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【平戸市 黒瀬 啓介氏 #3】1年で寄附金額が10億円減少、でもそれで良かった

1年で寄附金額が約10億円減少

加藤:日本一になった後に寄附金額が減少したことは、どのように分析されていますか?

黒瀬氏:日本一になった2014年度は約14億6000万円、翌年度は約26億円でしたが、翌々年度は約16億円まで減少しました。1年間で10億円も減少した理由の1つは、ほとんどの自治体がふるさと納税を始めて、急激にお礼の品数が増えたこと。いわゆる競合が増えたことですね。もう1つは平戸の売り込み方を、これまでの商品押しから寄附の使途へ変えたことですね。

寄附金が減少して本当によかった

黒瀬氏:正直、寄附金額が減少して良かったと思っています。もちろん、寄附金がどんどん増加すると、市の財源が増えて非常にありがたいのです。しかし、ふるさと納税の制度そのものがいつまで続くかわからない中で、過度な依存に危険性を感じていたんです。

 この制度には自治体だけでなく、事業者・生産者もかかわっていて、地域経済に与えるインパクトがとても大きい。今後の平戸市にとって、お礼の品に依存するのは決して良いことではないと考えていました。

 ふるさと納税はあくまで寄附の制度なので、「コト」に共感して寄附をしてもらえる制度に育てていくべきです。その想いから、ふるさとチョイスで特集を組む時にも、平戸市はお礼の品ではなく、寄附の使い道を全面に出しました。

まちにもたらした意識の変化

加藤:売上が減少した事業所さんの反応はどういうものだったのでしょうか。たとえば、ふるさとチョイス以外の広告掲載を求める声などはなかったのでしょうか。

黒瀬氏:ありませんでした。というのも、これまでも「寄附金額を追って、がむしゃらに集めるのは危ない。平戸市としては健全に進めていきたい」という話をしてきました。平戸市の事業所・生産者さんには、モラルとプライドがありました。
一度、日本一になったことで、まちに誇りや自信を持てたということも大きかったですね。「真っ当にやらなくてはいけない」、「平戸産にこだわったものを扱おう」という意識も高まっていたと思います。

お礼の品のあり方

加藤:賛否両論あるお礼の品については、どうあるべきだと考えますか。

黒瀬氏:今まで認知されていない自治体を知ることができたり、ふるさと納税の効果はあったと思います。
 制度そのものに関心を持つきっかけは「モノ」で良いけれど、これからは一定のルールが必要だと思っています。だから、国が通知したお礼の品の還元率の上限が寄附額の3割程度というのは賛成です。

 一部の自治体が豪華なお礼の品を出したりして荒れることは予想ができたので、平戸はもともと3割くらいに設定していました。正直「ほーらね」って感じですね(笑)。

 日本一になると、いろいろな自治体のモデルケースとなる立場になったわけですから、「モノ」「カネ」ではなく、あえて「コト(寄附の使い道)」を大切にしてきたのは良かったと思っています。

加藤:これからふるさと納税は、どう発展してほしいと思いますか。

黒瀬氏:「モノ」ありきの制度になってしまうと、その土地の産業規模次第になってしまうため、産業規模の小さな自治体は戦えないから面白くないですよね。「モノ」がなくなればいいとは思いませんが、そのウエイトが7割「コト」、3割「モノ」くらいの制度になると丁度いいと思いますね。

 現状、自治体側の情報発信は、100のうち99はお礼の品の発信になっていて、本来は使い道や活用事例について、もっと寄附者に意識してもらう方法を考えるべきだと思っています。「モノ」ありきになる構図を作っているのは、自治体なんですよ。まずは、自治体が変わっていかないといけません。

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※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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