(文=HOLG.jp編集長 加藤年紀)
11月22日、株式会社電通本社(東京都港区)で「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2019」の表彰式が開催されました。地方公務員アワードは2017年から毎年開催され、3年目にして初の表彰式です。
受賞者の毛色は毎年異なりますが、最大限端的にいうと今年は攻撃力の高い方の受賞が目立ちました。官民問わず、旧来型の日本の組織では、出る杭は打たれます。しかしながら、周囲の批判に臆することなく、挑戦し、行動に移すことができた方が評価される時代となることを願っています。
地方公務員アワードの協賛・後援団体
協 賛:
株式会社電通/NECソリューションイノベータ株式会社/株式会社PR TIMES/株式会社LIFULL/株式会社モリサワ/株式会社ホープ/株式会社VOTE FOR
後 援:
一般財団法人 地域活性化センター/地域に飛び出す公務員を応援する首長連合/公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)/一般社団法人 Code for Japan/一般社団法人リディラバ
地方公務員アワード2019受賞者の紹介<13名>
【1.秋田大介(神戸市役所 企画調整局つなぐ課 特命課長)】
詳細情報:https://www.holg.jp/award/award2019-001/
都市計画担当時代に将来構想の策定に携わり、「行政だけじゃ街は変われない」という信念のもと、ワールドカフェ方式の300人会議など市民参加型の数々のイベントを企画。市民と行政が本気でまちの未来を語る場を設定し、同じ夢を語れる将来ビジョンを生み出した。将来ビジョンのプロモーションでは、1000組の市民に未来を語ってもらう「1000SMiLE project」を立ち上げ繋がりを構築。市民参加型まちづくりの土壌をつくった。
【2.阿部 裕彦(加西市役所 地域振興部きてみて住んで課 課長補佐)】
詳細情報:https://www.holg.jp/award/award2019-002/
神戸大学の研究所が開発した新種じゃがいも「はりまる」の生産者集めから販売ルート開拓を行い、県外企業に働きかけてパンとして加工品化。県在住の天才小学生デザイナーを見出し地元メーカーに声かけ、靴の商品化を実現。県立高校ではボランティアで体育講師を務め、休日夜間はシニアの介護予防の集いの場を運営、健康指導も行う。その他、障がい者の余暇活動の場所づくりとして、無料ヒップホップダンスクールを県内で3つ開催。
【3.小川 知男さん(兵庫県福崎町役場 地域振興課 課長補佐)】
→ジチタイワークス賞とのダブル受賞
詳細:https://www.holg.jp/award/award2019-003/
当時の町長から、1日に10人ほどしか訪れない辻川山公園に「観光客を呼べ」と命じられる。ゆるキャラブームの真っ最中に、独断で公園の池から飛び出すめちゃくちゃ気持ち悪い河童の像を造る。役場の上層部は「税金だぞ!」とカンカンだったが、「絶対に人が来るから心配いりません」と応じ、13年度に約25万人だった観光客は40万人超へ。公園のお土産として、プラモデルの原型を制作。発売5日で売り切れ、アマゾンのベストセラー1位に輝いた。
【4.川那 賀一(岐阜市役所 教育委員会教育政策課)】
→電通SCP塾賞とのダブル受賞
詳細:https://www.holg.jp/award/award2019-004/
「マニュアル人間」「センスがない」といった公務員のイメージアップを図るべく、プロデューサーやインスタグラマー、画家、ダンサーなど地方自治体の枠を越えた社会的発信を行うアーティスト系公務員として活動。公務員のクリエイティブ活動を発信するコミュニティの代表も務める。ソフトバンク社CSR統括部に2年間出向し、全国の自治体と連携し、社会貢献事業の推進に貢献。
