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コラム 地方公務員アワード

その「平等」と「公平」、何のためですか? 地方公務員アワード、主催者ならここを批判する

(株式会社ホルグ代表取締役 加藤年紀)

地方公務員アワード10周年ということで、以下について書き綴っていこうと思います。

(1)地方公務員アワードは嫌いになっても、業績評価は嫌いにならないでください
(2)地方公務員アワード10周年企画-サンクスアワードへ込めた思い
(3)若手の離職以上に注意すべき、40歳以上の離職増
(4)その「平等」と「公平」、何のためですか? 地方公務員アワード、主催者ならここを批判する
(5)地方公務員アワードは、なぜ他薦なのか
(6)公務員は民間に通用する・しない論を考える-受賞者だけではない、すごい公務員たち
(7)10年で見た、地方公務員への希望と絶望

実は最近、批判が減っていて寂しいところもあるのですが、改めて地方公務員アワードにいただく批判について考えてみたいと思います。

以前にSNSフォロワーの多い元首長の方が、地方公務員アワードについて批判的なコメントをされたことがありました。その際に、私の尊敬するシゴデキ公務員が批判を分類して、批判内容を検証して下さいました。地方公務員アワードはこういう素敵な方に助けてもらって今があるのだと大変感謝しています。
https://note.com/sakakatu/n/n4bfbe798f0bb

ちなみに、記事には以下のような批判とそれに対する検証、あるいは反論をして下さっています。皆さんの中にも「この批判は的を射ている!そうだそうだ!」というトピックがあればぜひ、上記リンクをご覧ください。

地方公務員アワードに寄せられたご意見

・受賞者を見ると一人も知らん
・人付き合いが上手い方ではない人は他薦には入らない
・仕事はチームだ(=個人を表彰するな?チームで表彰すべき?)
・巷で言われる「スーパー公務員」という呼称もおかしいと思う。
・推薦も、上司とかではなく仲間うちが多いとのこと
・アワードは本質的にやる気のある公務員のやる気を削ぐのかもしれない
・キラキラした目立つ仕事に偏りがち、地元の視点がない
・地道に頑張り住民からも感謝されている公務員に光を当てて欲しい
・発端は15年ほど前の地域に飛び出す公務員を応援する首長連合でした。
・スーパー公務員が公務職場を飛び出してしまって、政治や民間に流出してしまうところにも深刻な課題
・その人が全国の自治体を渡り歩いて、問題解決をしてくれるわけでなし。
・どの仕事も別に全国的に評価するような制度があるわけじゃないと思うんです。むしろ、なぜ公務員個人を評価しようとしたんですかね。
・その仕事なり成果なりを組織として持続化させるところまでがセットだと思います。
・客観性の担保が必要

上記は先のnoteで概ね解決していると感じているのですが、より深い批判的意見を改めて聞いてみたいと感じていました。主催者としても、今のあり方が絶対的に正しいとは思っておらず常に改善していきたいからです。
そのため、弊社が運用している地方公務員の有料コミュニティ「地方公務員オンラインサロン」にて、あえて批判的意見を募りました。結果的には批判的意見というより、批判する人の気持ちについて教えていただいたことが多かったですが、多くの貴重な示唆をいただきました。

ここでは3つほど、私がスッキリと確信を持って回答できない意見をご紹介したうえで、主催者として感じていることを書かせていただきます。まさに、地方公務員アワードを責めるべきポイントであり、だからこそ、そこにアワードの改善の可能性もあるように感じています。

今回取り上げる意見
① 推薦文に嘘が書かれたらどうするのか?
② 受賞者への事前確認は必要か?
③ 審査基準や審査員の選定方法は十分に明確か?

意見①「推薦文」に推薦者が嘘を書いたらどうするのか?

私も不安を感じるポイントで地方公務員アワードの責めどころの一つだと思います。推薦文の事実関係を正確に確認できるとしたら、それは素晴らしいことだと思います。一方で、事実確認をおこなう場合には、たとえ本人や関係者に確認しても、それをもって正解だとする保証はありません。また、受賞者の推薦文の数字などを一つひとつ遡るのも、かなりの作業量が必要となるため、実際にそれを行うことは難しいように感じています。

なお抑止力の構造は意識しています。他薦のみの推薦方法となり、推薦者の名前も公開されます。役所内部の人が調べたら嘘だとわかるようなリスクもあります。それらを考えずに推薦する人の数は、そこまで多くないと推測して現状の運用をおこなっています。

意見②受賞者への事前連絡・受賞意思の確認をすべき

「首長がこのアワードを大嫌い、市長と議会がバチバチなどの事情で受賞者が干されたり仕事がしづらくなったりする可能性もあるのでは?」という意見をいただきました。

受賞者への事前連絡は、初回の開催時から、とても悩んでいる点です。
気になっているので、過去に受賞者へ確認したところ、約半分の人が推薦されることについて確認を受けているようです。また、過去に推薦をしてくれた人に聞いたところ、不安がある場合は本人に推薦してよいか確認しているということでした。

また、「受賞していただけますか?」という本人確認があることによって、周囲から「お前は自分がすごい公務員であると認めたんだな」「お前ひとりの成果にしやがって」といった、マイナスの使い方をされることもリスクであると感じています。「知らないところで勝手に受賞してました」という形にできることや、自薦ではなく他薦による応募であることには、やっかみなどから本人を守る側面もあり、現時点ではこのままでいこうと思っています。

意見③認知度が上がるにつれ、審査基準や審査員の選定方法の明確性が求められるのでは?

