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【元豊田市 伴幸俊 #4】人事制度改革を反対する市民はいない

人事は改革を仕掛けやすい職場

加藤:人事制度改革を進めるうえで、必要なものは何でしょうか。

伴氏:まずは、やろうとしている人が本気かどうかです。どんな改革でも何らかの軋轢が生じます。その時に、自分の勤めている組織や地域を、本当に良くしていこうと思っているか。そして、良くしていくために、人事制度が大きく起因すると思えるかどうかで、その推進力が変わってくると思います。同僚や上司、それから組合などに向き合って、改革の思いを持ち続けられるかということが大切だと思います。

 人事制度改革っていうのは、組織の中から必ず抵抗勢力が出てくるんです。もっと言うと、それは人事部局内だったりすることもある。「なんで、今こんなことやらなきゃいけないんだ?」と言われることもある。その時に理論武装して、粘り強く説得できるかどうかが大事だと思います。

 人事担当の皆さんによく話すのが、「とにかくやってみよう」ということですよね。人事担当って、割と優秀だけど保守的な方が多いように思います。大変な状況になることが想像でき、安全な場所に身を置きたくなるんですよね。もっと言うと、官房系の部署に配属されると、それだけで自分が成長したように勘違いし、問題意識はあるけど行動にむすびつかないケースが多いのではないかと思います。

 実は本来、人事は改革を仕掛けやすい職場だと思います。市民に直接的な影響がないし、失敗しても組織内の問題としてとどまる。ただ過去から人事部門は絶対ミスのない部門だという神話みたいなものがあって、この信頼感のみで組織運営してきたというのも事実だったと思います。「絶対失敗しちゃいけない」のではなく、人事セクションこそチャレンジが必要なのではないでしょうか。正しいかどうかは別ですが、一連の改革で部下には「職員名簿の校正に時間をかけるなら、誤字があってもいいから新しい制度設計に時間を費やせ」と。

人事は内部管理ではない

加藤:市民のための人事制度にならない理由はなぜでしょうか。

伴氏:人事という仕事の本質を考えるべきです。人事は内部管理だけじゃない。自治体の経営戦略のひとつだということが、理解されていないからだと思います。またこれは人事に限ったことではないですが、市民目線・市民ファーストと口では言いながら、いざとなると組織の都合を優先している実態がないか大いに反省すべきです。政策の方向性など何かの選択を迷ったとき、この選択がまずは市民の利益に繋がるという考え方が徹底しているかというのは、意外とその場しのぎの組織の理論が優先することが多いように思います。

加藤:つまり、一つひとつの業務が市民のためになっているのかを、突き詰めなければいけないということですね。

包括的人事制度を設計してみよう!

個人スキルの強化から、チームワークの強化へ

加藤:もし、ご自身が豊田市の人事責任者になるとしたら、何をしますか。

伴氏:20年経っているので、もう一度ゼロから考えてみないといけません。当時設計した制度の成果と形骸化している部分を踏まえて、考え直さなきゃいけないと思います。時代が変わっているので、求められていることも変わってくるのは、ごく自然な流れだと思います。

加藤:具体的にどういう点を変えていきたいと思い浮かびますか。

伴氏:市民サービスの向上をゴールにすることに変わりはありません。以前は、その手段として職員個人を元気にしようとした制度設計でした。個人を視点とした横並びの前例踏襲型組織の改革がテーマだったわけです。今は個々の職員の能力育成も進み、働き方への意識も変化してきました。当然、着目点も変える必要があります。例えば、相乗効果が生まれるチームワークを高めるため、個人からチームに視点を変えた制度設計も必要かと思います。

加藤:改革によって、個人のレベルが高まってきているから、目指せるステップかもしれませんね。

市民を巻き込んだ職員の評価制度

伴氏:他にも市民を巻き込んだ評価というのがあっても良いと思うんです。顧客は市民で、市民サービスの向上を目指すのなら、やっぱり市民からの評価がないと意味ないですよね。窓口の受け答えとかの満足度などは、どこの自体でもアンケートを取ったりしていますけど、もう少し地域や市民を巻き込んだ人事制度ができると面白いですよね。住民と職員の関係は対立ではなく、住民と協働で、また住民が職員を育てるなんて発想も面白いのではと思います。

加藤:テクノロジーが進化して、市民の声を細かく拾えるようになっているので、できる方法はあると思いますけどね。

伴氏:市民が教員を評価し教員の人事に口を出すというコミュニティスクール制度はありますが、この部分はどこもうまく機能していないようです。学校の先生のほうが、市役所よりもっと組織が硬直化している部分がありますから、なかなか進まないでしょう。でも、地域の人が公務員を評価するのは、対立関係の中ではなく地域の協働経営者として、公務員にとっても必要なことのようにも思えます。

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※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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