自治体のコスト削減につながるサービスを検討
加藤:広告領域外の売上を上げていくにあたり、どのような事業を考えられていらっしゃいますか。
時津氏:先日、電力販売事業への参入をリリースしました。まだ小売電気事業の登録申請中なので、詳しい話はできませんが新規事業の柱として準備しています。
今までは、自治体の財源確保ができるサービスを、遊休スペースの買い取りや冊子を作ることで叶えてきました。作成コストが数百万かかっていた冊子を、弊社にお任せいただくことで無料になり自治体のコストを削減に貢献してきました。それと同様に、例えばこれまで年間5億円かかっていたものを4億円に削減することだけでも、非常に価値は高いと思っています。
これからは自治体にお金を稼いでもらうという発想だけではなく、コストを下げていくことも可能だと思っています。
加藤:なるほど。ソーシャルインパクトボンドみたいな概念で、「コストを削った分のうち手数料をください」というビジネスなども考えられますね。
時津氏:ソーシャルインパクトボンドは概念としてすごく新しいですよね。これが日本にどう定着するかはまだテスト段階だと思いますけど、方向性としてはもうそうあるべきだと思っています。
この一年間は、会社としても非常に耐える時期でありました。でも、自治体の課題は唸るほどありますから、今後もどんどん攻めていきたいと思っています。
新たな事業でさらに自治体をハッピーに
加藤:従業員数はおおよそ180人とのことですが、営業の方が多くを占めるのでしょうか。
時津氏:広告枠を売る営業部隊が70名程度、行政に対しての営業部隊が30名程度になります。あとは、人事部や管理部、『ジチタイワークス』、『自治体クリップ』を運営しているマーケティング部に10名弱ぐらいいて、事業開発やIR、広報の担当もいます。
加藤:売上と比例して人の数を増やさなければいけないモデルではありますよね。
時津氏:はい、労働集約ですね。ある程度のところまではどんどん採用をして社員を増やしても良いかなと思っていて、4月に入る新卒を入れて約200名まで増やす予定です。ただそこから先は、会社として生産性を追求するフェーズになりますね。そして、組織も大きく変えることになると思うので、肝となるような人材を多く入れると思います。また、今いる人間の能力をどう高めるのか?教育していくのか?も同時に考えています。
利益を出すことも大事だが挑戦をしたい
加藤:利益を改善していくためには、売上を増やすかコストを抑えるかのどちらかになると思います。どちらの方向性を優先しますか?
時津氏:今期の大方針は売上を伸ばすことです。一度利益を捨てて、まずは人を採用していこうと2017年だけで80人以上採用しました。そうなると、人件費が先にかかってしまいますが、その分これから売上を取りにいこうと思っています。
加藤:なるほど。人件費の投資が2018年から2019年に実を結ぶ計画なので、一時的な赤字は問題ないという判断なのでしょうか。
時津氏:そうですね。ここの大勝負はすごく議論が分かれました。上場して2年目ぐらいで赤字に転落すること自体が、会社がマーケットからどう捉えられるかということと、ステークホルダーに対してどう説明するのかという2点において大きく意見が分かれました。
おそらく人を採用せずに、利益を出すことはできたと思うんですよ。でも、東証2部ならまだしも、まだマザーズ上場の段階です。そこで利益を出すことに注力するよりも挑戦したいと思って、経営陣からコンセンサスを取りました。
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※本インタビューは全7話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。
第1話 自治体の財源確保を支援する自治体ビジネス
第2話 面白い自治体職員のデータベースを作りたい
第3話 スーパーサイヤ人理論を信じている
第4話 世界の行政課題を解決する会社にしたい
第5話 利益を出すことも大事だが挑戦したい
第6話 10年後も“ありがとう”と言ってもらえる会社でありたい
第7話 市民の味方である職員と出会いたい