【5.倉田 麻紀(尾道市役所 福祉保健部子育て支援課子育て支援係 専門員)】
→NECソリューションイノベータ賞、LIFULL賞とのトリプル受賞
詳細:https://www.holg.jp/award/award2019-005/
2014年、若者が「やってみたい」と思うプランを実現するために「若者チャレンジ講座」を企画。一方で、一人の市民として講座で繋がった仲間や同僚とともに約1年半、毎月第3金曜日に「オノミチふらっと交流会」を開催。尾道の魅力を発掘する「よもそろガールズ」等の取り組みにも関わり、縁の下の力持ちとして地域を支える。地域に出ることが億劫な公務員が多い中、すれ違う人誰しもが「マキさん マキさん」と気軽に声をかける。
【6.佐久間 智之(埼玉県 三芳町 秘書広報室 主任)】
→PR TIMES&Jooto賞とのダブル受賞
詳細:https://www.holg.jp/award/award2019-006/
ゴミ箱行きだった広報紙「広報みよし」を改革。独学で企画やデザインを学び、印刷以外の全工程を一人で制作、全国広報コンクールで日本一の内閣総理大臣賞を受賞。予算ゼロの中でプロモーションも担当し、公務員の枠を超えてハロー!プロジェクトとコラボを実現。現役アイドルの写真集を、現役公務員が撮影から編集まで行い出版。講演や著書を通じて、全国自治体の広報担当職員のスキル向上に貢献し、収益の一部を三芳町や災害被災地に寄附している。
【7.瀬戸 勇さん(横浜市消防局 消防訓練センター 管理・研究課 主任)】
→モリサワUD賞とのW受賞
詳細:https://www.holg.jp/award/award2019-007/
大道芸や手話を駆使して「全ての人にわかりやすい防災」を啓発する現役消防士。出初式や消防署のイベントなどに防災大道芸人「しょうぼうず」として出没し、市民の自助、共助の意識を高めている。また、のべ700人を超える初任消防士に、障がい者等の様々な要救助者に対する対応の意識向上の機会を提供。さらに、耳が聞こえない方にも情報を届けるため、手話と字幕付きの火災予防広報動画を製作しYouTubeの横浜市公式アカウントから配信した。
【8.長井 伸晃(神戸市役所 企画調整局 つなぐ課 特命係長)】
詳細:https://www.holg.jp/award/award2019-008/
2015年に神戸で「SIGGRAPH ASIA」というCG関連の国際イベントへの参加を促す共催企画を民間委託せずに開催。37企業・大学等が参加する中、ブースのデザインからコンテンツを自主運営。その後、NTTドコモ・アシックス・ヤフーと次々に連携、実証実験を経て一部を社会実装した。当時のInstagram最高製品責任者が神戸市長を訪問する橋渡し役となり、自治体初となるフェイスブックジャパンとの事業連携協定の締結につなげた。
【9.中村 文彦(垂井町教育委員会 生涯学習課 文化会館管理係長)】
詳細:https://www.holg.jp/award/award2019-009/
「痛車イベント」という、役所の中で理解を得るのが難しいイベント開催を実現。町長向けに痛車を説明し、イベント内容、会場内配置図、宣伝方法、コンテスト景品や準備品、アニメとのコラボによる相乗効果にいたるまで緻密に練られた14ページの企画書を作成。活動は勤務時間外のみ、人的支援が無く、予算もわずかな費用補助というなか、多くの人に気軽に参加してもらいたいと参加費無料にこだわり実現。1年目64台、2年目118台が町に集まった。
【10.波多野 翼(越前市役所 市民福祉部社会福祉課 主査)】
詳細:https://www.holg.jp/award/award2019-010/
