市役所とオフの活動との関わり
加藤:市役所内でも、『ここやる』は表彰を受けていますよね。市役所との関わりはどのようなものなのでしょうか?
晝田氏:『ここやる』のスタートアップメンバーが4人で受けました。業務外有志団体として「部課長会頑張る職員」の金賞をいただきました。
それは部長や課長が公費からでなく、自分のポケットマネーからお金を積立てて、「お前らよく頑張ってんな」、と表彰していくものです。
表彰は本業ではなく、あくまでも有志の活動としてですが、市との関わりとしては、市長が遊びに来てくれたりとか、副市長を囲む会を開いて、若手と副市長をつなげるということもやっています。
『生意気』『態度が大きい』
加藤:活動に対して否定的な方はいますか?
晝田氏:もちろん、役所の中でもいろいろな考えがあって、皆が皆応援してくれるわけではないかもしれません。こんな僕らの活動なんて、潰そうと思えば潰せるようなものだと思います。ただ、先ほどの賞の時も副市長の強い推薦によっていただけたようなので、そこは組織からも応援してもらえていると信じてやっています。まちの人からも「あいつらよく頑張ってるよね」と言ってもらえている、それもとても大きいと思います。
加藤:具体的に何か言われるようなことはあったのでしょうか?
晝田氏:直接的にこういうことをされたというのはなくて、周りから伝え聞くことはすごくいっぱいありました(笑)。
加藤:(笑)。インタビューでよく聞くんですよ。この「周りから伝え聞く」という表現(笑)。
晝田氏:何なんですかね(笑)。大体僕が言われるのは、『生意気』『態度が大きい』っていうものです(笑)。正直、あえて見せている部分もあります。やっぱり役所にはブレーキを踏める人は沢山いるんですよ。だったら僕はアクセル踏もうと。
加藤:庁内の評価を気にするとつらいですよね。
晝田氏:先輩から言われるのは「晝田君の評価は今真っ二つだよ」と(笑)。すごく評価してくれる人もいれば、一方で「そんな遊んでる暇あるんだったら、もっと本業をちゃんとしろ!」とか、「そんなリスキーなことやってどうするんだ!」みたいな。
加藤:いま、まちの人から何か言われることはありますか?
晝田氏:ないことはないですが、生卵をぶつけられるようなハードなことはないです(笑)。
加藤:(笑)。
役所の業務と『ここやる』を連動させる
加藤:普段の役所での仕事に『ここやる』を活かすことはできるのでしょうか?
晝田氏:できます。僕の今の業務が、中小企業支援とか商店街活性化とか、企業創業支援なんです。そもそも、仕事として商店街支援するためには、自分が飛び込んで同じ方向を向くことが必要なんじゃないかと思っていました。
結果、ここやるの成果としてシャッターが4店舗開きました。自分が飛び込むと、商店街の人の生の声を聞けるので、それを業務の施策に反映させられます。他にも、担当に創業支援の業務もありまして、先ほども少し話しましたが『Startup Weekend(スタートアップ ウィークエンド)』というアメリカ発祥のプログラムを、『ここやる お試し半日版』としてやってもらいました。
それがすごく良かったので、役所の業務として予算を取って、今年の6月に実際に動き出しました。そこに40人くらい参加してくれたので、もう1度やりたいと思っています。実は、次にやる場合はまた行政の手を離れてもいいと思っているんです。民間事業者で主導してやりたいという人達が出て来てもいい。
加藤:『ここやる』で小さく初めて、役所が少し大きいものをやる。そこからさらにもう一度民間がやってもいい、というのは面白い発想ですね。官民の壁がとても薄く、本来の行政と民間のあるべき理想かもしれません。
晝田氏:『ここやる』はゼロからイチをつくる場だと思っているので、『トライアルの場』、『失敗できる場』だと思っています。それを維持するには、市役所から独立させた出島になっておいたほうが良いんです。
出島としての『ここやる』に価値がある
晝田氏:私達、自治体職員には異動があるんですよ。僕もいまは仕事で商店街に関わっているんですけど、何年後か必ず異動があります。そうすると、もう直接的に関われないんですよね。それはすごくもったいない。
けど、出島を作っておけば、異動になったとしても関われるんですよね。『ここやる』のスタートアップメンバー4人は全員商工労政課なんですが、僕が福祉に行ったり、他の人が環境部に行く、そうなればそれぞれの知っている領域が広がると思うんです。そこで学んだことをまた『ここやる』に持ち帰ってきて、「福祉のこういう課題があるからイベントでこういう人を呼ぼう」、と新たな広がりがあるはずなんです。
加藤:小さな成功体験を積んで行くうちに、どんどん大きくなっていくと思うので、行動する強みが生きていますね。
晝田氏:「もっと量じゃなくて、質を求めた方がいいんじゃないの?」っていう意見もあるんです。「しょうもない」とか、「女子大生とタコ焼きパーティやって何なの?」「何か生まれるの?」みたいに言われるんですけど(笑)、どんどんトライアルでやっていくことで、質も磨かれていくと思います。
加藤:本当にそう思います。何かを立ち上げた直後は特に、量をこなすことで質に変えていけますからね。
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※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。
第1話 多様な住民が混ざり合う場の創出
第2話 悔しいと思ったのは図星だったから
第3話 お前らみたいなやつを待っていた
第4話 役所の業務とオフの活動を連動させる
第5話 「めげずに外、出ましょ!」
第6話 地方自治体の仕事を世界に広げる