『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員2019』、10人目の受賞者の紹介です。
越前市のご当地グルメを確立し盛り上げてきただけでなく、今まで経験してきた各部署でそれぞれきちんと成果を残していったことで、受賞へとつながりました。
波多野 翼(越前市役所 市民福祉部社会福祉課 主査)
推薦者①相澤 智生(岩見沢市役所 総務部防災対策室)
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
越前市のB級グルメ「ボルガライス」の普及及び知名度向上
推薦文
ボルガライスは、オムライスの上にトンカツがのった料理で、越前市内の飲食店で30年以上前から提供されていたご当地グルメである。
このご当地グルメの情報発信を行い、越前市を元気づける活動をしてきたのが日本ボルガラー協会の波多野氏である。
活動を始めた10年前は、ボルガライスを知っている人は地元でも少なく、提供する店も5店舗しかなかったが、現在では20店舗以上で提供され、さらに東京、大阪、名古屋のお店でも食べることができ、コンビニ各社のお弁当、国際線の機内食、学校の給食に採用されるに至った。
協会の活動資金は、協会メンバーの微々たるお小遣いであり、提供店からお金をもらったり、行政から補助金をもらったりはしていない。あるのはボルガライスと地元への愛、そして、たくさんの人の応援と協力である。
波多野氏の活動がもたらしたものは、ボルガライスの知名度を上げただけではない。テレビなどのメディアに映る波多野氏の姿を見て、市役所の中に「できることからはじめよう」という空気が作り出され、波多野氏に続けとばかりに、先輩後輩関係なく地域活動をする人々が生まれたことが最大の功績であろう。
・ボルガライスと共に越前3大グルメとして売り出される「たけふ駅前中華そば」
・地元食材の普及を目指す「越前市まるごとキッチン部」
・ごみ分別アプリ「ゴミチェッカー」を制作した「越前ぷらぷらぼ」
波多野氏に続いた越前市職員による活動は、全て「地元のために何ができるか」を追求したものであり、それこそ地域に飛び出す公務員が忘れてはならない姿勢である。
現在、波多野氏はボルガラー協会の活動に加えて、自らの子育ての経験をもとに「子育てコミュニケーションアドバイザー」としての活動を開始した。ボルガライスの普及で培った経験をもとに、新たな分野でも活躍されることを期待してやまない。
推薦者②岩田 早希代(福井県庁 広報広聴課)※本年6月退職
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
民間出身こそのフットワーク・企画力・地域を巻き込む連携力。現在3回目の育休取得中で公務員育メンの鏡!
推薦文
バリバリ民間で営業の仕事をしていた波多野さん。越前市に転職して最初に配属されたのは観光振興課、次に秘書広報課。どちらも現場に出ることの多い部署。彼のフットワークの軽さと企画力が活き、インパクトのある功績を残しました。
例えば観光課では、市を代表する観光イベント「たけふ菊人形」のマスコットキャラクター「きくりん」を制作。まん丸としたシルエットの可愛らしいキャラで瞬く間に浸透、今ではすっかり福井の子供達が大好きなキャラになっています。誠実に地域に入り込む彼は、誰もが避けたいの課題にも向き合い形にしてきました。その一つが広報課時代に担当した広報誌。市内にいる拉致・特定失踪者についての特集記事を掲載。この号(平成25年10月号)は福井県広報コンクールで優秀賞を獲得し越前市初の県広報コンクール受賞をもたらしました。
さて、波多野さんが今在籍しているのは社会福祉課。異動が決まった時は「彼の能力を殺してしまうのではないか?」と誰もが首をかしげました。しかし、能力がある人はどこにいっても活躍するんですね。すぐに生活困窮者の早期支援「わかちあいプロジェクト」を立ち上げました。水道課・地元の社協・JA・郵便局・赤十字と連携して水道料金滞納者にお米を送るプロジェクトです。各団体の協力を得て運営しているので費用は郵送料のみ。2018年10月から2019年3月末までの半年間ですでに21世帯68人の支援に結びつき、今後さらなるサポートに展開していくそうです。
実は波多野さんは3児のパパで現在3回目の育児休暇取得中の育メン!(それぞれ2ヶ月間)「子育てコミュニケーションアドバイザー」(民間の資格2つ取得)として越前市男女共同参画センターの子育て講座の講師を務め、自身の経験と知識を地域の皆さんと共有しています。プライベートを充実させ、仕事と地域活動にしっかり還元している生き方が、地方公務員の鏡だと思います!
