インタビュー

【前横浜市長 中田宏氏 #5】『全国一律』を排するために道州制が必要

中田宏5

『全国一律』を排するために道州制が必要

加藤:道州制が必要だとお話されていますが、具体的にどうあるべきだと思いますか?

中田氏:道州制の区割りの仕方は諸説あって、たとえば、九州と沖縄を一緒にするとかしないとか、あるいは四国と山陽地方を一緒にするとかしないとか、この辺はまさに言えば言うだけ“反対”という人を増やすので、後の話だと思うんです。

 ただ、実際いまの都道府県や市町村の在り方というものが硬直的で、あらゆるところでその限界を抱えています。つまり、本質としては『全国一律』というものを排するために道州制が必要だと思います。

 国が一律に決めるため、東京一極集中という現象が起きてくるわけですよね。だけど、山の中にある村と海辺の村、都会と限界集落ではそれぞれ抱えている問題も解決手法も違う。もっと言えば山間の村であっても、東北の山間と九州の山間とでは課題も違う。ここを一律で考えている限り、問題解決につながっていかないと思います。

 だからと言って、その問題を各市町村単位や都道府県単位に任せるという話になれば、今度は予算やパイ、能力的な限界があると思います。そういう意味で、もっと広く道州という単位で、その州が国民生活に対して責任を負っていくことが望まれます。

 それによって地域の自由度は高まり、過疎の村に対して都心部の財源を活用しながら手厚く措置をしていくかもしれないし、逆に、過疎の村のサービス水準を下げながらコンパクトシティに移っていく、という方針を立てる州があっても構わない。

 とにかく、自由度を増すということが道州制の基本だと思うんです。これは国からの分権ではあるけれども、一方では各地域内における集中だとも思います。九州という州で考えるならば、いまは鹿児島、長崎、大分などから東京に向かって飛行機が飛んでいて、日本全体の一極集中を生み出している。けれども、州で区切れば九州の経済都市の役割はおそらく福岡になる。そうしたら、九州の発展のために福岡に向かって路線を集中させても構わない。

道州制の反対理由に対して

中田氏:道州制の反対理由として「貧乏な州はどうするんだ」という意見が出て来ますよね。それは州の間で財源調整をすればいいと思います。極端な話をすれば、いま各地方公共団体で使われているお金を全部合算してみて、四国の自治体のお金を四国州に割り振ればいい。ただ、使い道を考えるのは国じゃなくて州で考えてくれと。

加藤:その場合、国家公務員は各地域にばらけていくのでしょうか?

中田氏:国家公務員は自分たちが地方の州職員になったりするのは嫌なんです。だったら、移行期間を20年くらい設けたっていいんですよね。国家公務員のままでいたい職員はそうして、各州で働くときは出向扱いにする。それと並行して、州として新規採用をしていく。主に外交や防衛など国単位でやるべき仕事の省庁だけ、国家公務員を採用していくようにすればいいと思います。

自治のありかたを自分たちで決めることが大事

加藤:「地方議会の議員数がもっと少なくていい」という話をされていらっしゃいます。適正な地方議会の人数はどのように決めるべきだと思いますか?

中田氏:日本よりも国民一人当たりの議員の数が、多い国もあれば少ない国もある。だから、適正不適正ということについて合理性はないし、多分これから先も出ないということになると思います。

 だからこそ、地方が自分たちでもっと自由に決められるようにすべきだと思っています。僕はこれを“自治原則自治主義”というふうに名付けているんだけど、自治のありかたを自分たちで決めることが、本来の自治だと思うんです。

 いま、一般市は選挙区を設けませんが、設けてもいい。選挙区を3つの小選挙区に分けて、その3つのエリアから出馬できる市があっても構わない。あるいは市議会議員の中から市長を決めるという議院内閣制のようなもの、そういう仕組みにする市があっても構わないと思うんだよね。

 仮に何でもありにするのが不安であれば、せめて、3つでも5つでも自分たちにあった選択肢というものを選べるようにすべきです。でも、やはり本来は『議員を置かない』とか、『市長を置かない』、『公職選挙法に則る選挙は一切しない』というレベルの話だって、その地域の人が決めるべきだと思います。そうすれば、きらりと光る取り組みをする自治体は必ず現れるし、それを真似し合いながら改善を加えていくことが大事だと思いますね。

全国一律のルールで統治していることが問題

中田氏:先日、高知県の大川村に行きましたが、議員のなり手がいなくて議会を廃止することも検討しています。大川村は人口400人、横浜市は人口370万人だから約1万倍の差があるわけですよね。だけど基礎自治体として同じ権能があって、全国一律のルールで統治していることが問題なんです。

 基本的には同じことをしなければいけない。そうすると人口400人で議員が6人。全員名前と顔が一致する村で選挙に出て、前回の選挙も定数6に対して7人出て1人落選。そんな村で誰も落選したくないですよ。
そもそも、当選するのが30票とかそんな話なんだから、人間の心理として僕もここで選挙をやりたくないと思います。

※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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