審査基準については、審査員が「すごい!」と思う度合いで点数をつけます。仕事が全く異なる地方公務員に対して、「すごい!」を適切に数値化できるのかという突っ込みは理解できます。
もちろん、それは簡単な話ではないと思います。ただ、実際に地方自治体の現場でも、様々な部署を経験してきた複数の職員の中から、1つしかない管理職の枠に誰を昇任させるかを判断することもありますよね。「うちの部署にこの人をくれ」と言う人もいます。良くも悪くも、人は常に他者からの評価を受けながら生きているのだと思います。

審査員は「すごい人を見逃さない」ためのチーム

意見③の後半部分に「審査員の選定方法の明確性」というものがありました。「審査員の選定方法を明確にする」という点では、6人の審査員チーム全体として、年齢、性別、部署経験などが一定程度網羅されるようにしています。その目的は、「すごい人を見逃さない」ためです。

恐らく、この意見③では「手続きの公平性」というものもそのニュアンスに含まれていると感じています。
「判断基準が事前に示されている」「同じ基準が一貫して適用される」「判断者に利害関係がない」「判断者に偏りがない」「不服申立ての機会がある」などといった観点です。

その点、地方公務員アワードにおいては、「判断者に利害関係がない」というところが責めどころだと感じます。というのも、審査員の知人や書籍出版などで、その職種などでは既に有名な公務員が推薦されることもあります。審査の際には名前や所属は隠していますが、読んでいるときにわかることもあるはずです。

その対策として、審査員にお願いしているのは、「推薦文以外で知り得た事実については、評価対象としない」ということです。「候補者が審査員と同じ所属の場合は当該候補者の採点から除外する」など、運用変更の余地もあるかもしれません。この点も今後悩み続けることになると思っています。

目的なき平等・公平は、誰も救わない

公平性や平等性と言われると、まるで絶対的に正しい印籠のように聞こえてきますよね。むしろ私より地方公務員の皆さんのほうが、その難しさがよくわかるように思います。

有名な「平等」と「公平」を表す画があります。

これは厳密に言うと、左側が「形式的平等」、右側が「垂直的公平」を示しています。
全員に同じ台を配るという形式的平等と、それぞれの身長に応じて異なる高さの台を配るという垂直的公平は、少なくともこの場面では同時に実現できません。何を同じとし、どの違いを許容するかという考え方が異なるからです。

さらに平等性といっても「形式的平等」「実質的平等」「結果の平等」「機会の平等」など様々なものがあります。そして、その平等の概念や対象がそれぞれ異なり、どれか1つの平等を重視することによって、別の平等から遠ざかってしまうことも少なくありません。

面白い例として、競馬で馬が背負う重量のルールがあります。同じ世代・性別などには同じ重量を課し、「一定の条件をそろえて最も強い馬を決める」レースもあれば、実績や能力に応じて重量を変え、「各馬の勝機を近づける」レースもあります。目的が異なれば、重視される平等や公平のあり方も異なるのです。

我々は抽象的な平等や公平という言葉を絶対的なものとして扱いがちです。しかし、本来あるべき姿は、その事業の目的や優先順位をもとに、具体的にどの平等や公平の原則が重視されるのかを突き詰めることではないでしょうか。

「平等」「公平」という概念はもちろん大切です。だからこそ、時に公務員の挑戦を阻むための決まり文句にもなり得ます。この言葉を指摘された時には、「平等と公平には様々ありますが、具体的に重視すべきはどの平等と公平ですか?」と問いかけてみてください。さらにいうならば、既存の役所の事業は、「形式的平等」「実質的平等」「結果の平等」「機会の平等」など、全ての平等性を担保しているんでしたっけ?

こんなことを上司に言ったら喧嘩になりそうなので、言い回しに気を付けながらどうぞ。

地方公務員アワードの責めどころ『女性受賞者数』

さて、寄り道をしましたが、地方公務員アワードで主催者が突かれて痛いポイントをさらに一つ紹介します。それは、女性受賞者の数です。初期の頃は一定割合の女性に受賞していただいていましたが、近年減少し、2023年は受賞者12人中1人、2024年は13人中1人、2025年は14人中2人です。
前回の記事で自治体の人間関係なども書いてきましたが、女性が管理職に少ない、活躍の場が少ないというのは、殺伐とした組織や人間関係の不安定さの要因にもつながっているように思います。

男性の推薦ももちろん大歓迎ですが、今年の地方公務員アワードでは、女性の受賞者比率が高まることも期待しています!
ぜひ、皆さんの周りに素敵な方がいらっしゃいましたら、コチラからご推薦ください!https://www.holg.jp/award/2026-01/

10周年を記念して、こんなことを書いていこうと思います。

(1)地方公務員アワードは嫌いになっても、業績評価は嫌いにならないでください
(2)地方公務員アワード10周年企画-サンクスアワードへ込めた思い
(3)若手の離職以上に注意すべき、40歳以上の離職増
(4)その「平等」と「公平」、何のためですか? 地方公務員アワード、主催者ならここを批判する
(5)地方公務員アワードは、なぜ他薦なのか
(6)公務員は民間に通用する・しない論を考える-受賞者だけではない、すごい公務員たち
(7)10年で見た、地方公務員への希望と絶望

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