推薦者③上城戸 佑基(越前市役所 商業・観光振興課 シティセールス推進室)
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
越前市のグルメ「ボルガライス」の発信、子育てコミュニケーションアドバイザーとしての活躍、絵本販売
推薦文
越前市のグルメとして全国に名を轟かす「ボルガライス」。そのきっかけを作ったのが「波多野 翼」だ。当時の横浜からの交流職員に意見をもらい、あまり市内でも知名度が高くなかったソウルフード「ボルガライス」を全国区まで広めた。一般の方から支援金を集め、越前市出身の漫画家「池上遼一」氏にポスターを依頼し、ポスターを製作。支援者には、ポスターを配布し、越前市はボルガライス一色になった。お寺から美容室、一般の住宅まで、その支援者はポスターを貼り出した。今では「越前市三大グルメ」の一角となり、全国各地でボルガライスが食べられるようになった火付け役だ。
そのほかにも、結婚し子どもができたことから、プライベートで「チャイルドコーチングアドバイザーとチャイルドカウンセラー」の資格を取得し、越前市男女共同参画センターで「子育てコミュニケーションアドバイザー」として、大好評の子育て講座の講師をしている。その知識や自身の子育ての経験をもとに「いなくなれおばけのバッチン」を発刊。
その活動は、越前市役所の職員にも「地域に飛び出し、活動しやすい雰囲気」を与え、マスコミに「庁内起業」と取材されるなど、多くの影響を与えている。
市役所の職員としての業務以外に、自身のプライベートの活動でこれだけの活躍をしている彼を「すごい!」と言わず、誰をすごい!というのか...。私は自信を持って「波多野 翼」を、すごい!と推薦する。
推薦者④伊藤 俊也(福井県庁 敦賀児童相談所)
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
ボルガラー協会を立ち上げ、ボルガライスを「武生に来たらボルガライス」と言われるまでの存在にした
推薦文
越前市役所の職員である氏は、街に活力と楽しさを自らの手で生み出そうと、プライベートで、昔からある「ボルガライス」というソールフードに着目して、「ボルガラー協会」を立ち上げ、自らをボルガチョフ(会長)と名乗り、ボルガライスの普及や開発、ボルガライスを通じて地元の良さを気づいてもらう活動を続け、「武生に来たらボルガライス」と言われるように、今では越前市三大グルメの一つとして無くてはならない存在になったことがスゴイです。
氏の熱意と明るさが、ボルガライスを出す飲食店を増やし、イベントへの協力にも繋がり、さらには、ボルガライスを出す店が、海外にまで広がるなどしています。この情熱は、地元出身の超一流漫画家「池上遼一氏」を動かし、「武生に来たらボルガライス」というキャッチコピーのポスターの絵を描いていただいたこともスゴイ!のですが、そこから派生して池上遼一氏に越前市の観光ポスターを描いていただくことに繋がり、「極 池上遼一展」という原画展の開催にも繋がっています。
この活動が、さらに、後進の市役所職員を触発し、プライベートでも市を魅力や楽しさを作り出そうとする活動をする職員が出てきていることがスゴイことだと感じます。
推薦者⑤三樹 睦月(横浜市 緑区地域振興課)
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
越前市武生のソウルフード「ボルガライス」を応援する「日本ボルガラー協会」を設立、代表として活躍!
推薦文
福井県越前市武生の喫茶店などで細々と提供されていた、地元の人なら知っているけど地元以外では知られていなかった「ボルガライス」。今を去ること9年前、波多野氏が越前市役所観光振興課に入庁して間もなく、命名の由来も発祥のお店も謎に包まれていたこのメニューの面白さにいち早く着目。周囲の数人を巻き込んで勝手にボルガライスを応援する「ボルガラー協会」を設立。その場のノリで代表に就任、「ボルガチョフ」を名乗る。
規約なし会費なし。とにかく自分たちが楽しみながら話題になればそれで良し、と、今から考えたらメチャクチャなボルガライスのPR動画を撮ってユーチューブにアップしたり、HPを作ったり。話題作りに頭を捻り、越前市出身の劇画家、池上遼一先生を口説き落とそう!と千円の寄付金をかき集め、見事にPR用のイラストを描いていただく事に成功。今でもボルガライスといえば池上遼一先生の絵と、キャッチフレーズ「武生に来たらボルガライス」はワンセット。このポスターではあえて「ボルガライス」の説明をせずに、思わず「?」と思わせる仕掛けも良かった。時はB級グルメ全盛時代、メディアにもどんどん取り上げられ、今では北陸で知らぬ人なしの立派なボルガライスとなりました。
そんな、マイナー→わりとメジャーへの道のりの間でも、補助金やら協賛金やらはあてにせず、自分たちがまず楽しみながら話題を作っていければOKという基軸がとにかくブレない。明るく周囲を巻き込み、ボルガライスの、ひいては越前市のPR隊長を軽々と努めている(ように見える)その姿勢は本当にたいしたものです。今では、3人の娘のイクメンとしても活躍し、絵本も作っているというウワサ。
公務員としての本懐も踏まえつつ、住民として地元を盛り上げるその姿勢は「本当にすごい!」よって地方公務員アワードに推薦いたします。
審査員のコメント
在籍各課での企画力、展開力にあふれた取組みで、受賞歴など成果も出ている。また、ボルガライスを名物に押し上げた巻き込み力も素晴らしい。公私ともに実績を上げている点で高く評価しました。(領家誠)
複数の職場で高い成果を上げていることに敬服。秘訣を語って頂きたいです。(岡元譲史)
地道な努力を継続して成果を出した点と波及力が評価できます。(井上純子)
補助金なしで、地元の方々と協力し、ご当地グルメを国際線機内食として提供されるまで押し上げられたこと。どんな課でもご活躍され、人をつなぎながら、まちを楽しく盛り上げておられることが素敵です。(大垣弥生)
地域資源を波及させた手腕とコミュ力、弱者に寄り添う姿勢を評価しました。(石塚清香)
やるから広めるへの転換が難しいが「空気感」が伝播するのステキです。(晝田浩一郎)
多くの結果を残していったことはもちろん、その明るい人柄で、周りを巻き込み、大きな影響を与えていく姿が本当に「すごい!」です。様々なエリアの方々からの推薦から、多くの注目を浴びていることもわかります。波多野 翼さん、受賞おめでとうございます!
