インタビュー

【渋谷区 永田龍太郎氏:第7話】LGBT当事者は総人口の7~8%

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「僕の周りにはいない」「うちの会社にはいない」

加藤:LGBTの理解をさらに広める中で何が有効だと思いますか?

永田氏:そうですね。いろいろなところでお話しても、「僕の周りにはいない」「うちの会社にはいない」というようなお答え、お話をされる方がとても多い現状があります。実は、それは「カミングアウトできないから、あなたには打ち明けられていないんですよ」ということなんですが。

 LGBTは見えないマイノリティとも言われますが、どう可視化して社会全体の理解を促進するか? もしくは、本人たちがカミングアウト(=可視化)して声を上げることができないとしたら、その代わりに誰が声を上げるのかが、とても鍵になってきます。

一人ひとりが気持ちを可視化すると 世の中を変えていく力になる

永田氏:LGBT アライ(=LGBTへの理解・支援を表明している人)って言葉を聞いたことありますか?

加藤:はい。ついこの前に知りました。

永田氏:ぜひ、アライになって、その気持ちを見える化する初めの一歩として、小さなレインボーフラッグをどこかで振ってください、とお願いしています。6色のレインボーはLGBTのプライドや支持・支援を表す世界共通のモチーフなのですが、それを職場のデスクの端っこでも通勤の時のカバンにつけるアクセサリーでも、見える形で小さくともレインボーグッズを掲げて可視化していただきたい、と。

 一人ひとりの小さな取組みも束になれば、世の中を変えていく力になる。さらに、周りにいる見えない当事者に対しても、「あなたも生きやすい社会になって欲しいと願っている」気持ちが届きます。

 翻って、やっぱりアライの方々も、「私なんかで、そういった声を上げていいのかしら?」とか、「アライ検定とかありますか?」と、おっかなびっくりな声を多く聞きます。日本人らしい真面目さというか、鈍くささというか。

 「当事者の人のいろんな声を聴きながら一緒にやっていきたい」という姿勢があれば、そんなに恐れることはないと思います。最低限の基礎知識があれば、支援の謙虚な姿勢が見えていることが、一番大事なんじゃないかなと思います。

企業が率先してLGBT支援した

加藤:例えば、政治、行政、民間みたいなところで言うと、どの領域からLGBTへの理解が広まって来ていると思いますか?

永田氏:一部の企業の取り組みはすごく進んでらっしゃいますし、それが日本での今のムーブメントの在りように、すごく後押ししてくれていると思います。渋谷区がこういった形でパートナーシップの制度を始めるにあたって、想定していなかったようないろいろな企業が、商品・サービスを同性カップルに対応させてきました。

 例えば、インターネット生保のライフネット生命さんでは、他社に先駆けて保険金の受取人に同性パートナーを指定できるようにされ、大手がこぞって追随しました。他にも携帯電話の家族割、航空会社の家族間のマイレージも、パートナーシップ証明書を活用して対応されたというのは、全く想定していなかったことです。これらは日本でLGBTの認知を広げるうえでの助けになったと思います。

 しかも、そういった企業は、商品・サービスを対応させることを通じて、従業員の福利厚生や人事制度などにお取り組みを深化させていかれました。

政治とLGBTの関わり

加藤:政治、行政はどうでしょうか?

永田氏:各自治体が持っている男女共同参画の行動計画ですが、更新年度にあたる自治体さんの中では、審議会などで「LGBTについてはどうなっているか?」というお声が上がるようになったとは聞いています。

 ただ、その動きに関して、必ずしも議会や首長さんの関心が高まっているかというと、そうでないところも多いとは聞きます。

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LGBTは人口の7~8%と言われている

加藤: LGBTの方って8%ぐらいいらっしゃるって言われるじゃないですか。

永田氏:いくつかの調査によると7~8%と言われています。日本人の左利きの人の割合や、AB型の人の割合と同じくらいとも言われています。

加藤:そう聞くと多いですよね。7~8%切実に悩んでいる人がいるとしたら、首長とか議員を目指す政治家の方がもっと着目してもいい気もします。

永田氏:そうですね。そういった声を上げていただく政治家の方が増えるというのは、一当事者として嬉しいです。

LGBTの施策は人気取りの道具にはならない?

加藤:倫理的なものもありますが、票田だと割り切って打算的になる政治家が仮にいたとしても、当選した場合はその成果を出さなければならなくなりますよね。そこで、施策を実行してもらえればLGBT当事者の方への対応は今の状況より良くなるので、もっと政治家も巻き込めるとLGBTの理解が進むような気もします。

永田氏:海外では人気取りのスタンドプレーとして政治家がLGBTフレンドリー施策を打ち出すのは、「ピンクウォッシュ」と言うんですね。ピンクというのは昔のゲイのモチーフカラーです。ナチスのガス室に送られた同性愛者たちが、ピンク色の逆さトライアングルのマークを付けて分類されたというところから来ています。

 ただ、LGBTについて有権者の理解や受容がまちまちな今の日本において、スタンドプレー的なものがそう簡単に成立する状況にはまだないとは思っています。

 とはいえ、当事者だけでなく、LGBTアライがどんどん増えている現状で、LGBTに取り組まないことは今後リスクにはなり得ると思います。私が前職でLGBTの取り組みをしている時に、最も熱心に応援して声をかけてくれたのは、小さいお子さんをお持ちのお母さんたちでした。自分の子どもがLGBT当事者かもしれない。そうでないかもしれない。いずれにしても、子どもをいじめの加害者にも被害者にもしたくない。LGBT当事者を友人に持つ世代の母親たちの、切なる願いが声援に繋がっているようでした。

 LGBTが生きやすい社会づくりは、誰もが生きやすい、多様性を認め合う社会づくりに繋がる。そんな理解を持った有権者の輪はこれから拡がっていくのではないか、と思います。

加藤:人は多様性に対して寛容化していくはずなので、将来的にはそうなりそうですよね。

永田氏:一方、ご自身のセクシュアリティを公にされている地方議員さんも少しずつ増えてきています。最近でも世界初ではないかとも言われていますが、トランスジェンダー男性が入間市議会議員選挙に当選されましたし、当事者感覚が行政に届けられる機会が増えていくのでは、と思います。

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※本インタビューは全8話です。

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