インタビュー

【渋谷区 永田龍太郎氏:第2話】渋谷区から仕事のオファーが届く

LGBT当事者1万人の写真を撮る NPO企画を支援

加藤:パレードの他にGapとしてはどのようなLGBTの活動に参加されましたか?

永田氏:『OUT IN JAPAN(アウトインジャパン)』という、あるNPOさんが企画しているプロジェクトの立ち上げをご支援させていただくことになりました。

 この『OUT IN JAPAN』というのは、『カミングアウト・イン・ジャパン』の意味です。日本のLGBTに対する理解というのは、どうしても『テレビの中の人』というイメージですよね。同僚だったり、隣人だったり、家族だったりというイメージがあまりにも少ない。

 だから、それを可視化して日本の社会でのLGBTイメージを変えていくことがとても大事です。そのために、著名なフォトグラファーが、いわゆる本当に市井のLGBTの人たちを撮って、1万人のポートレート(人物写真)のアーカイブを作っていこうというプロジェクトです。

OUT IN JAPAN

OUT IN JAPAN ウェブサイト

2015年3月に渋谷区でパートナーシップ制度を含む条例が可決

永田氏:そういったことに関わっていたら、突然、渋谷区でも、同性パートナーシップ制度を含む「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」が、2015年の3月の議会で可決されたニュースが飛び込んで来ました。世の中の動きなど全く考えずに取り組んでいたので、にわかに日本でムーブメントが起きつつあるようにも見える状況に、とても驚きました。

渋谷区から仕事のオファーが届く

永田氏:そうこうしている内、2016年に入ってくらいですかね。LGBTの取り組みも永田属人的なプロジェクトから離陸出来たことから、そろそろ次のキャリアについて考え始めた時に、たまたま区長と共通の知人から「渋谷区のお仕事の話に興味がありませんか?」とお声がけを頂戴し、悩んだ末にお受けしました。

 丁度、区としては条例も作り、2015年の11月からパートナーシップ証明書の発行も無事にスタートしたという中で、次は当事者への直接的な支援事業であったり、庁内、区民、企業に対する啓発が必要な段階に移っていました。そこで、当事者のことがよく分かる人、且つ、コミュニケーションのプロが必要とされるフェーズに移ったと考えていたそうです。

加藤:そこで、永田さんに白羽の矢が立ったわけですね。

LGBT当事者全てのことが 100%分かっている人はいない

永田氏:ただ、経歴を見ていただければ分かるように、私はただのマーケティング職の人間です。いわゆるLGBT人権活動家として何か取り組んできたわけではないので、LGBTに関するエキスパートでは全くないんですね。

 なので、「こういったお仕事です」と言われた時に、果たして私みたいなものが受けていいのだろうかと悩みました。LGBTといっても、『L』も『G』も『B』も『T』も全部違う上、それらに当てはまらない性的少数者も沢山いる。そもそもLGBTのさまざまな気持ちを100%知っている人は本当に稀有です。自分の中でとても悩みました。

 Gapが『OUT IN JAPAN』を支援して写真を撮っていた時に、私もその場にいて、1000人の当事者の方々のスタイリングをお手伝いしながら、お一人おひとりのとても奥深い部分と向き合う経験をしました。その中で、自分が初めて知ることが沢山あったんですが、その経験が自分の背中を押してくれました。それがなかったら、多分、お受けしていなかったと思いますね。

過渡期だから手伝うことができる

永田氏:私が今やっている仕事は、型を作って人に引き継いでいけるものにならなければいけないと思います。その中で、過渡期だからこそ私のような者がお手伝いできることがあると思っています。

加藤:適任だったということですね。

永田氏:Gapの頃も、最初にデジタルのお仕事をやるようになった時は、まだウェブサイトやメールマーケティングなど、そういったものは全く見向きもされなかったんです。ただ、そんな中でビジネスモデルを作って小さい成功を積み重ねていたら、いつの間にかマーケティングの中心がデジタルだという時代になり、気が付いたらど真ん中に来ていたというような・・・。

 そうやって、見向きもされない周辺部で何か新しいことをやって「型」を開発していくというのは、Gapでいろいろ経験していたので、今回のお仕事に関しても生かせる部分はあるのかなと思います。

現在のお仕事

加藤:永田さんは2016年9月から、3年間の任期付職員としてお仕事をされています。現在の組織体制、管理体制を教えていただけますか?

永田氏:まず私は総務部の中で『男女平等・ダイバーシティ推進担当課長』として、働いています。一人担当課長です。所管としては、男女平等多様性社会推進という事業がありまして、その中の一つとして、この男女平等ダイバーシティセンター<アイリス>にも関わっています。

渋谷 男⼥平等・ダイバーシティセンター<アイリス>

渋谷 男⼥平等・ダイバーシティセンター<アイリス>

 このアイリスは渋谷区の直営で、区の職員としての館長が1名、それから非常勤の職員4名で運営されています。同性パートナーシップ制度が始まるまで、アイリスでは男女平等に関する人権啓発講座や法律相談などに加え、地域で活動されている女性団体さんが、ライブラリーや会議室をご利用されていました。

 現在は、ダイバーシティセンターとして、これまでの男女平等という柱にLBGTというお題が加わり、「多様な性の共同参画」として取り組んでいます。LGBTについては相談事業などの各種直接支援事業だったり、啓発事業を行っています。

担当している仕事は ジェンダー・セクシュアリティにおける平等

加藤:今、永田さんは人権全般だとか、男女の平等だとかも含めてお仕事をされているということですか?

永田氏:いえ、基本的にはジェンダー・セクシュアリティにおける平等だけですね。それ以外の人権課題に関しては、総務部総務課のほうで見ております。人権課があって全部を見るというような形ではありません。

加藤:逆にいうと、永田さんのリソースは全部、ジェンダー・セクシュアリティに対してつぎ込めるような状態にあるということですね。

※facebookとTwitterでHOLG.jpの更新情報を受け取れます。

 

※本インタビューは全8話、毎日更新です。

他のインタビュー記事を読む

ネイティブアド



頁トップへ