越前市のB級グルメ「ボルガライス」の普及に尽力。活動を始めた10年前は、ボルガライスを知っている人は地元でも少なく、提供する店も5店舗のみだったが、現在では20店舗以上に増加。一般の方から支援金を集め、地元の有名漫画家「池上遼一氏」を動かし、ボルガライスのポスターを書いてもらう。それらの活動によって、東京、大阪、名古屋のお店でも食べることができ、コンビニ各社のお弁当、国際線の機内食、学校の給食に採用されるに至った。
【11.平塚 雅人(常総市 産業振興部農政課 主事)】
詳細:https://www.holg.jp/award/award2019-011/
日本で初めて公共施設をトライアルで無償貸し出し、民間事業者のアイデアを試してもらう「トライアル・サウンディング」を2つの公共施設で開始。民間事業者から問い合わせが殺到し、公共空間の新しい使い方を生み出す。公務員として業務をする傍ら、プライベートではフォトグラファーとして地域で開催されるマルシェの撮影などを行う。5000人以上のフォロワーのいるインスタグラムなどを活かして、地域コミュニティのハブとしても貢献。
【12.松尾 泰貴(八尾市役所 経済環境部 産業政策課 係長)】
詳細:https://www.holg.jp/award/award2019-012/
世界初のものづくりエンターテイメント施設「みせるばやお」の設立に中心的な役割を果たす。「みせるばやお」では、ものづくりの楽しさなどを子供たちに伝えるワークショップや、企業間交流を促すためのイベントを実施。設立当初35社であった参画企業は、設立後7か月で103社に増加。企業間コラボレーションは34件、うち6件は商品化・販売開始にこぎ着けた。著名ベンチャー企業の代表者やデザイナーなどを地域企業につなげ、新たな事業展開に繋げる
【13.山口 明大(徳島県美馬市 保険健康課 課長補佐)】
詳細:https://www.holg.jp/award/award2019-013/
2001年に徳島県脇町役場(現、美馬市)に入庁。入庁してわずか2カ月後に、慢性骨髄性白血病を発症。1年後、骨髄移植による治療を経て生還。自分の命を救ってくれた骨髄バンクを世の中に拡めたいとの想いで、プロ麻雀士の資格を持つほど大好きな「麻雀」を通じたチャリティイベントを発案。2005年から現在までに東京、大阪などで20回以上のイベントを開催。延参加人数は2500人を超え、骨髄バンク支援団体に約700万円を寄付した。
<2018年 受賞者>※所属は当時
①井上 純子 (北九州市役所 市民文化スポーツ局 文化企画課 主任)
②岩田 早希代 (福井県 総務部広報課 主査) 特別協賛社賞-「PR TIMES 賞」受賞
③岡元 譲史 (寝屋川市 経営企画部 都市プロモーション課 係長)
特別協賛社賞-「ジチタイワークス 賞」「VOTEFOR 政治山 賞」受賞
④岡 祐輔 (糸島市 秘書広報課主査)
⑤奥貫 賢太郎 (川崎市 臨海部国際戦略本部 係員)
⑥木村 佳司 (川崎市 経済労働局 創業・知財戦略担当 課長)
⑦白石剛大 (世田谷区役所 北沢総合支所)
⑧鈴木 浩之 (神奈川県中央児童相談所 虐待対策支援課 課長)
⑨中岡 浩 (有田川町役場 環境衛生課 課長)特別協賛社賞-「LIFULL 賞」受賞
⑩山川 歩 (大和市役所 都市施設部 道路安全対策課 課長)
⑪山本 希 (静岡県三島市役所 財政経営部課税課資産税係 主事)
⑫領家 誠 (大阪府 健康医療部 副理事)特別協賛社賞-「電通 賞」受賞
<2017年 受賞者>※所属は当時
①石塚 清香 (横浜市役所 経済局経済企画課)
②大垣 弥生 (生駒市役所 地域活力創生部いこまの魅力創造課)
③落合 謙次 (宮崎県庁 情報政策課)
④菊池 明敏 (岩手中部水道企業団 局長)
⑤生水 裕美 (野洲市役所 市民生活相談課)
⑥杉本 拓哉 (石川県庁 企画振興部企画課)
⑦須藤 文彦 (水戸市役所 市長公室交通政策課)
⑧田中 明美 (生駒市役所 福祉健康部地域包括ケア推進課)
