インタビュー

【常総市 平塚雅人 #3】スピード感のない地方自治体は持続できない

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圧倒的なスピード感で本気度を伝える

矢嶋:財政難や人口流出といった課題意識から「トライアル・サウンディング」を実施されたわけですが、どういったきっかけでスタートしたのでしょうか。

平塚氏:私は農政課に配属されているので、正直こういう公共施設マネジメントについてアンテナは高くなかったんです。ある時、公共施設全体を担当する資産管財課のアドバイザーとして入ってくださった方とお話する機会があって。

矢嶋:それは民間の方ですか。

平塚氏:日本PPP・PFI協会の方なんですけど、もともと地方公共団体の職員なんです。その協議のなかで、「民間企業さんのサウンディングはやった方がいいよ」と。
 それでサウンディングをすれば色んなアイディアは出るんですけども、やっぱり話すだけじゃ机上の空論じゃないですか。やってみないと良いかどうかわからないわけで。

矢嶋:それはそうですよね。

平塚氏:モチベーションの高い民間企業さんから「実際にやりたい」と声もあがっている中で、「でもサウンディングだからできないんですよ」って答えるのも違うじゃないですか。
 それで資産管理課の係長が「トライアル・サウンディングについて書かれたコラムがあるよ」と教えてくれて、それを読んで話し合いをした結果、じゃあやってみようとなったんです。

矢嶋:実現まではどんなスケジュールでしたか。

平塚氏:あすなろの里で募集する要項を作ったのが3月で、4月1日には市のサイトやSNSに出しました。このスピード感から本気度を感じてくださった民間企業さんから、その次の週にはお申込みがあって。

矢嶋:スピード感が良いですね。

平塚氏:そうなんです。しかもそこから民間企業さんがチケット発売を一週間でスタートさせて、そこから3日で完売して(笑)、この圧倒的なスピード感には驚きました。
 こちらがスピード感を持って動くことで、民間企業さんも一生懸命に動いでくださる。そういう体験ができたのが嬉しかったですね。

常総市は6万人のベンチャー市町村

矢嶋:スピード感って大事ですよね。

平塚氏:大事ですね。私たち地方自治体は、地方自治法に則り仕事をしていますよね。その地方自治法の第2条には「最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」と書いてあります。
 その経費を考えたとき、人件費ってすごく大きいじゃないですか。時給換算すると数千円の経費がかかっている中で、それを意識しなければいけないわけです。

矢嶋:おっしゃる通りです。

平塚氏:なにか新しいことをするとき、予算化しようとするとどんどん時間が必要になるわけです。時間がかかるなら、その分経費がかかっているわけですよね。そういう意味でも「トライアル・サウンディング」は、お金をかけずに時間も短縮して進められる良い手法の一つだと思います。

矢嶋:素晴らしいと思います。一方で、なにか気をつけるべきことはありますか。

平塚氏:やはり本来は施設使用料がかかる部分を無料で使っていただくわけですから、その部分の収入はなくなることを踏まえる必要はあります。ただ、これは見方を変えれば投資と同じだと思っていまして。

矢嶋:企業のような考え方をされますね。

平塚氏:よく思うのが、常総市は6万人のベンチャー市町村かなと。
 やはり中核市や政令指定都市は安定感もあるし、規模も大きいのでできることも多いですよね。私たちは大きくない分、スピード感を持って挑戦をしなければいけないと思うんです。
 消滅可能性都市なんていう言葉がありますが、走り続けない市町村はこれから持続ができなくなりますから。

矢嶋:その危機意識を持っていらっしゃるのですね。

平塚氏:だから私たちは民間企業さんと一緒にリスクを負って、事業を実現させていくんです。あすなろの里で4回試せたことで、うまく回るイメージもつくようになってきました。
 これはベンチャー企業でいえば、ひとつ事業が走り始めたようなフェーズかも知れません。なのでここから常設化するフェーズに移していきたいですね。

「伝わる要項」を作る

矢嶋:要項を公開したらすぐに民間企業さんから手が挙がったお話がありましたが、要項作りで気を配ったところはありますか。

平塚氏:制度指針作りは、資産管理課の方がメインで動いてくれました。個別の募集要項は私たち農政課自身で作りましたが、やはり伝わらなければ何も始まらないので、ここで一番気をつけたのは分かりやすさです。

矢嶋:私も拝読しましたが、すごく分かりやすかったです。

平塚氏:ありがとうございます。同じく「地方公務員アワード2019」で受賞された佐久間智之さんともお会いする中で、「伝える」技術を習得するのは公務員のマストスキルだと思っています。
 だから例えば「トライアル・サウンディング」では民間企業さんに伝わるかどうか、そういう一つひとつの言葉を丁寧に考え抜いて作っていったんです。

矢嶋:確かに「トライアル・サウンディング」とだけ言われても、何のことかわかりませんよね。

平塚氏:あの要項で伝えたいことは、まず「私たちは皆さんのアイデアを大切にしますよ」っていう気持ちと、加えて「そのアイデアを実現する場を用意しました」っていう事実ですよね。そうやって丁寧に作った要項がちゃんと機能したのは嬉しかったですね。

(取材=埼玉県庁 矢嶋直美 編集=小野寺将人)

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※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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