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【諫早市こどもの城 福薗恵子 #1】ハードには頼らない。人と自然を通じて生きる力を身につける施設

福薗 恵子(ふくぞの けいこ)経歴
 「ホールアース自然学校」、「国立諫早青少年自然の家」「長崎ペンギン水族館」を経て、「諫早市こどもの城」のオープン翌年から嘱託員として働き始める。環境学習を広める取り組みする中でも、特に独自で開発した環境学習プログラム「UNCO(Unidentified Natural Cycling Object ®)」は各地の教育機関から依頼が舞い込むほど話題を呼んでいる。

 本インタビューでは『地方公務員が本当にすごい!地方公務員アワード2017』を受賞した福薗氏の取り組みについて、具体的な内容からその背景、そして今後の展望を伺った。

生きる力を身につける場

加藤(インタビュアー):今日はよろしくお願いします。まずは福薗さんが勤務されている「諫早市こどもの城」について教えていただけますか。

福薗氏:非常に説明が難しい施設なんですけども、子育て支援センターや青少年教育施設、そして児童館を全部複合したような施設です。子どもたち自身が生きる力をつけていくために、人や自然と触れ合いながら、子ども自らが考え行動していける力を育めるセンターです。

 巨大な建物とちょっとした遊具があって、そこが入口になりながら親子がふらっと遊びに来るんですけども、そこにスタッフが「今日はどちらからですか?」とか話しかけつつ、遊具で遊ぶのではなく人や自然と遊ぶことを促しています。

みんなで子育てする雰囲気を底上げする

加藤:諫早市こどもの城には、全国から視察が来るらしいですね。

福薗氏:そうですね。「こどもの城」と名が付いている施設はいろいろとあるんですけども、うちのような施設はあまりないと思います。ふらっと来たときはただのレジャー施設みたいな感じなんですけれども、一歩踏み込んだ利用者は我が家のように施設を利用するようになってくれます。

 子どもって危なっかしい行動をよくするんですけど、もしそんな場面を見かけたら、例えそれがよその子であっても、「危ないよ」と利用者自身が声をかけてくれる、そういう交流を促すんですね。要は一人で子育てをしないで、大人も他人を頼りながらみんなで子育てする雰囲気を底上げしていく施設です。

コンセプトは「I will」

加藤:施設のコンセプトはありますか。

福薗氏:コンセプトは「I will」です。主語が自分で、そこに意思がある。「全部自分で決めるんだよ」っていうことを伝えるために、一番シンプルな言葉ですね。

 たとえば遊具で遊ぶ時、普通のレジャー施設だったらスタッフが並ばせてあげて、「はい順番守ってくださいね」って言うんですけども、うちの場合はそういうことはしないので、全然次の子に代わらない子とか出て来ちゃうんですよ。

 他の子から「あの子が全然代わってくれん」みたいなことを言われたとき、「まず自分で『代わって』って言ってごらん」と伝えます。言えなかったらちょっと手伝うけれど、まずは「自分でやる」っていうことをサポートするんです。

加藤:素晴らしいですね。ただ親御さんからクレームが来たりしませんか。

福薗氏:たまにすごい剣幕で「なんでスタッフさんが並ばせてくれないんですか」って言われますよ(笑)。そういうときは「いや、そこにいるあなたが気づいたんだったら、あなたが言いませんか」と提案するんです。

 これをやるのはなかなか大変ですけども(笑)、大事なことですよね。社会があんまりお互い関わらない方向に向かっていますが、私たちはお互い関わり合っていきましょうと伝えています。関わらないほうがリスクが高いと思っているからです。でもそれで気分を害してしまったら、「ごめんなさい!」と謝る誠意と覚悟を持って関わろう、というスタンスの施設です。

 「嫌がられるかもしれない」と思うと何もできないので、「嫌がられるかもしれないけど、まず動いてみよう」という攻めの姿勢を大事にしているんですね。ちょっと強引かもしれませんが、そこから始まる対話をきっかけに、リピーターになる人も多いです。

自然との触れ合いから対応力を身につけてもらう

加藤:福薗さんのお仕事の担当はどのようなものでしょうか。

福薗氏:私は自然との触れ合いをメインに受け持っています。うちは大きなハードがあるもんだから、どうしても建物の中で遊ぶことだけをメインに考えて、外で遊ぶ意識さえない方も多くいらっしゃるんですね。

 そうじゃなくて、こどもの城をわざわざ山の中に建てたのにはやっぱり理由があるんです。ちっちゃいうちからもっと自然に触れて、いろんな変化を五感で感じながら対応力、生きる力を身につけて欲しい。

 突然雨が降ってくるとか、雷が鳴るとか、危険な生物に出会ったらとか、そういう変化に対して自分で対処することを学んでいけるところなんです。そうやって心も体も発達していくので、その大切さを伝えるためになんとか外に連れ出そうということをやっています。

子どもにも大人にも根気強く伝える

加藤:施設を目当てに来た親子を、どうやって連れ出すのでしょうか。

福薗氏:そもそも外に出る意識のない方は普通に誘っても出ないので、いろんな手段を使います。木の実とか、鳥の羽とか、外にあるいろんな「自然のカケラ」を室内に持ち込んで、「こんなん拾ったけど、なんでしょう」みたいなクイズをしたりとか。

 本物の自然を外から中に持ち込むことで、中にしかいなかった人も少し外に興味を持ち始めてくれます。そこで「一緒に探しに行こう」って外に散歩に行く。ただよくあるのが、子どもは「外に出たい」って言ってくれても、大人が「日に焼ける」とか「虫が嫌」とか言って出たがらなかったりします。

 そこを「まぁ、一回出てみましょうよ。あなたが出たら子どもの世界も広がるし、自然に触れるだけでリフレッシュ効果もあるんですよ」という感じで大人向けにも伝え続ける。特にちっちゃな子どもが自然から吸収することって大きいから、それを根気強く伝えるんです。

 あまり外に出たがらなかった大人も、一度外に出たら「感じる」ことの大切さや、自然の中で過ごすことの良さを体感できるので、その後は積極的に外に出るようになる方も多いですね。

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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