空気を読まずに“空気をつくる側”に回る
加藤:晝田さんのように20代の頃から目立った活躍をする自治体職員は、そう多くいないと思うんですね。早くから活躍するためには何が必要だと思いますか。
晝田氏:空気を読む人はすごく多いと思うんです。だから、“空気をつくれる”ようなことを意識するっていうのがすごく大事だと思っています。
公務員になる人って基本は全員まじめだと思うんですよ。学級委員タイプというか。だからとんだムチャはしないし、上司の意見を尊重するし、周りの空気を読んじゃう。
一方、今の若い子はすごく積極的に活動しています。たとえば、地元の愛知学泉大学っていう学生の子が、まちの人と一緒にお祭りとかイベントをやって、まちづくり関わっていたりする。
でも、そういう子らが公務員になると、朱に交われば赤くなるじゃないけど、組織の中でだんだんだんだん染まっていきます。実は、『ここやる』にはそこを打破したいという想いもあります。
加藤:どうしたらそれができると思いますか?
晝田氏:どんどん外に出るべきだと僕は思っています。公務員は勉強家の人も多く、勉強会とかを開催するんですけど、大体、内輪でやっていて、良くて近隣自治体の同じ部署とかで勉強会を開くんです。
そうじゃなくて、もっともっと外のコミュニティー、学生でもいいしビジネスマンとか商店主だとかそう人達に会って、外の人達はこんだけすごいスピード感で動いているんだとか、こんだけすごい想いを持っている人がいる、というのを若手のうちから知ることが、すごく大事だと思っています。
若手には時間がある
加藤:逆に若手ならではの強みは何だと思いますか?
晝田氏:さっきの商店街活性化の話みたいに、自分が最もやりたい仕事に関われなかった先輩もいるんですよね。その人は、ポジションもあるし家庭もある。だけど、時間がない。
若手には時間があるので、そういった先輩達の想いを汲み、考えを教えてもらいながら進めることができる。そうすると、先輩から応援をしてもらえるようにもなる。それは強みですよね。
加藤:「自分がやりたかったけどできなかった。だから手伝うよ」と、言ってもらえたというケースは良く聞きます。
先輩の支援は本当に心強い
加藤:逆に、若手が「何かに打ち込みたいけど思いつかない」というケースがあったとき、信頼や尊敬をしている先輩に、「昔やりたいと思っていたけど、実現できなかったことありました?」とか聞いたら、何か出てきそうですよね?
晝田氏:出てきそうですね。
加藤:全く新しいアイデアなんて世の中にほとんどなくて、以前に誰かしらが考えたりしていますよね。特に行政は新しいものを動かすのが難しい組織だけに、そういうアイデアが実現されず、個人のところに留まっている気もします。しかも、なぜ実現しなかったのかも教えてもらえる。
晝田氏:それありですね。先輩方に聞いて「僕がそれをやりたいです。じゃあ、一緒にやりましょうよ」とか言ったりして…。
加藤:そしたらその先輩も自動的に仲間になりますよね(笑)。
晝田氏:それは本当に心強いですね。金銭的なことや人脈的なこともそう。そして、批判を受けたときに壁になってくれる。役所の上層部にちゃんと筋を通してくれるなど、いろんな協力をしてもらえると思います。
『行動力』『フットワーク』『バランス感覚』
加藤:ご自身の強みは何だと思いますか。
晝田氏:なんでしょう(笑)。『行動力』と『フットワークの軽さ』はあると思うんですけど。とはいってもやっぱり公務員なんですよね。公務員仲間からは、「ぶっ飛んでるよね」とか言われるんですけど、どっかしらで“いい子”なんです(笑)。
加藤:それすごく分かります(笑)。私がインタビューしている人で「組織の中で浮いています」という人もいますが、民間人からすると、どう見ても正統派にしか見えない人が多いんです。
晝田氏:公務員は普通の人なんですよ(笑)。だから、『行動力』『フットワーク』とともに、一方で『バランス感覚』を持っていたいと思っています。
僕は真っ昼間でもなく真夜中でもない、“夕暮れ”に立っていたいんですよね。軸足は公務員にありつつ、ビジネスマンの世界にも関わりながら、良い意味で風見鶏というか、両方の世界を見られるようにしていきたいです。
もっと人に任せなければいけない
加藤:これから伸ばしたい能力はありますか?
晝田氏:もちろんいっぱいあるんですけど。一つが『人に任せる』ということです。いまいろんなコミュニティーに参加、参画しているんですけど時間的に限界で…(笑)。
活動していると、面白いことがどんどん増えてくる。そうするとお声がけも頂くので、結果として全部『ここやる』のためにもなっている。そして、『ここやる』のためになるってことは地域、岡崎市のためにもなると思っています。
それが、一人で抱えきれないレベルになってきたところを任せたいです。ここから『ここやる』がさらに飛躍するには、もう僕だけの力じゃ先が見えています。いまの1.3倍とかではなく、3倍、5倍、10倍の影響力にしていくとなると、いろんな人に関わってもらわないといけない。
加藤:企業が大きくなるフェーズでも一緒ですよね。任せないと大きくは変わらない。
晝田氏:『ここやる』は僕自身のブランディングのために使っているわけじゃないんで(笑)、人と共有していきたいんです。自分をブランディングすることがここやるに関わってくれる人を増やす手段として利用できることには意味がありますけど、それ自体は目的にはなり得ません。
みんなと共有することで広がりが生まれ、岡崎から日本や社会、世界をより良い方向に導いていけると信じています。
「めげずに外、出ましょ!」
加藤:全国に20代の職員が沢山いると思います。アドバイスを求められたら、何を伝えますか?
晝田氏:僕が入庁したときにある部長から「めげるな」って言われたんです。「おまえはその笑顔がいい、でも、多分いろいろこれからある。めげるな!」って言われて、僕はその言葉を糧にしているんです。
自分と合わない上司がいたとしても何年か経てば上司は代わるし、そもそも役所の外の社会はものすごい勢いで変わってきている。役所だってどんどん変わっていかざるを得ないから、何かを変えたいと考えている人のところには、そのチャンスは絶対来ると思っています。
だから、めげずにどんどん外へ出て、色んな人脈を作って学びを得ていく。仕事としてできないんだったら外のコミュニティーで動く。既に地方創生がうたわれて何年も経っているから、まちで活動している住民って沢山いると思うんですよね。そこにまず参加してみて、次に運営側に参画する。そこで、何か違うなとか、自分でもっとやりたいと思えば、自ら作ればいいと思っています。
それを一言でいうと、「めげずに外、出ましょ!」という感じです(笑)。
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※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。
第1話 多様な住民が混ざり合う場の創出
第2話 悔しいと思ったのは図星だったから
第3話 お前らみたいなやつを待っていた
第4話 役所の業務とオフの活動を連動させる
第5話 「めげずに外、出ましょ!」
第6話 地方自治体の仕事を世界に広げる