【地方公務員アワード2019 推薦文の発表スケジュール】
8月19日(月)
①秋田 大介さん ②阿部 裕彦さん ③小川 知男さん ④川那 賀一さん
8月20日(火)
⑤倉田 麻紀さん ⑥佐久間 智之さん ⑦瀬戸 勇さん
8月21日(水)
⑧長井 伸晃さん ⑨中村 文彦さん ⑩波多野 翼さん
8月22日(木)
⑪平塚 雅人さん ⑫松尾 泰貴さん ⑬山口 明大さん
『地方公務員アワード2019』全体発表はコチラ
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後援
当センターは活力あふれ個性豊かな地域社会を実現するため、地域活性化のための諸活動の支援・地域振興の推進を寄与することを目的に設立し、地域を応援しています。
地域に飛び出す公務員を応援するために、60人を超える首長が参加。過去4回にわたって「地域に飛び出す公務員アウォード」を主宰。過去の受賞者プレゼンやサミットの内容はこちら。
Code for Japanは自分たちの街の課題を市民が主体となってITで解決することを目指す非営利団体です。データ活用研修やアプリ開発などの事業も行っています。
「社会の無関心を打破する」をミッションに、社会問題に関するスタディツアーを企画運営。地域住民向けにツアー企画スクールを開催し、外部事業者に頼ることのない、持続的な関係人口の創出に貢献しています。詳細はこちら
Jリーグと全国55のJクラブは地域の人たちをハッピーにしたいと願って活動してきました。ここからは「Jリーグをつかおう!」プロジェクトでより多くの皆さんと手を取り合って一緒に豊かなまちをつくることに挑戦します。
協賛
1979年より毎年、自治体職員を1年間、研修生として受け入れる研修制度「自治体等パブリックセクター年間研修受入制度」を実施。座学、OJT、フィールドワーク等で弊社の社員と共に働き、学び、帰任時には首長に自主提案を行う。観光や広報に限らず、幅広い分野部署で活躍できるプロデューサー人財の育成を目指す。
NECグループの社会ソリューション事業をICTで担う中核ソフトウェア会社として、社会やお客様とともに、先進技術とイノベーションで新たな価値を創造し、持続可能な社会を実現します。お客様の課題を解決する従来の業務システム開発/業務PKG提供に加え、共創を通じて社会課題を解決する社会価値創造ソリューションに取組んでいます。
プレスリリース配信サービス「PR TIMES」をはじめとして、企業とメディア、そして生活者をつなぐインターネットサービスを提供。利用企業数は3万社を突破。地域情報を流通させるための枠組みづくりも積極的に開拓しており、地方金融機関9行・2信金、地方メディア1媒体、地方自治体2市と提携している。(情報は2019年5月時点)
不動産・住宅情報サイト『LIFULL HOME'S』のノウハウを生かした全国版空き家バンク『LIFULL HOME’S 空き家バンク』の運営をはじめ、空き家問題を解決できる人材の育成を目的とした『空き家相談の担い手育成講座』を開講するなど、空き家問題の解決や地域活性のための取り組みを行っている。
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国内のすべての選挙を網羅する「政治山」と、700超の自治体広報紙を掲載する「マイ広報紙」を運営。公職選挙ならびに住民投票等におけるネット投票の実現を推進するとともに、ブロックチェーンなどの新技術を活かした投票システムの構築や運営支援を通じて、ネット投票の普及拡大への貢献を目指す。
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