⑨田中 弘樹 (砥部町役場 総務課)
⑩晝田 浩一郎 (岡崎市役所 経済振興部商工労政課)
⑪福薗 恵子 (諫早市役所 こどもの城)
⑫和田 大志 (熊本県庁 知事公室)
審査員の紹介
1.石塚清香(横浜市役所 経済局新産業創造課 情報システム関連業務担当 専任職)
子育て情報アプリを企画・構築したことをきっかけに、オープンデータ推進や官民協働によるシステム構築、総務省地域情報化アドバイザー等の活動を展開。Code for YOKOHAMAにも参加。
2.井上純子(北九州市役所 市民文化スポーツ局 文化企画課 主任)
2016年より公務員がコスプレで市の観光PRを行う『バナナ姫ルナ』の活動を開始し、活動の珍しさから全国区を含めたマスメディアに150回以上掲載され、市のイメージアップに貢献。一時は引退をするも現在はボランティアで活動を継続。
3.大垣弥生(生駒市役所 いこまの魅力創造課 課長補佐)
広報誌や採用広報の改革等を進め、全国広報コンクール11回入選。現在はシティプロモーションを担当。脱・ベッドタウンを進めながら、市民協働でファンづくりと魅力創造に努める。今冬、官民連携窓口を開設予定。
4.岡元譲史(寝屋川市役所 経営企画部 都市プロモーション課 係長)
滞納整理に精力的に取り組み、2007年度に約35.8億円あった市税滞納繰越額を、2016年度には約12.6億円まで圧縮することに貢献。また、研修講師として全国の徴収職員に「滞納整理の価値」を伝えている。
5.田中弘樹(砥部町役場 企画財政課 課長補佐)
公会計のスペシャリスト。「地方公会計の整備促進に関するワーキンググループ」の委員に抜擢されるなど、総務省が取りまとめる7つの研究会・ワーキンググループで委員を務める。様々な雑誌に寄稿、講演などを行う。
6.晝田浩一郎(岡崎市役所 財務部 主事)
人と人、人と地域をつなげる活動を通じて仕事とプライベートで地域活性化に取り組む。Forbes JAPAN『日本を元気にする88人』に選出。ここやるやCode for AICHIの代表を務め、シビックテックを推進している。
7.領家誠 (大阪府庁 健康医療部 健康推進室 室長)
「ものづくり支援拠点MOBIO」を創設、経営者の集うセミナー交流会を年100回ペースで開催した。また、大阪府内外の産学公金の企業支援者が参加するネットワークや人材養成事業を作り、支援者側の交流も実施。
<2017・2018審査員>※所属は2018年当時
①今村 寛(福岡市役所 経済観光文化局 中小企業振興部長)
②後藤 好邦(山形市役所 企画調整課 課長補佐 兼 交通政策係長)
③佐々木 絵理(弘前市役所 相馬総合支所 総務課 主事)
④山田 崇(塩尻市役所 地方創生推進課 シティプロモーション係長)
⑤山本 享兵(和光市役所 企画部財政課 副主幹)
掲載メディア※2019年11月27日時点
表彰式を終えて
ポジティブな空気もネガティブな空気も必ず周囲に伝播します。きっと、こういった取り組みには主宰者、そして、受賞者までにも批判的な目を向ける人がいるでしょう。だからこそ、来年はさらに良い取り組みにして、より大きなポジティブな空気の連鎖を生み出していきたいと感じました。
表彰式には、受賞者を推薦した方、ご家族、同僚、協賛・後援団体、メディア関係者にお越しいただきました。地方公務員が様々なプレイヤーから評価され、そして、新たな出会いによって、活躍の場を広げていく一助になればと思っています。
推薦者や同僚、家族の方から、受賞者が祝福されているのは最高の光景でした。関わって下さった皆さん、支援いただいた全ての皆さん、誠にありがとうございました。受賞者の皆さん、本当におめでとうございます。そして、いつも、ありがとうございます。
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