インタビュー

【元豊田市 伴幸俊 #6】人事制度に100点満点はない

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(PR)=HOLG.jpが本になりました「なぜ、彼らは『お役所仕事』を変えられたのか?」

自治体の職員は理屈ばかり並べても意味がない

加藤:自治体の人事担当に伝えたいことはありますか。

伴氏:改革を進める時には、その自治体の課題を明確にし、その解決のため目に見える人事制度をつくること。そして、歩きながらの改革でいいのではと思います。不完全でも実施しだして、検証しながら変えていくことに勇気を持って取り組んでもらいたいと思います。

 自治体の職員は学者ではありません。実際に何かを行って、初めて評価されます。理屈ばかり並べていても意味はありません。ですから、「やってみようよ!」と言いたいですね。

 それから、経験を積み年齢が上に行けばいくほど、自治体職員は勉強しなるのではと危惧しています。部長や課長になるほど、常に部下よりも勉強をしていくという気持ちがないと、良い組織にはなりません。そういう組織風土を作ることも大事だと思います。

職場の外へ飛び出したことが大きかった

加藤:伴さんは、なぜ、自治体職員になったのでしょうか。

伴氏:正直、地元に就職するぐらいの軽い気持ちでした。市民のためにと採用面接では言ったような気はしますが(笑)、そんなに立派なものではなかったんです。勉強するようになったのは、職員になってからですね。

加藤:何がきっかけで勉強するようになりましたか。

伴氏:もともと自分の知らない事に興味はありました。よその自治体へ飛び出し違う世界を感じることもきっかけの一つと思います。当時、横浜市に田村明(たむらあきら)さんという神様みたいな人がいて、この方が顧問になった横浜のまちづくり研究会、いわゆる自主研ですが、そうしたグループがあったんです。若い頃はそういうところへ夜行バスで行って参加したり、他自治体や異業種の人と交流することでいろいろな人と出会い、刺激され自分を磨かなきゃと思うようになっていったと思います。

加藤:役所のなかでやりたいことを実現するためには、何が必要だと思いますか。

伴氏:まずは“自学”でしょうね。自学は色々な方法で可能です。本を読んでもいい。HOLGのウェブサイトや、地方公務員オンラインサロンもそうですよね。積極的に仲間や異業種と交流して、自分に自己投資しないと大きな成長はありませんし、他の職員との差別化はできないですよね。

評価者が理念を持って、評価をできるようにする

加藤:今後求められる職員像はどのようなものですか。

伴氏:20年前の豊田市の人事戦略では、『時代の求める自治体職員としての資質を備え、組織や市民ニーズに的確に対応し、積極的に成果を上げることのできる人材』というものを掲げました。ただ、今思うと、そういう人は上位2割でいいと思います。6割の人は正確に仕事をこなす人、協調性のある人。こうしたいろいろな職員が組織の中で連鎖し、パフォーマンスを最大化するのが効果的で、全ての職員が一律に目指す職員像はないと思います。

 ある市では、すごく極端な成果主義や採用を進めたら、みんながルーチンを嫌がるようになったそうです。それは組織としては困りますよね。だから、職員像は一つじゃないはずなんですね。引っぱっていく職員は企画を進めるようなプロ人材みたいな人もいるけど、ちゃんと正確に、市民の笑顔のために誠実にやる職員像も必要だと思います。

加藤:様々な業務が同じ人事評価テーブルによって評価をされる不満は、とても大きいような気がします。

伴氏:そこは人事の運用で解決できると思っています。窓口で苦情を受けたり、用地買収で苦労して、汗を流している人がいる。そこに正しく難易度を付けることができれば、企画的なカッコいい仕事している人たちだけが、良い評価になる仕組みにはなりません。

 「全ての評価者がきちんと制度の理念を理解して評価をする」ことが出来れば、評価制度は出来るだけシンプルなものがいいと思っているんです。でも、人事当局は運用で文句を言われないようにマニュアルをドンドン厚くして備える。そして誰も読まなくなり、本質が理解されない制度のみが運用されていく。毎年期限が来ると決められた書類だけを作って提出する。これが最悪のシナリオです。考課制度の運用は薄いマニュアルにして、理念を持って評価できる評価者を育てることが難題ですが重要だと思っています。

市民のニーズを最後の最後まで意識する

加藤:長い公務員生活の中、仕事をするうえで、日々どのような点を意識されていましたか。

伴氏:与えられた仕事に対して自分流のスタンスを固め取り組みます。常に「何か変えるべきことはないか」という意識を持ち、現場での課題を見つけてそれを解決していく。これを続けるだけです。政策や対処の方向を迷ったら「これをやれば必ず市民が喜ぶ」という判断基準を意識し続けます。組織の都合や我欲に陥らない判断をすることは簡単なようですが、流されることも多いものだと思っています。

 役所の中では「市民目線で行こう」って言う人は沢山いるんだけど、最後の最後まで市民目線で仕事している人は少ないと思います。困った時は、内部を意識する。予算がない、人がいない、難しい、忙しいとか、いろんな都合で「今はやらない」と結論づける。

 その意識をできるだけ市民に向けて、市民の感覚だったら何を求めるのかを、最後の最後まで意識して、今必要な仕事を判断していくことが大切だと思っています。各地域によって、職場の風土も違うし、地域のかかえる課題も違う。目指すべき経営方針も違う。従って人事制度にはこれをやれば100点なんてものもないと思います。

 もし、この記事を読んだ人事担当の方が人事を変えたいと思うのであれば、その自治体で自ら考えていくことが必要です。どこかの先進といわれる都市の制度をコピーしたってダメで、よく自分で考えて、どこから手を付けていくか、どんな制度を導入するのか突き詰めることが大切だと思います。自分の自治体の人事の課題は、自分が一番知っているはずですから。自ら発想し形になっていくプロセスを楽しめるようになれば最高です。まずは一歩進んでみてください。

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※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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