コラム

週刊 寺本英仁「巻き込む力」と「ビレッジプライド」の育て方 第23号(HOLG版)

ビレッジプライド

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2.<A級グルメ連合>の仲間たち 鹿部町編(3)=志を同じくする5市町の取り組みを連載形式で紹介します!

(前回まで)2018年9月、僕は北海道鹿部町を初めて訪ね、町議会と町役場でそれぞれ講演をした。懇親会で盛田町長ますます意気投合、いい気分でお風呂に入って一寝入りした6日の午前、3時8分、激震に見舞われた。
 後に「北海道胆振東部地震」と名付けられた地震に、僕と<A級グルメ連合>事務局の岡田くんは遭遇したのだ。

 その日は終日、鹿部の町を視察する予定だったが、このような状況下で役場に迷惑をかけてはいけない。そう考えて函館市内にホテルをとり、翌日、羽田へ向かうことにした。

 鹿部から函館まで鹿部町役場の村田課長が送ってくださった。函館へと向かう途中、僕は信じられない光景を目の当たりにした。たくさんの人がコンビ二に食料品を求めて、長蛇の列を作っていたのである。

 北海道は、島根県と比較するとコンビニの数は明らかに多い。それなのに、どこのコンビニにも長蛇の列ができている。服装をよく見ると、農作業着の人も非常に多い。農家の人がコンビニで並んでいたのである。

 日本の農業王国、北海道の農家がなぜ食料品を求めてコンビニの列に並ばないといけないのか、僕は不思議で仕方なかったから、車中で村田課長に質問したところ、こんな答が返ってきた。

「北海道の農家は農作物の品種は少なくて、1種類か2種類程度。それを大量生産しして出荷するんで、生活に必要な食料はお店で調達することが主流なんですよ。今、停電がいつまで続くかわからないから、みんな食料の確保のためにコンビニに並んでいるんですよ」

 僕は本当に驚いた。邑南町には、もともとコンビニが3軒しかないので、行く先々でコンビニに人が並ぶ光景なんて、目にすることもないだろう。だが、それ以上に違う点がある。

 大方の家は自分の家で家庭菜園をやっているので、1、2週間くらい食べることに困ることはない。家庭菜園をやっていない人も、親戚や隣人、友達から貰うことができるので、大丈夫だ。

 僕はこのとき、日本の農政に疑問を持った。

 国は「稼げる農業」を推奨するために、農業の大規模化を進めている。
 しかし、僕たちが住む中山間地域は、北海道や東北地方ほどの広大な面積を持ち合わせていない。だからどうしても「稼ぐ農業」は、北海道や東北に負けてしまう。

 だけど、人が「生きるため」の農業はむしろ、中山間地域の方が適地ではないだろうか。

「稼ぐ農業」がだけが、すべてではない。むしろ「生きる農業」の方が重要なのだと痛感した。昨晩、盛田町長が農業のない鹿部町で、家庭菜園でも農業をやってみたいと言っていた意味があらためて分かった。

「食」は「稼ぐこと」がいちばんの目的ではなく、やはり、前提として「生きていくため」だ。生存するために農産物を作ることが大切なのだ。

「北海道胆振東部地震」と名付けられたこの大地震は、僕の考え方にも大きな影響を与えた。これまで邑南町がやってきた「A級グルメ構想」は間違っていなかったと再認識することもできた。

 結局、函館に泊まった夜も電気は点くことがなかった。
 その夜の夕食は岡田くんが3時間以上函館市内のコンビニに並んで、納豆を2つ手に入れてくれた。

 その納豆を明かりもエアコンも点かない無機質なホテルで二人で食べて、翌日、僕たちは函館を後にした。

 僕は盛田町長の「農業のない町での家庭菜園プロジェクト」を進めていきたいと強く思った。北海道で鹿部町から「生きる農業」を広めていこうと思った。

 羽田空港に着くと、その足で母校・東京農業大学の地方活性化を進めるプロジェクトチーム、山村活性化支援センターの中山さんに相談した。
 ここは、地域活性化を行う上でのアイデアと、そのアイデアを実現できる人脈を合わせ持っており、邑南町も蕎麦のプロジェクトを手伝ってもらっている。

 その後、このセンターのチームが鹿部町に入り、地域資源の調査に乗り出してくれた。
 僕はいつも「一人の力では何もできない」と思う。だから適材適所で人材を揃え、プロジェクトの進行管理をしていくのが、僕の役割なのだ。

 あの地震から8か月が経過した今年5月、鹿部町も参加する「にっぽんA級(永久)グルメのまち連合」が結成された。
 そして6月、僕は2回目の鹿部町に行くことになった。

 今回の目的は、東京農大のチームが調べてくれたデータを元に、鹿部の生産者や飲食店を回り、自分なりに話を聞くこと。

 そして前回は議会や役場にA級グルメ構想を理解してもらうために講演をしたが、今回は町民のみなさんに「A級グルメ構想」を理解してもらうために、さらに話を広げることがミッションとしてあった。

 また、鹿部町では4月から大きな変化が始まっていた。
 鹿部町の道の駅を「シカベンチャー」が指定管理者として運営をすることになったのである。「シカベンチャー」は、僕に鹿部を紹介してくれた、大関・金山両氏が出資をしてつくった会社で、代表は大関さんである。

 道の駅は鹿部町でも重要な観光および産業の起点である。これを外部から来た大関、金山氏の出資による「シカベンチャー」に任せるのは、町の内部で相当波紋があったのではないかと推測した。

 大関さんは4月から、自宅のある千葉より鹿部にいる期間がずっと長くなっている。彼の本業「ビッグゲート」は、ふるさと納税のシステムを運営をする会社だが、その仕事も、ほぼ鹿部でやっているように見えた。

 邑南町も今年4月から大関さんの指導のもと、ビッグゲートのシステムに変更し、ふるさと納税を倍増させようとしている。だから、鹿部町に入れ込んでいる大関さんの状況に不安がよぎったというのも正直なところである。

 僕も自分の目で、今、鹿部町で、何が起きているのか見たかった。
(つづく)

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