インタビュー

【生駒市 田中明美 #1】介護予防事業に年間約200人の視察

田中明美1

【田中明美 経歴】
 生駒市福祉健康部次長 地域包括ケア推進課長兼務。保健師、看護師、精神保健福祉士、介護支援専門員。
 1995年4月奈良県生駒市役所入職、福祉健康部健康課に所属。1999年福祉健康部高齢福祉課、2002年福祉健康部福祉支援課、2012年予防推進係長、2013年福祉部介護保険課、翌年課長補佐。2015年福祉健康部高齢施策課、2016年高齢施策課主幹・地域包括ケア推進室、室長兼務。2017年福祉健康部地域包括ケア推進課長、2018年4月から現職。

-生駒市は早くから将来を見据え、住み慣れた地域で医療、介護、予防、住まい、生活支援が包括的に行うことができる仕組み作りの先端を歩む。住民ニーズを汲み取り、地に足のついた業務を進めている生駒市は、厚生労働省とも連携し、他地域からの視察も絶えない。
 その取り組みを牽引した、福祉健康部次長地域包括ケア推進課長を務める田中明美氏に広くお話を伺った。

加藤(インタビューアー):生駒市の介護予防・日常生活支援総合事業についてお聞きしたいと思います。生駒市は全国的に見てみても介護保険料が安いようですね。(※第6期介護保険事業計画[H27.4~30.3]において、奈良県内で最も安い介護保険料。)

田中氏:そうですね。介護保険料が安いのは、施設の整備状況とか、いろんなことが関連しているので、「安い=全てが良い」と短絡的に考えるものではないと思います。しかしながら、介護予防・日常生活支援総合事業が導入されるまで、日本ではデイサービスが要支援認定者の社会参加の場の一つとして利用されてきていましたので、本事業が市町村事業となって以降は、市町村が多様なサービスを予算の範囲内で用意することができるようになり、社会参加の場も多様化してきました。そうした背景を受け、生駒市の場合は通所型サービスの中でも特に通所型サービスⅭという短期間集中的にリハビリや環境整備の支援を受け、元気を取り戻し、そのあと何年間も元気で暮らしている方々が存在するようになりました。
 従前ですとそういった方々をデイサービスで支えてきたわけですから、継続利用していたと考えると、何千万、何億円を積み重ねていくことになる。その意味では、事業費や給付費の低減が出来ている市町村のひとつだと考えています。

生駒市の地域ケア会議の特色

加藤:全国から視察がある生駒市の地域ケア会議とはどのようなものなのでしょうか。

田中氏:地域ケア会議は、「①個別課題解決機能」「②ネットワーク構築機能」「③地域課題発見機能」「④地域づくり・資源開発機能」「⑤政策形成機能」という5つの機能を有し、地域包括ケアシステムの実現のための有意義な手段の一つとして、地域ケア会議(Ⅰ)~(Ⅳ)までの類型に分けて開催しています。

 「地域ケア会議(Ⅰ)」では、要支援者の自立支援に向けた多職種連携を強化し、専門職のOJTの場の機能も有しています。
 「地域ケア会議(Ⅱ)」では、個別ケースの課題分析、その積み上げにより地域に必要な社会資源の開発や地域づくりを進めています。
 「地域ケア会議(Ⅲ)」は、コミュニティ推進会議とも称し、地域住民の方々とともに地域の課題を抽出し、その解決に向けた取り組みを議論する場になっています。
 「地域ケア会議(Ⅳ)」は、高齢化の進む本市の認知症対策に焦点を絞った会議の場です。
こうした地域ケア会議(Ⅰ)~(Ⅳ)の積み上げが、介護保険事業計画や市の総合計画への反映などを含め、政策形成につなげることもあります。

 今、国が横展開しようと考えているのは、自立支援を促す地域ケア会議と言われるもので、本市が実践している「地域ケア会議(Ⅰ)」に該当します。この会議は、多職種の専門職が参画し、一人の人に対して多角的な視点から課題を抽出し、元気に回復してもらうために目標設定や課題解決の為の取り組み方法について議論をするものです。

 平成29年度だけでも、全国、北は北海道から南は沖縄まで12回、定例開催している「地域ケア会議(Ⅰ)」に189人の人が視察に来られましたが、その多くが「地域ケア会議(Ⅰ)」の運営方法を参考にしたいということでした。

加藤:「地域ケア会議(Ⅰ)」のどこに注目が集まっているのでしょうか?

田中氏:介護サービスや事業の受け手であった人が多くの支援者の力を受け、3ヶ月間という短期間に心身の機能を向上させたこと。そして、支える側に回る人が生まれたり、セルフケアが継続できるように行動変容がなされたりして、個々人のQOLを高めていただいている点ではないかと思います。

 生駒市においては、これからますます超高齢化が進んでいきますので、日常生活を送る上で必要な生活機能が低下しないように、健康づくりや介護予防の取り組みの推進や、たとえ認知症を患ったとしても住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、地域において安全に見守る仕組みを構築していく場としても、地域ケア会議が機能します。

 全国的には生駒のように地域ケア会議を目的別に類型を整理し、その議論の積み重ねを医療介護連携の場につないだり、地域づくりへと発展させる等、多角的に運営することやそのために回数を重ねていくことが実践できている自治体は少ないということで評価をいただくことが多いです。

加藤:「地域ケア会議(Ⅱ)」では具体的にどのようなことがなされていますか?

田中氏:複合的な課題を抱えている『支援困難ケース』について、市・地域包括支援センター・ケアマネジャー・医師・看護師・介護事業所・地域住民等を交えて、課題解決に向けて議論しています。

 たとえばALS(重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患困難事例)などの難病を抱える人が一人暮らしを強く希望された場合、さまざまな人の支援が必要となります。そうした人をどう地域で支えていくかを議論する場として、介護保険制度が始まる2000年より前からから取り組みを始めていて、地域や市、保健所、医療機関を始めとした関係機関で難病を抱える人を支える仕組み検討してきています。

※本インタビューは全9話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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