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中田宏6

人を知る

【前横浜市長 中田宏氏 #6】変化に対して能動的な人を増やしたい

物事の裏にある背景を誰かが伝えなければならない

加藤:『日本の構造研究所』というシンクタンクを作られました。この目的はどのようなものでしょうか?

中田氏:表面上の『良い悪い』や『好き嫌い』でなく、物事の裏にある背景を誰かが伝えなければならないと思っています。私は「国会議員」「首長」「与党」「野党」などの経験があるので、それを活かしたいと思っています。

 たとえば、地方自治であれば財政がどのような状況にあるのか、なぜ債務が増えるのかという点を深堀りし、表向きは成果を出しているように見える知事や市長がいたとしても、財政などの違う観点からの視点を提供したいと考えます。
最近、2期以上務めている首長がどれだけ財政を健全化したのかというのをまとめた『全国知事・政令市長 財政再建ランキング』を作りましたが、それもその一つです。

 また、新幹線が開通するとテープカットなど、華やかな絵面ばかりメディアは流しますが、裏では不採算である在来線の問題も生じています。そういった複眼的な見方を示したいと思います。

変化に対して能動的な人を増やしたい

加藤:今後、人生の中で成し遂げたいことは何でしょうか?

中田氏:変化に対して能動的な人を増やしていきたいですね。日本社会全体が現状を肯定し過ぎだと思っています。そのために、とにかくみんなに考えてもらうきっかけを作りたいと思って、『中田宏チャンネル』という思考提起のための動画を毎日作り続けています。
 人間が作った仕組みであれば、人間が変えることができる。現状を肯定している背景には諦めみたいなものがついてしまっている、だけど、本当は変えられるんです。

 それから、日本人は海外で行われたことを日本版という形で導入することも多いですが、もっと日本独自の仕組みを作るべきだと思います。道州制もアメリカ合衆国と比較して良い悪いではなくて、日本ならどうするかというオリジナルを作ればいい。

 たとえば、日本は首相公選制にした方が良いと私は思っているけれども、それは議院内閣制上の延長で「国会発議の候補者の中から国民が選ぶ」、というもので良いと思っています。他の国がやってないからダメという話ではなくて、もっと日本特有の“クリエイティビティ”を活かして作れるようにしたいですよね。

『どうあるべきなのか』という理想像を持つ

加藤:首長として新しいことを挑戦するにあたり、大事なことは何だと思いますか?

中田氏:政治家は医療、福祉、子育て、高齢者、赤ちゃんからお年寄りまで、貧乏人から裕福な人まで、あらゆる人達に対して政策を決めなきゃいけない。

 それぞれの最適な仕組みを構築していくためには、多くの役所の担当者、あるいは利害関係者の話を聞かなければならなくなる。そのときに実務経験がないゆえに、現場の声を肯定してしまうケースがあるんです。

 もちろん、全ての実務を理解するというのは不可能ですよね。だから、目指す理想像と現実のギャップの中でどれだけそれを、『べき論』に近づけていくかということになると思うんです。

 それでいうと、役人も全ての実務経験があるわけではないんです。たとえば道路局の職員が道路を作っているわけではないし、福祉局の職員が必ずしも介護の実務経験があるわけではない。それでも、そういう業務に携わっていかなければいけないんです。

 各自が『どうあるべきなのか』という理想をしっかりと持っていれば、現状の運用やその説明に対して、軸のある見方、反論、意見というものを出せる。もちろん、そこには想像力や洞察力を働かせて、現実的なものにするということが必要なんだろうと思います。

編集後記

 横浜市で育った私にとって、前横浜市長である中田宏氏にお話を伺うことができたことは感慨深いものがあった。最近でこそ地方自治体への注目度が高まっていると感じるが、2002年に中田市長が登場された時、地方自治体、特に基礎自治体はいまほどの注目度はなかったように思う。市長の名前にすら興味を持つことのない学生だった私が、鮮明に記憶しているほど、中田氏の登場は時代の変化を印象付けた。

 様々なアクションを通じて、改革を進めた“中田宏”という存在そのものが、地方自治体への注目を喚起した革新的事例の象徴であったように思えるし、その分、改革者としての負担は言葉に尽くせぬほど大きかったのでは、と推測される。一人の横浜市民としても心からのお礼を申し上げたい。

 この文章を書いている今日、オリンピックが閉会式を迎える。スポーツもそうだが、どのような世界であっても、努力と前進を厭わぬ人は、存在自体に価値があると思わされる。私は地方自治体で活躍する首長や職員が、もっと“個”として評価をされるべきだと感じているし、これからも微力ながらお役に立てればと思う。

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※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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