。例えば大学生のUターン促進のため、全国に先駆けて私服での就職相談会(Gターンカフェ)や大学との提携システムの構築を行ったほか、まちづくりではリノベーションスクールを市町村と開催し、県内に「補助金に頼らない持続可能なまちづくり」の考え方を広めてきました。現在担当の障害者雇用では、企業担当者が障害者雇用を本音で語りあうセミナーなども仕掛け、県内の障害者雇用率は毎年過去最高を記録しています。これらの取組は常に地元紙に取り上げられており、まさにジェネラリスト、本当に県庁職員としてお手本のような存在と言えます。
宮下さんのように、県職員としての理想の働き方を背中で示してくれる素晴らしい上司がいることを知って欲しい、そして、こんな上司がたくさんいてくれたら嬉しい。そんな思いで今回推薦させていただきました。
審査員のコメント
本業での実績、働き方改革の実践、プライベートでは地域に貢献する活動を続け、部下や後輩からの信頼も厚い点。
地方公務員のお手本だと思います。(大垣 弥生)
本業で結果を出し、後輩に希望を与えられるような働き方をする人が、より影響力を持つために、このアワードを活用してほしい。そんな想いを抱きました。(岡元 譲史)
広域自治体の職員でありながら、具体的なターゲットとフィールドを決めて活動を積み上げている点がすばらしく、本業での実績も残している。
また、人材育成にも意をもって取組み、組織内外、若手の人望もあるのも納得できる。(領家 誠)
特別協賛社賞-LIFULL賞
公共空間の活用を始めとした様々な取組みを自ら仕掛け・実行・継続されている成果と、市町村の枠を超え広域的に公民連携等の地域とのつながりを創出されている姿勢を高く評価します。
特別協賛社賞-ジチタイワークス賞
周囲の職員や市町村・企業を巻き込み実行できる「情熱」と「リーダーシップ」。これまで所属した多種多様な部署で成果を出す、畑違いの部署への異動が避けられない公務員に欠かせない「変革力」と「適応力」。若手職員勉強会の講師としても活躍される「育成力」。まさに公務員のお手本のような存在。たくさんの公務員の方に知っていただきたい。
特別協賛社賞-自治体通信賞
先進的な観点を持ち、公私において結果を出し続ける「とがった」点と、周りの方を巻き込み、強みを活かす「やわらかい」点を両立させ、組織内外に良い影響を広げている姿は、まさに次世代の公務員像だと感じました!
宮下 智さん、受賞おめでとうございます!
【地方公務員アワード2020 受賞者の推薦文はこちら】
①牧野浩樹さん ②福本靖さん ③同前嘉浩さん ④辻双九さん
⑤柘植良吾さん ⑥石塚浩司さん ⑦森田修平さん
⑧小川亮さん ⑨寺本英仁さん ⑩宮下智さん
⑪吉川牧人さん ⑫灰谷貴光さん ⑬河尻和佳子さん
『地方公務員アワード2020』全体発表はコチラ
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後援
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地域に飛び出す公務員を応援するために、60人を超える首長が参加。過去4回にわたって「地域に飛び出す公務員アウォード」を主宰。過去の受賞者プレゼンやサミットの内容はこちら。
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協賛
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不動産・住宅情報サイト『LIFULL HOME'S』のノウハウを生かした全国版空き家バンク『LIFULL HOME’S 空き家バンク』の運営をはじめ、空き家問題を解決できる人材の育成を目的とした『空き家の相談員育成カレッジ』を開講するなど、空き家問題の解決や地域活性のための取り組みを行っている。
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