『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2022』、7人目の受賞者の紹介です。
山中 正則(大阪府大阪市 天王寺区役所 保健福祉課 健康推進グループ 係長)
推薦者1:豊島 妙子(兵庫県川西市役所 市民環境部 生活相談課)
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
「生活保護通知・通達総索引」をケースワーカーのため毎年改編し無償で公開していること。
推薦文
山中正則さんが毎年改編されている「生活保護通知・通達総索引」がどれだけすごいか!! この索引は元々1992年に大阪浪速区福祉事務所の金坂氏が作成したものであり1994年で最後の改訂となりました。その後、山中さんはこの良いものを残したい思いでデーターベース化にし、2003年に復刻されました。2016年に生活保護担当から異動されましたが、現場の大変さ苦しさの一助になるためにと、毎年変わる内容を改訂され口コミで広がり希望されたケースワーカーに無償で提供されています。
さて、この索引の内容は全国のケースワーカーが片時も離せない「生活保護手帳」「生活保護手帳別冊問答集」のどのページに載っているかキーワード探せます。「生活保護手帳2021年版」は967頁、「生活保護手帳別冊問答集2021年版」596頁とあり手帳とは言い難いもので、根拠法令や生活に必要な支給要件が書いており、この2冊は毎年改編されます。山中さんはその都度自腹で手帳を購入されるとは驚きです。
また、2022年4月には「福祉知識ゼロからわかる! 生活保護ケースワーカーの仕事の基本」(学陽書房)を出版されました。
推薦者2:岩崎 隼之(川西市役所 生活支援課)
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
生活保護課で、指南書として多くの自治体で「生活保護通知・通達総索引」を作成されたことです。
推薦文
私が推薦するのは山中正則さんです。山中さんのすごい所は、マクロとミクロの視点から働きやすい環境を提供されていることです。
具体的には、山中さんは生活保護関連の通知や通達を簡単なキーワードから検索する「生活保護通知・通達総索引」を完成させられました。加えて、毎年新しく加えられた通知等の加筆をされ修正しています。しかも、希望する人には業務に携わっている人であれば無料で提供しています。私は、通常業務において困ったときはマニュアルとして使用しています。また、ミクロの取り組みとしても課内のオンライン会議には定期的に参加をしてくださり後輩ケースワーカーの助言役として相談にのってくれます。
そのような取り組みをされている山中さんは、現在働かれている課内でも他課との連携や課内の調整も包括的な視点からされていることが想像できます。よって、私は山中さんを推薦します。
推薦者3:吉川 和志(高砂市 福祉部生活福祉室生活福祉課)
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
自身の業務が楽になる発想が、いまや生活保護行政において皆を助けるツールとして日本全国で活用されている
推薦文
生活保護業務に配属されると、まず配布されるのが既に手帳とは言い難い「生活保護手帳」と「同別冊問答集」である。加えて政令市や都道府県独自で編集を行った問答集が存在する場合もある。生活保護行政におけるケースワーカーとして仕事をこなしていくうえで、これらの情報を駆使し、保護の変更・決定を行ううえでの法定根拠としていく訳であるが、戦前の昭和25年に成立した生活保護法本体を補完する形で、現在まで様々な内容の通知・通達が発布されており、これら全てを頭に叩き込むといった発想は資料のボリュームからして不建設である。そんな時に我々生活保護行政に携わる者の業務効率化の一助となっているのが平成15年以降「生活保護手帳」「別冊問答集」の改定に合わせて毎年山中氏が自主的に改編を続けている【生活保護通知・通達総索引】である。
本来であれば各福祉事務所に知識豊富なベテラン職員が配置されており、法的解釈や保護の運用に係る様々な悩み事に応えてくれる状況が望ましいものの、昨今の地方自治体職員の人員削減や短期間の人事異動により知識構築や経験の継承が困難となっている自治体が散見される状況も否めない。そんな状況においても【生活保護通知・通達総索引】にたどり着けさえすれば、喉から手が出る程欲しかった情報が早速手にする事が出来る訳である。常人とは違った視点でこれまでにない新たな発想により対応できるスペシャリストが各福祉事務所に必ず配属されているとは言い難く、いかに早く【生活保護通知・通達総索引】を入手し、自身の経験が無い事例においても参考となる通知・通達にたどり着けるかが、生活保護行政においてよりスマートな働き方改革となる事は間違いない。
直接山中氏にお会いした時に本人の口からは、「自分が楽しようとして作ったツールだからね」と何ともスマートな返答があった。山中氏を地方公務員アワード2022に推薦する。
推薦者4:藤吉 辰留(立川市 子ども家庭部子ども育成課)
取り組み概要、「すごい!」と思うポイント
生活保護通知・通達総索引を18年間も作成・更新しているスーパーボランティアン
推薦文
生活保護制度は関連通知・通達が多岐に渡ります。業務担当(ケースワーカー)となった時、最初に与えられる資料が『生活保護手帳』。昔は手帳サイズだった。今や辞書。さらに『別冊問答集』と呼ばれる具体的事例が書かれた冊子も年々厚みを増す。各種通知が間に挿入されて毎年改定されては、ベテラン職員でも該当箇所を探すのに忙殺・一苦労。
