インタビュー

【元豊田市 伴幸俊 #5】ボトムアップでトップダウンの風を起こす

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ボトムアップからトップダウンの風を起こす

加藤:係長の立場から、ボトムアップの改革を進めました。どうやって、組織の理解を得ていきましたか。

伴氏:どの自治体にも市長をはじめとする最高意思決定会議があると思いますが、そこで正論として改革内容を位置づけることが組織内の手続きとしては手っ取り早いと思います。案はボトムアップで上げるんですけど、そこでオーソライズすることでトップダウンで推進していきます。

 人事制度が時代に合っていないことは、経営層も感じています。正論で伝えた場合に、総論では反対する人は少ないと思います。「うちの市を良くしていくためには、時代に合った人事制度が必要」って、誰も否定できないですよね。

 人事制度で押さえないといけないのは任命権者である市長。市長がその気になってやれば、すごく動きやすいですね。ほかの自治体が視察に来ることも多かったのですが、その時に、「うちは民間から来た市長さんがやる気になっていて、人事制度を変えろと言われて困ってる」という話がありました。私から言わせてもらうと、そんなにラッキーなことはない。あとは自分の自治体に合った原案を考えればすぐやれるじゃないかって、頑張ってくださいと励ましていました。

加藤:市長が元々動こうとしているわけだから、やりやすいですよね。でも、同僚の目を気にして動きづらいというのはあるんでしょうね。

伴氏:人事制度のような職員にとって影響の大きい変革は、改革の風を感じられるかどうかも重要です。風が吹いてないと、大きな流れに乗れないんですね。風と言っても色々ある。国の大きな制度改革や法改正もあるでしょうし。市長が変わったとか、役所の中で不祥事が起きたとか‥、何か改革を後押しする職場風土があることが大切です。

 豊田市は改革に前向きな面があった気がします。豊田って、昔、挙母(ころも)市という名前だったんですけど、トヨタ自動車の本社ができたことで、1959年に豊田市に変わり、都市規模も急成長してきたまちです。そうした背景が影響したかどうか分かりませんが、あまりエリート官僚体質みたいなものはなく、いい提案であれば「OK、OK、やってみい」っていう感じの上司も多かったように思えます。

加藤:頭ごなしにチャレンジさせないような方はいなかったんですか。

伴氏:もちろん中にはいましたよ。自部署の上司は理解してくれましたが、よその部長や課長とは、口ゲンカもしていました(笑)。変化を止めたい人は絶対にいますからね。

人事改革は全員が理解してくれるわけではない

加藤:最も苦労したのは他部署の管理職との調整でしょうか。

伴氏:実は、そんなに苦労したとは思っていません。

 上司や年上の方には礼は尽くすんですが、改革が必要だから、言わなくちゃいけないことは言います。はっきりと口に出すと、相手も正論で返してくるから、その場で揉めても、わだかまりが残らない人が多かったように思います。逆に後日、いいアドバイスがいただけたりしました。

 既に市の方針として組織でオーソライズされているわけですから、実行フェーズに入れば協力的に意見をいただけるケースが多かったし、それに真摯に耳を傾けました。

加藤:緻密に先の展開を考えて進めていたわけではないものの、まず思いをぶつけることが重要。そうすれば、その場では伝わらなくても、やがて伝わる可能性があるわけですね。

伴氏:そうですね。言わなければ伝わることはありません。ただ、決裂のままの人もいますよ(笑)。全員が理解してくれるわけじゃないですからね。

加藤:そのぐらいの覚悟が必要なのかもしれませんね。

正しいことには周りがついてくる

加藤:人事改革全体を振り返ってみても、あまり辛いことはなかったのでしょうか。

伴氏:あのころ、ある意味楽しく仕事していましたから、あまり大変って思ったことがないんです。当時の私の部下は「大変だった」と言いますけどね(笑)。

 当時、人事課には人事、研修、給与、厚生という4つの係がありました。人事と研修がひとつのグループで、2人の係長がいました。実際はその中の5人ぐらいで分担し改革を進めたんです。
 当然、私がすべての具体的な設計図を全部作っているわけじゃありません。たとえば、昇任試験制度でも、方針は出すんですが、実施要項などは部下が作るわけです。そうすると、部下は日々のルーチンをこなしながらも、新しい仕事をやってくれました。「あの1年は早かった」「大変だった」ってよく後で聞かされました(笑)。

 そうは言っても、正しいと思うことは、みんな、ついてきてくれるんですよ。特に、優秀な職員っていうのは、乗ってきますよね。

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※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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