インタビュー

【株式会社ホープ 時津 孝康氏 #1】自治体の財源確保を支援する自治体ビジネス

株式会社ホープ 時津 孝康#1

時津孝康(ときつたかやす) プロフィール
株式会社ホープ(東証マザーズ)代表取締役社長兼CEO。1981年、福岡県生まれ。2005年に福岡大学を卒業し、有限会社ホープ・キャピタル(現:株式会社ホープ)を創業。自治体が保有する遊休スペースを有料広告枠として買い取り、民間企業へ販売。掲載料の一部を自治体の歳入に充てることで、自治体の財源確保・経費削減を支援。2017年6月期には売上約18億円の企業に育て上げた。

―自治体の遊休スペースを広告として販売する事業を行う珍しい会社がある。その会社は株式会社ホープといい、2016年には東証マザーズに上場した。同社は自治体に特化したサービスの多角化を進め、広告事業だけではなく自治体の情報を発信するメディア運営など開始した。
 今回、同社の創業者であり代表取締役社長兼CEOを務める時津孝康氏に創業から現在に至る経緯や、今後の展望、自治体への想いなどを伺った。

自治体とwin-winのビジネスモデル

加藤(インタビューアー):現在、行っている事業について教えていただけますか。

時津氏:当社は2005年に創業し、自治体に特化したサービスを展開している会社です。売上の約90%が広告における収入となっております。

 サービスは大きく2つあります。1つ目はDS(デッドスペース)サービスです。こちらはホームページや広報紙など、自治体が保有する遊休スペースを弊社が在庫リスクを負って買い取り、弊社が有料広告枠として民間企業へ販売することで、自治体の財源確保を支援するサービスです。現在は、北は北海道から南は沖縄まで多くの自治体にご利用いただいています。

株式会社ホープ ビジネス1

 2つ目はMC(メディアクリエーション)サービスです。子育てや介護など、ライフステージの変化に合わせて、自治体が発信する専門性の高い市民向け情報冊子を編集制作から印刷納品まで実施し無償で寄贈を行うサービスです。冊子の制作は弊社のデザイナーが担当し、デザインなど民間ならではの視点を組み込んだ冊子を自治体と創り上げることによって、よりわかりやすく住民に行政情報を伝えることが可能となり、市民の方々にも喜んでいただけるような冊子を制作しています。制作などにかかる費用は地元企業からの広告掲載費より捻出することで、自治体への歳出削減を支援しています。

 弊社は、企業様からの広告掲載費が売上となり、自治体にとっては「遊休スペース」等の活用により財源確保・経費削減が可能となり、お互いwin-winの関係となります。創業から現在に至るまで累計約50億円の財源確保・経費削減に貢献しております。

なかなか受け入れてもらえなかった

加藤:当時、自治体の遊休スペースは注目されていなかったということですか。

時津氏:そうですね。当時は、自治体に営業に行っても名刺を受け取ってもらえることも数少なく、話を聞いてもらえることはほとんどありませんでした。

 とにかく自治体の方々からすると、今までにない提案ゆえにハードルが高かったのは事実だった思います。

行財政改革の風が、一気に事業を進めた

加藤:その状況から、どんなきっかけで事業が進むようになったのでしょうか。

時津氏:私が切り開いたというより、明らかに時代の風が吹いたことですね。2005年あたりはご存じの通り、横浜の中田宏市長が「行財政改革!」と旗を振って進めておりました。自治体も財源を自ら稼ごうと言い始めた頃です。本当に行動の早い首長さんでしたので、その機運が全国的に高まっていきました。

 ただ、当時の私自身はどの波に乗っているかわからない訳ですよ。それでも、中田市長の影響がすごく強くて、呼応して動き出す自治体が増えてきていると肌で感じていました。

創業から1年8ヶ月後に初契約

時津氏:そのような中で、2006年10月に福岡県太宰府市役所の秘書広報課が、始めて広報紙に広告を入れる、つまり、入札をすると門戸を開いてくれました。会社を作って約1年8ヶ月後に初めて契約をいただきました。

 私の情熱とか会社の想いもあったかもしれませんが、明らかに自治体の行財政改革のムーブメントが水面下で出始めて、それが顕在化して表に出た一発目だと感じています。

加藤:社長が向かっていた方向に時代が追いついてきたということですね。

時津氏:うーん、偉そうに言うとですが(笑)。

福岡・熊本・佐賀の自治体を行脚

加藤: 契約までの1年8ヶ月間はいろいろな自治体に営業されたのですか?

時津氏:福岡県、熊本県、佐賀県は行脚していましたね。でも、やっぱり相手にしてもらえないんですよ。当時は今と違って、ベンチャーと組んで新しいことをしようという機運はほとんどありませんでした。「そんな危なっかしい会社と仕事なんてできるか!」みたいな風潮でしたね。

加藤:どのぐらいの数の自治体を営業したのですか?

時津氏:福岡県はおそらく全ての自治体を回ったと思います。もう合併してなくなってしまった自治体もありますけど、70ぐらいは営業しましたね。自治体の反応も様々で、1回で行くのをやめた自治体や、物理的に遠くて行けない自治体、明らかに「もう来ないでください」という反応をされた自治体もありました。

 このような中でいただいた初契約は、まさに潜在的なニーズが顕在化した瞬間だったと思います。「この契約は絶対逃しては駄目だ」という強い想いがあって、意地で取りにいった一本でした。
 この契約を皮切りに、新聞などで取り組みを紹介していただいたことで、太宰府市に隣接している自治体の動きが出始めました。とにかく1つひとつ大切に、丁寧に取り扱いました。正直、特別なことは何もしていませんが、自治体の人たちのニーズをしっかり捉えて、本当に丁寧に仕事をするように気をつけました。

※本インタビューは全7話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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