そんな課題に山中さんは読み手の立場に立ってキーワードを作成し、各種通知を横断的に探すことができる索引集「生活保護通知・通達総索引」を2003年に制作した。
最初は自分が楽するため。しかし、同じ生活保護業務を担当する職員を強く応援したい気持ち一心から、自身のブログにて、同じ公務員から求めがあればその索引を惜しみなく提供している。その索引の精度は評判を呼び、全国で活用されている。自身が生活保護業務を離れても、最新の資料を集めて更新している。18年。収録した通知等は5,000超、見出し(キーワード)は1,000超。もはやボランティアである。簡単にできることではない。私もこの索引に出逢い、とても助けられた。そして、学び続ける姿勢に感銘を受けた。
特別協賛社賞-Yahoo!賞
分散する情報(データ)を必要とする人に扱いやすくすることで成果をだされた山中様を選出させていただきました。山中様の取り組みは、全国のケースワーカーの方々、そしてその方が向き合う一般の方にとって大変価値があり、このような取り組みが、様々な分野で広がることを期待し、今後も応援していきたいと思っております。
特別協賛社賞-トラストバンク賞
同じ苦労を共にする全国自治体職員のために無償提供し、異動後も毎年更新をされていることに大変感銘を受けました。
全国自治体の業務改善の成果に加えて、主体性の発揮と諦めずにやり切る誠実さという当社のバリューにも通じるところがあり、評価させていただきました。
特別協賛社賞-自治体通信賞
現場の裁量に委ねられることが多く、対応のパターン化が非常に難しい生活保護の分野において、省庁から大量に送られる通知や各自治体の運用をデータベースに記録し、網羅的に整理をするだけでも、莫大な労力がかかったであろうと推察します。さらに、その情報の蓄積を生活保護業務にあたる自治体職員に提供をされており、その一連の取り組みは業務にあたる職員だけでなく、その先にいる住民にとっても間違いなく大きなプラスになっていると思います。本当に素晴らしいです。
特別協賛社賞-VOTE FOR賞
生活保護という市民の暮らしを支える制度も、それを支える人がいて、継続できなければ成立しません。
その環境を改善した実績と、課を離れた後も支え続けている姿勢を称賛します。
審査員のコメント
今回の数多くの推薦の中で、地方公務員に対する貢献度が最も高い取り組みをされている方です。生活保護の業務を離れても、同じ悩みを持つ全国の同志にサポートし続ける姿勢に凄みを覚えます。(須藤 文彦)
使命のごとく継続していることがとにかく凄いと感じます。専門性の高い業務のハードルを下げている点も素敵です。(平塚 雅人)
現場の繁忙感と悩みを解消する、地道だが大変有用な取り組み。(河尻 和佳子)
取り組みづらい生活保護をテーマをマニュアル化し、全国に良い影響を与えている点は本当にすごい!(吉川 牧人)
とにかく生活保護に対する熱量の高さがコメントからビシビシと伝わりました!しかしこれは熱量というよりもうすでに生活の一部ですね!(森田 修平)
山中 正則さん、受賞おめでとうございます!
【地方公務員アワード2022 受賞者の推薦文はこちら】
⑴荒井 菜彩季さん ⑵田中 雄大さん ⑶寺井 優介さん
⑷橋本 隆さん ⑸出蔵 健至さん ⑹東 克宏さん
⑺山中 正則さん ⑻小野寺 崇さん ⑼廣濱 学さん
『地方公務員アワード2022』全体発表はコチラ
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1979年より毎年、自治体職員を1年間、研修生として受け入れる研修制度「自治体等パブリックセクター年間研修受入制度」を実施。座学、OJT、フィールドワーク等で弊社の社員と共に働き、学び、帰任時には首長に自主提案を行う。観光や広報に限らず、幅広い分野部署で活躍できるプロデューサー人財の育成を目指す。
NECグループの社会ソリューション事業をICTで担う中核ソフトウェア会社として、社会やお客様とともに、先進技術とイノベーションで新たな価値を創造し、持続可能な社会を実現します。お客様の課題を解決する従来の業務システム開発/業務PKG提供に加え、共創を通じて社会課題を解決する社会価値創造ソリューションに取組んでいます。
「行動者発の情報が、人の心を揺さぶる時代へ」をミッションに掲げ、企業とメディア、生活者をつなぐインターネットサービス「PR TIMES」を運営し、地方自治体300市区町村を含む6万5000社超が利用。地域情報を流通させる為の枠組みづくりとして、42都道府県で銀行、メディア、自治体と提携をし、各地域事業者の情報発信を支援しています。(R4年5月時点)
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ビジョンは「自立した持続可能な地域をつくる」。2012年4月に創業、同年9月に国内初のふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を開設。18年東証プライム市場の株式会社チェンジとグループ化。現在、行政DX化支援をするパブリテック事業や地域経済循環を促す地域通貨事業、電力の地産地消を目指すエネルギー事業を展開。
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