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洋上風力発電と学生ワークショップ(秋田県秋田市ほか)「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(212)」

現在の海岸線の風力発電所風景(フリー写真素材より)

[記事提供=旬刊旅行新聞]

 秋田県と言えば、かつては石油産出県のイメージが強かった。雄物川流域の八橋油田はとくに有名で、最盛期は年間25万キロリットル超の原油を生産する国内最大の油田地域であった。秋田杉を用いた石油掘削櫓が何本も林立する風景は、まさに圧巻であったことであろう。

 そんな秋田県は風の強い地域でも有名である。とくに最上川流域の立川町(現庄内町)周辺は、日本海と背後の山岳地域から4月から10月に掛けて吹く「清川だし」が「日本三大悪風」といわれ、農作物被害や大火の原因になると嫌われた。立川町はこの悪風を逆手に取り、まちおこしに活用しようと1980年代以降、小型風車による農業(温室)などに利用してきた。まさに風力発電の草分けとなった地域である。

 その秋田県で今、国家プロジェクトとしての洋上風力発電所建設計画が進展している。

 再エネ海域利用法に基づき「促進地域」として、全国5地域が指定された。うち秋田県能代市・三種町・男鹿市沖と、由利本荘市は既に三菱商事を中心とする企業グループが落札している。因みに三菱商事グループは千葉県沖も落札しており、残る秋田県・八峰町及び能代沖は現在公募中である。秋田県はこれまでも内陸の風力発電の一大拠点になっているが、これからは洋上風力発電の日本一の拠点として、まさに「風のまち」になっていくと予想されている。

 秋田県内の2つの洋上風力発電所は、2028年以降の運転開始を予定している。建設投資段階はもとより、運転開始とともに多くの経済波及効果が見込まれる反面で、地域との共生(便益とリスク)についても、現在多方面からの検証が行われている。とくに騒音や低周波、漁業や景観などへの影響などについて慎重に検討が進められている。


学生ワークショップと発表会(秋田市文化会館)

 そんななか、地元秋田大学・秋田県立大学らが全国に呼び掛けて、学生による地域共生のアイデアを議論する学生ワークショップが開かれ、筆者もその一部にオブザーバー参加させていただいた。学生たちは、「エネルギーの地産地消」「産業」「漁業協調」「まちづくり」「観光」の5テーマ7グループに別れ、5日間にわたる視察と合宿による濃密な討議を重ねてきた。

 最終日の9月9日、秋田市文化会館で事業者及び県や関係市の職員らが見守るなかで、それぞれのプランを発表した。若者らしい自由な発想の構想・提案が多かったが、先生方のご指導もあり、提案の根拠や定量的データを多用した素晴らしい内容となった。

 提案事業は誰が担うのか、その初期投資や運営をどうするかなど課題は多いが、彼らの提案が地域に新たな動きを呼び起こしてくれると願っている。異なる地域の大学・学部の学生による合宿形式のワークショップは、何よりも彼ら自身が大きな刺激を受けたことであろう。観光まちづくり分野でも大いに参考にさせてもらいたい。

(日本観光振興協会総合研究所顧問 丁野 朗)

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