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コラム 地方公務員アワード

地方公務員アワードは嫌いになっても、業績評価は嫌いにならないでください

(株式会社ホルグ代表取締役 加藤年紀)

「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード」(以降、地方公務員アワード)が今年10周年ということで、改めて「地方公務員アワードのこれまでとこれから」や「役所の環境の変化」などについて、率直に書いていきたいと思います。

地方公務員アワード2026、地方公務員サンクスアワードはこちらをご覧ください(https://www.holg.jp/award/2026-01/

私が筆を執ることについて、特に誰に期待されていることもないと思うので、開き直って好き勝手に書いてみるつもりです。この記事を読んで、もし皆さんの職場に「すごい人」「感謝している人」「もっと知られてほしい人」が一人でも浮かんだら、ぜひ推薦してほしいと思っています。

7月7日までの推薦時期に、以下のようなトピックで7記事ほど書いていく予定です。

(1)地方公務員アワードは嫌いになっても、業績評価は嫌いにならないでください
(2)地方公務員アワード10周年企画-サンクスアワードへ込めた思い
(3)若手の離職以上に注意すべき、40歳以上の離職増
(4)地方公務員アワード、主催者ならこう批判する
(5)地方公務員アワードは、なぜ他薦なのか
(6)公務員は民間に通用する・しない論を考える-受賞者だけではない、すごい公務員たち
(7)10年で見た、地方公務員への希望と絶望

皆さんの自治体は、法律違反をしていませんか?

さて、この記事のタイトルにもある業績評価、皆さんは好きですか嫌いですか?

地方公務員アワードは2016年に、誰からも求められることなく突然誕生しました。くしくもこの2016年度から地方公務員法が改正され、全国の自治体では人事評価制度の導入と活用が義務付けられました。

第23条(根本基準・活用義務)
人事評価は公正に行われなければならない。また、任命権者は人事評価を「任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用するものとする」。
第23条の2(実施義務)
任命権者は、定期的に人事評価を行わなければならない。
第23条の3(措置義務)
任命権者は、人事評価の結果に応じた措置を講じなければならない。

当時の国会の内閣委員会の会議録では、2012年度に都道府県で約八割、指定都市で九割、市区町村では三割程度が人事評価制度を導入していたことが残っています。一方、総務省の調査によると、2024年4月時点では、全ての都道府県と指定都市が「昇給」「勤勉手当」「昇任・昇格」「分限」に人事評価を活用し、市区町村でも約8割が活用済となりました。逆にいうと、活用に至っていない約2割の自治体は、地方公務員法において違法となってしまうように思えます。

地方公務員アワードが誕生してから2~3年が、最もアワード批判が大きかったことを覚えています。「地方公務員の仕事は成果で測れない」「多様な職種があるので比較できない」「窓口の仕事は改善できない」など色々言われたのは、不慣れな人事評価対応に追われる人事担当、期初や期末の面談のための研修をおこなう管理職、納得感のない被評価者の感情も多少はあったのかもしれません。

完璧な人事制度も制度運用も存在しない

さて、この人事評価制度ですが、管理職は「膨大な時間がかかる」、部下からは「どうせ中間評価しか付けてくれないし、頑張っても報われない」てな感じで、立場問わず多方面の地方公務員から嫌われている面があると思います。

実は私も15年ほど前、サラリーマン時代に不満を感じたことはあります。自分がマネージャーを務めるチームの半年間の業績目標を達成したので、2週間休みを取ってヨーロッパを周遊したことがあるのですが、当時の評価者(執行役員だった直属の上司)に言われたのは「責任感がない」という言葉でした。

当時の私の役割は、不動産を探すウェブサイトの問い合わせを増やすこと。納得がいかなかったのは、私と同列の他2人のマネージャーは途中でチーム目標を下げても未達。私は目標を下げることなく、2か月前倒しで達成していました。しかも、私は3か月後から海外駐在が決まっていたので、世界、あるいは英語に慣れるために海外に行ったのに、「責任感がない」と言われました。達成するために必死に考えて行動し、実現したのに、それを全く理解されずにとても悔しかったことを覚えています。当時まだ27~28歳くらいで若かったこともあり、人事面談の時に時間をかけて意味を咀嚼しながら、無言で涙が頬をつたってきた記憶があります(せめてものプライドで「えっぐえっぐ」声を出すのは我慢しました笑)。

人類は業績評価よりベターな選択肢を見つけられたのだろうか?

「資本主義は完璧ではないが、まだ人類はベターな選択肢を見つけていない」、そんなことが言われます。「業績評価も完璧ではないが、まだ人類はベターな選択肢を見つけていない」と私は感じています。異論は認めます。

企業に勤めている時、特定の人の目標だけはやたら低かったり、好き嫌いで評価する人がいたり、人事評価に不満を感じることもありますよね。
それでも、長期間でみると評価してくれる人も多くいました。この仕組みがなければ、私はもっと辛い社会人人生を歩んだと思いますし、成果ではなく上手にサボりながら評価されるずる賢い方法に集中したかもしれません。また、組織側からしてみても、どのような人材を組織に抱えているのか、深く理解できないように思います。

業績評価は命綱① 「嫌がらせの異動」がなくなった

意外かもしれませんが、業績に対する評価や価値が浸透していることで守られることも民間では意外とあります。新卒入社から3年目の営業部時代、私のことが嫌いな上司の上司(2つ役職が上の上司)が、私を大手企業担当の営業から、地方担当に異動させると言ってきました。「お前が大手企業に営業できるのは分かった。地方企業にも同じことができるのか試したい」という建前でしたが、私が成果を出している環境を変えることで、私の評価を落とそうという狙いがあったようです。まあ部内の担当変更はよくあることなので、新しい環境でも成果を出そう。そして、北海道に出張したら寿司でも食おうくらいの心持ちでした。

