インタビュー

【八尾市 松尾泰貴 #4】「失敗は考えていない」まちのアイデンティティを取り戻す挑戦

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アイデンティティを取り戻せば課題解決になる

加藤:「みせるばやお」の立ち上げ経緯を教えてください。

松尾氏:「みせるばやお」ができる前にも、八尾市には企業さん同士の会議や交流会はあったんです。でも話を聞くと、「交流の機会が欲しい」という声が依然としてありました。
 企業さんには「人材確保ができない」「企業の認知度が低い」「新商品が生まれない」とか、本当に課題がたくさんあったからだと思います。

 「なんで課題があるんやろな」とずっと考えていたんですけど、その理由は「ものづくりのまちなのにそれが知られていないこと」だと思ったんです。そこを解決すれば、すべての課題解決につながり、必要な人や情報が集まってくるんじゃないかっていう仮説を立てました。

加藤:まちの良さを伝えられていないと。

松尾氏:はい。だからその発信源になるような、なにかムーブメントをつくりたいと思いコミュニティを育てる方向で考え始めたんです。それがきっと、「八尾らしさ」みたいなアイデンティティを取り戻すきっかけになるんじゃないかって。

 まず、ビジネスのフレームワークで有名な「ビジネスモデルキャンバス」っていうツールがあるんですけど、それを使って上司や同僚と3人で話し合いをしました。具体的には役所のパートナー、プロジェクトの事業内容があって、それがどういう価値を生んで、顧客とどういう関係性にあるか、ターゲットは誰か、コスト構造はどうかというのをビジネスライクに考えました。ビジネスとして成立するものにしないとだめだろうって思ったんです。

 それを提案書にまとめて企業さんにお声がけをして、そこで35社さんが「みせるばやお」の原型となるプロジェクトミーティングに参加いただいたのが始まりですね。

「失敗は考えていません」

加藤:関係各所の調整はスムーズに行きましたか。

松尾氏:そうですね。というのも、交流会を含めいろんな活動をしていく中で、色んな人に当たりをつけていたんですよ。庁内・庁外ともに。なので唯一心配だったのが議会でしたね。実行している自分たちが説明にはいけないので。

加藤:議会からの理解はどのようにして得ましたか。

松尾氏:いろいろと厳しい言葉も言われましたが、その時点で既に35社の協力も得られていましたし、議員さんからも「こんだけ企業さんの熱い思いが詰まった事業、実現しないでどうするんですか」ぐらいの感じになっていきました。

加藤:どういう指摘が入ったのですか。

松尾氏:「これまだ何も決まってないやん」みたいな。
 「みせるばやお」は、核の部分は決めていましたが、まちづくりを官民協働でと考えていたこともあって、具体的な話は企業の皆さんと一緒に決めていくのが重要だと思い、あえて詳細は決めなかったこともあったんですね。

 そこがツッコミどころになって「具体的な打ち手は? 勝算は? 失敗したらどうする」となったんですが、そこはうちの部長、課長も頼もしくて「失敗は考えていません。八尾にしかないもの、おもしろいものができる。」と答弁していたのを覚えています。

仲良くなると障壁は乗り越えられる

加藤:「みせるばやお」を作るにあたって、なにが大変でしたか。

松尾氏:やっぱり35社もいますから、合意形成がとにかく大変でした。そもそも言葉の認識合わせからやらないといけません。たとえばお金の話をするときも、短期的な売上をイメージしている人もいれば、10年後に戻ってくるような投資感覚で話す人もいます。

加藤:人数が多いとそうなりますよね。

松尾氏:いまでこそうまくいっていますが、最初は全然まとまらなくて相当悩みました。「こんなにまとまらへんなら抜ける!」って言われちゃうほどで。だから、もうその時は腹を決めて、朝一で説得にまわったりして、少しずつ進めていきました。

加藤:本気さが伝わります。

松尾氏:その熱意が伝わると、やっぱり信頼していただける。シンプルに仲良くなれるかどうかがすごく重要でしたね。別々の組織が一つのことを一緒にやろうとしたら、障壁の一つや二つは出て来るじゃないですか。そこで仲が良ければ乗り越えようと頑張るし、そうじゃなければ面倒くさくてやらないですよね。だから、一緒に仕事したいって思ってくれる人をそれぞれの会社でつくるのが必須だと思います。

企業とつながる原体験

加藤:松尾さんは、昔から企業と繋がっていたんですか。

松尾氏:入庁当初、秘書課にいたんです。広報やまちづくりがしたくて入庁したのに、イメージと違う仕事をやっていたのが正直苦しい時期がありまして…
 それでもできる事ないかなって探したら、食べるのが好きなのでまちの食べ歩きブログつくってみようと思ったんです。そこで出会った経営者の方から、「八尾ってあんまり元気ないから、なんかで盛り上げたい」っていう話がありました。

加藤:その言葉がきっかけでまちづくりに動き出したのですね。

松尾氏:そうですね。当時、流行っていたB級グルメのイベントをやろうと、20社ぐらいの飲食店店主さんたちと一緒に企画を進めました。そういう経験から、企業さんと一緒になにかする喜びが原体験として残っているんだと思います。

法人化で経済的自立へ

加藤:「みせるばやお」の今後の展望はありますか。

松尾氏:直近の動きとしては、組織強化のために、法人化の議論を進めています。

加藤:「みせるばやお」は年間の賃料を市が負担していますよね。法人化は経済的な自立を目指していく意味合いなんでしょうか?

松尾氏:そうですね。もちろんすぐには難しいですが、理事メンバーの方、自ら「市に頼りすぎてしまうと持続しない」という話がよく出ます。
 正直、どのタイミングまで市が負担できるか僕らでは確約ができない。ただ、理事もその状況を理解しているので、厳しい状況になる前に手を打って持続可能な組織にすると言ってくれています。最後は意地とかプライドというか「永続的に会を運営するために、何が何でも」って気持ちもある。ビジネス感覚のある皆さんですから、その辺りはすごく厳しく考えているのだと思います。

(文=小野寺将人)

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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