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【八尾市 松尾泰貴 #3】地元企業からヒット商品を生み出す

アウトドア+アイディアソン=「アウトドアソン」

加藤:ここまで「みせるばやお」のさまざまなプロジェクトを伺ってきました。経営者から従業員まで企業間の交流を促す「経営者交流会」「ランチミーティング」、勉強会の「学ぶ場やお」「みせるばやおIT道場」、そして子ども向けワークショップ「ものづくりCAMP」「住まいグループ」など、どれも面白い取り組みでした。

松尾氏:はい、まだまだありますよ。アイディアソンの仕組みを使ってアウトドアギアを考える「アウトドアソン」というのがありまして…これは完全に私の趣味です(笑)。

加藤:(笑)。

松尾氏:「みせるばやお」の活動を普及するために、いろんな場所でプレゼンの機会をもらったり、企業交流会に飛び込み営業をしていたんですね。そのときに知り合えた方からどんどん広がって行って、アウトドア用品のECサイトを運営するバイヤーさん、アイディアソンの運営者さん、デザイナーさんと、そして八尾の強みであるものづくり企業さんのできること、強みを生かせるというポイントが自分の中でつながったんです。

加藤:なるほど、そういうアウトドアに精通した方々が集まるアイディアソンが「アウトドアソン」ですね。

松尾氏:はい、これがもうメチャクチャ盛り上がるんですよ。一日かけて「これまでにないアウトドア用品をつくろう!」って。みんなでアイディアを出すのが最高に楽しいんです。
 最後は交流会まで突入して、一緒にキャンプしに行こうって話になるほどで(笑)。

アウトドアソン

加藤:通常の交流会ではそこまでの熱量になりませんよね。

松尾氏:「みせるばやお」にも、ちょっと意味不明なイベントがあっても良いかなと思って始めてみましたが、本当にやって良かったです。実際、アウトドアソンをきっかけに、八尾市にある藤田金属さんという鉄のフライパンを製造している町工場さんとアウトドアECサイトのナチュラムさんのコラボ商品が生まれたんですよ。

 鉄板の厚さが6ミリもあるんですけど、普段家庭用品をつくっている側からすればそんな商品は考えられないわけです。日々いかに薄く軽くできるかを考えてきたわけですから。
 でもアウトドアソンを通じて、ぶ厚い鉄板がニッチだけどニーズが高いとわかって、実際に出してみたらめちゃくちゃ売れた(笑)。商品が生まれるだけでなく、しっかり売れるものになったのが嬉しかったですね。

フライパン1

テストマーケティングができる「みせるばマルシェ」

加藤:アウトドアソンのように、マーケティングの視点で支援ができるプロジェクトは他にありますか。

松尾氏:「みせるばマルシェ」というものがあります。企業さんが試験的に販売したい製品、たとえばこれまでOEMでつくってきたものを自社製品化する、みたいなときに商品を紹介できる取り組みです。

加藤:いわゆるテストマーケティングですね。

松尾氏:そうですね。ここでドカッと売れることはありませんが、どんな人が興味を持ってくれるとか、そういうデータを取るために活用しています。アンテナショップのような感じなので、意外と視察に来た方が買って行かれたりもしますね。

みせるばマルシェ

ガバメントクラウドファンディングに挑戦!

加藤:「みせるばやお」で行われているマーケティング事例としては、クラウドファンディングもありますよね。

松尾氏:クラウドファンディングは2年連続でやりました。いわゆるガバメントクラウドファンディングと呼ばれるものですが、八尾市で初めての取り組みでした。

加藤:どんなきっかけだったのでしょうか。

松尾氏:ある若手職員が「財源確保するために、なにかやりたいです」って相談しに来たので、じゃあクラウドファンディングかなと。ちょうど「みせるばやお」の立ち上げ時期だったので、やってみたんです。
 結果、ありがたいことに1年目に200万円、2年目に100万円が集まりました。

加藤:すごいですね。どんな返礼品を用意したのでしょうか。

松尾氏:やって良かったのは、「あなただけの工場見学ツアーを、経営者自ら行います」みたいな体験型の返礼品ですね。これがなかなか好評で、ちょうど経営改革をしている企業が工場をオープンにしていきたいという時期だったので、ちょうど良かったんです。

加藤:普段から企業さんとコミュニケーションを取っているから実現したことですね。

松尾氏:実際に工場見学ツアーをやってみると、意識が内向きから外向きになるみたいで、直接、来場者から「すごい!」「かっこいい」と職人さんはダイレクトに反応をもらえ、そのことによってモチベーションが上がったと受け入れ側もすごく良かったとの反応をいただきました。

近畿大学と中小企業の連携

加藤:やはり、多様な人との接点ができると、意識が変わりますよね。

松尾氏:そうなんですよ。市内の企業さんと外部の人と交わってもらう取り組みとしては、近畿大学との連携もあります。
 近畿大学の経営学部に文能(ぶんのう)教授という方のゼミがあるのですが、そのゼミごと「みせるばやお」と関わってもらっているんですね。昨年は中小企業12社それぞれに、学生さんが2~3名入って、ワークショップやショートムービーをつくって、その企業の魅力を発信してもらうんです。

加藤:それはお互いに大きなメリットがある話ですね。

松尾氏:はい、このプロジェクトをきっかけに新卒採用であったり、若い人を受け入れるために、自社を見つめなおす機会になりますし、なんと、もともと大企業志望だった学生さんが、地域の企業を就職先として選んでくれた事例もあるんですよ。「こんなに世界を変えようとしている社長に会ったら、もう入るしかない」って学生が言ってくれて、企業もメチャクチャ喜んで一緒になって涙を流しました(笑)実はこの学生が4月からその企業で働きはじめました。

コワーキングスペースや社内イベントでの活用

加藤:「みせるばやお」の拠点は、イベント以外でも使われているのでしょうか。

松尾氏:入会されている企業さんは、コワーキングスペースとしてお使いいただけます。定休日の火曜日や18時以降には、社内イベントにも使えるので、会社の総会をされる企業さんもいますね。

加藤:それは会費の元が取れますね。

松尾氏:近鉄八尾駅前でアクセスが良くて、166坪もありますから活用しやすいんです。
 127社もあるので場所の予約管理が大変なように思われますが、サイボウズさんのキントーンというサービスでポータルサイトをつくっていて、いつでも気軽にストレスなく活用できるんです。
 地域の交流を盛んにするためには、こういうコミュニティづくりができる場がやっぱり重要だと思います。

(文=小野寺将人) 

 

 

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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