担当の異動までの期間が2~3週間くらいあったのですが、異動を告げられてから1週間後くらいに、上司の上司の上司(3つ役職が上の執行役員)に呼び出され、開口一番、「お前を地方担当にするって〇〇(2つ役職が上の上司)から言われたんだけど、一番営業で売っているやつを売上規模の小さい担当にするメリットがないから、異動は白紙にしたわ」と言われました。3つ上の上司であっても部下の業績や人事評価(行動評価含む)などを知ることができるような仕組みがなければ、私は好き嫌いによって立場を変えられていたのだと思います。(北海道の寿司は食べたかったけど)

業績評価は命綱② 成果が出ているうちは激詰めされなかった

昔の記憶をたどると、若かりしほろ苦い記憶がまた少し呼び起こされてきました。私のことが嫌いだったこの上司は、私が入社して2か月くらいの時、別の支社にいて一度も会ったことがないのに、「お前生意気らしいな」という一文のみのメールを送ってきた人でした。その後も、彼は上司の上司という立場が多かったのですが、何かにつけて鼻につく私に、圧をかけてくる人でした。(「鼻につく」「偉そう」は皆に言われていたので理解できるが笑)

そんな中、何の権力もない若手社員の私にとっては、営業成績は生命線でした。営業部ということもあり、営業成績は正義。それが出ているうちは死ぬほど詰められることはなく、評価を意図的に落とすことも難しい。だからこそ私は、必死に業績に集中できていたとも言えます。業績が正義という明確な文化(ただし、犯罪や利己的なものを除く)が、好き嫌いによるハラスメントから自分を守っていたことは間違いありませんでした。だから私は、仕事ぶりが誰かに見えていること、そしてそれが評価に値すると明言されることには大きな意味があると思っています。

民間企業でも売上に直結しない部署は沢山ある

業績評価の話が出てくると、役所には売上など分かりやすい数字がないから評価できないといった定型文のような批判をもらいます。でも、民間企業でも売上に直接影響を持つような営業マンは約11%しかいません。そして、経理や法務、債権回収などの部署もあります。こういった地道な仕事でもコスト削減を求められたり、プロジェクトを遅滞なく進められたかといった評価項目が並び、大々的に評価されたり報酬で報われることも少なくありません。「窓口には改善するところなどない」、とよく言われていたのですが、ついに昨年窓口改善を進めた方もアワードを受賞しました。自分たちの仕事は誰も見ていないと感じていたら辛くないでしょうか。どんな地味な仕事であっても、自分の仕事を誰かが見てくれているだけで、もう少し頑張れる人もいるはずです。

業績評価の進化を追えていますか?

「役所の仕事はチームでやっているから、個人を評価することはできない」、これもよくアワード批判で言われることがあります。でもそんな人に限って、「あいつは仕事ができない」みたいな悪口を言っていませんか? 同じチームの中で仕事をしても、個々人の貢献度合いが異なることなど、本当は誰でも知っていることです。

Googleやネットフリックなどでは、「ピアフィードバック(Peer Feedback)」と呼ばれるものがあります。業務上のプロジェクトで同じチームになった際、お互いの貢献度や評価を送り合い、人事評価に勘案されるものです。日本でもDeNAなどの企業では、職員間で率直なフィードバックがされているようです。人を正しく評価し、成長や満足度につなげようと、常に試行錯誤をする企業は多く存在します。「ピアフィードバック」の負担が大きくなり過ぎたためにその負担感を減らすなど、Googleのような先進的な企業であっても試行錯誤しながら最適解を模索しているのです。

職場の感謝が、“お金”と“評価”に変わる?

メルカリではスタッフ同士でリアルタイムに感謝・称賛し合うと同時に、インセンティブとして一定額の金額を贈り合える仕組みがあります。給与に直接反映されないケースもありますが、感謝を可視化することや、評価の仕組みに組み入れる大企業も意外と増えています。中外製薬、アサヒグループ、旭化成、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)など、民間企業でも数百社はこのような取り組みを試してきました。

今年は地方公務員アワード10周年の企画として「地方公務員サンクスアワード」をおこないます。これはまさに、周囲の地方公務員へ感謝を伝える企画です。
地方公務員アワードの最も大きな目的は、「社会にすごい公務員を知ってもらう」ことですが、庁内でも、成果をあげた人、そして、感謝される人が今以上に評価されるべきだとも思っています。

皆さんは業績評価(人事評価)に対して、どう感じていますか? そして、業績評価はどうなるべきでしょうか。今年のアワードをきっかけに、組織内のポジティブな心の動きである“感謝”にも注目してほしいと感じています。

締切は7月7日まで。
地方公務員アワード、サンクスアワードへの推薦をお待ちしております。
https://www.holg.jp/award/2026-01/

以降、こんなことを書いていこうと思います。

(1)地方公務員アワードは嫌いになっても、業績評価は嫌いにならないでください
(2)地方公務員アワード10周年企画-サンクスアワードへ込めた思い
(3)若手の離職以上に注意すべき、40歳以上の離職増
(4)地方公務員アワード、主催者ならこう批判する
(5)地方公務員アワードは、なぜ他薦なのか
(6)公務員は民間に通用する・しない論を考える-受賞者だけではない、すごい公務員たち
(7)10年で見た、地方公務員への希望と絶望

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