[記事提供=旬刊旅行新聞]
まだ、この目、この耳で確認したわけではないのだが、この3月から、東京ディズニーリゾート(TDR)では、パレードで使用していた、観客への呼び掛けの言葉を、「ハロー、レディーズ・アンド・ジェントルメン」から「ハロー、エブリワン」に変更したとのことだ。
このところかまびすしいジェンダー問題に鑑みて、より性差に中立的な表現に変えたことになる。性の多様性への配慮はここまで来ているわけだ。とはいうものの、僕には少し疑問が残る。
レディーズ・アンド・ジェントルメンには、性別を示す以上の意味内容が込められていると思うからだ。
この言葉を企業の大事な信条としているのが、リッツカールトンホテルだ。「わたしたちはレディーズ&ジェントルメンに仕えるレディーズ&ジェントルメンです」というクレドがそれだ。
お客様をレディーズ&ジェントルメンとして遇するわたしたちもレディーズ・アンド・ジェントルメンとして振る舞います、というのが直接の意味だが、逆に考えると、ホテル側がレディーズ&ジェントルメンなのだから、あなた方(お客様)もレディーズ&ジェントルメンであってくださいよ、と制限をかけていることになる。だから、いくらお金があるぞ、といって不作法なお客は堂々と断れるわけだ。
そして、この文の主語がWE(わたしたち)であることにも注意したい。「わたしたち」というのは、ホテルスタッフ全員もお互いにレディーズ&ジェントルメンであろうとする決意表明にもなるからだ。
こういう精神は、決してジェンダーギャップとは抵触しないと思うのだが、どうだろう?
問題はレディーズ&ジェントルメンという言葉の中身だろう。
もちろん、訳せば紳士淑女とフラットになってしまうが、僕はこの言葉には以下のような意味が込められていると学生さんたちに教えてきた。
①礼儀正しく②すべてを受け入れる寛容さを持ち(だからLGBTといって差別しない)③常に相手のことを思いやり④他人に迷惑をかけず⑤いつもユーモアを忘れず⑥常に自己研鑽の努力を惜しまない人――というのが定義だ。
TDRが呼び掛けに、レディーズ&ジェントルメンを使っていたのには、このリッツカールトンと同じ精神が流れているからではないか。
これを単に性差がないという理由でエブリワンに切り替えるのは、どこか残念な気がしてならない。上に記した6つの要素は、性差を超えて存在する普遍的なものだ。
それにしても、ジェンダー論、言葉の問題に入ると、ややこしくなるばかりだ。シンプルに考えたいなあ。
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