コラム

麒麟獅子が舞う鳥取の新たな挑戦(鳥取県鳥取市ほか)「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(179)」

地元智頭農林の高校生らが披露した因幡の麒麟獅子舞

地元智頭農林の高校生らが披露した因幡の麒麟獅子舞

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[記事提供=旬刊旅行新聞]

 鳥取といえば、多くの人は砂丘を連想するであろう。その砂丘に赤い麒麟獅子が舞う風景は、誠に幻想的である。この夏、機会を得て久々に砂丘の「馬の背」に登ってきた。日本海を渡る強い風によって吹き上げられた誠に珍しい砂の芸術だ。

 その風と砂をテーマに2019年度の日本遺産として、鳥取の麒麟獅子の物語が認定された。「日本海の風が生んだ絶景と秘境~幸せを呼ぶ霊獣・麒麟が舞う大地『因幡・但馬』」。タイトルは少々長いが、誠に魅力的な物語である。

 日本海から吹き付ける激しい北西の風は、中国山地にぶつかり、「山雪」と呼ばれる豪雪を山間部にもたらす。同時に、鉛色の海は海岸を削る荒波となり、川の上流から運ばれる大量の砂を巻き上げて日本最大の鳥取砂丘となった。激しい波は、日本ジオパークに認定されたこの地の多彩な海岸地形を生み、荒波を避ける漁村集落や板囲いの集落など、この地独特の暮らしと生業を生んだ。また、砂丘に砂を供給する急流を遡ると「山雪」に覆われる茅葺屋根と豪邸に出会う。山林王国、智頭町の石谷家住宅などの豪邸はそのシンボルである。

 このような厳しい風をキーワードに、荒波と砂、大量の雪という厳しい冬の季節を無事過ごせることに感謝して、人々は古来より幸せを呼ぶという霊獣・麒麟獅子を舞い続けた。今回の日本遺産対象地域である因幡・但馬の1市6町には、それぞれの由来の神社ごとに約140にも及ぶ麒麟獅子がいるという。地元若狭鉄道沿線の八頭町には、獅子頭を修理し制作する彫刻師の工房もある。

各地の代表者が集った記念シンポジウム(鳥取市国府町)

各地の代表者が集った記念シンポジウム(鳥取市国府町)

 今回の日本遺産認定を記念して11月末日、鳥取市で講演会とシンポジウムが開かれ参加した。地元の方々には麒麟獅子は馴染み深いものの、「日本遺産」は初めて聞いたという人も多く、いわばキックオフとも言うべきシンポジウムとなった。

 日本遺産は物語(ストーリー)である。その魅力的な物語に魅せられて多くの観光客が訪れることになろう。だから最も大切なことは、物語が体感できる「場」「景観」があることである。また、物語の背景となる地域情報や歴史文化を一元的に知ることができる情報拠点(日本遺産センターなど)や、物語を理解するうえで、ガイドの存在も不可欠である。観光の付加価値は、ガイドする人の「力量」に係ってくるからだ。

 同時に、日本遺産は地域ブランドである。単に旅行客増といった戦略だけでなく、新たな産業創造や固有のブランド品の開発なども重要である。こうした民間主導の活動には核となるマネージメント組織が必要である。幸い、この地域には既にDMO「麒麟のまち観光局」が発足している。近年、大手飲料メーカーなどとのタイアップ事業も始まっている。日本遺産認定を一過性のものに終わらせず、息の長い地域活性化につなげてほしい。

(東洋大学大学院国際観光学部 客員教授 丁野 朗)

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