インタビュー

【諫早市こどもの城 福薗恵子 #4】プロが認めた!「うんこ」と「循環」の授業「UNCO」とは

福薗恵子top4

学芸員が認めた知識と活動

加藤:『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2017』の推薦文に、「福薗さんの知識が学芸員をも超える」ということが書いてありました。

福薗氏:学芸員を超えたということではなくて、私が行っているUNCO(ユーエヌシーオー)の活動をプロの学芸員が認めてくれたっていうことだと思います。その学芸員さんは、人と自然と地域をつなぐ素敵な活動をされているのですが、ご縁があって、UNCOの教材を見ていただく機会があったんです。

 そしたらすごく認めてくださって。私はプロの学芸員からそう言われたことで本当に自信になったんです。私の自然に関する知識のほとんどは独学なので、一般の人より詳しいとはいえ素人に毛が生えた程度くらいにしか思えなかったんですよね。そこがずっとコンプレックスだったんですけど、プロが認めてくれたっていうのがすごく私の励みになったんです。今の方向で間違ってないんだな、と思うことができて、そこから更に教材づくりに力を入れました。

「うんこ」と「循環」の授業「UNCO」

加藤: UNCOの中身について伺えますか。

福薗氏:まずきっかけからお話すると、UNCOは「諫早市こどもの城」のすぐ近くの小学校から「身近な自然の授業をしてほしい」と頼まれたときに生まれたんですね。そこで授業内容を決める打合せをしているときに、私がいろいろ集めた自然物の中でも特にうんこが最近面白いという話をしたんです。まだ世の中が「うんこブーム」になる前だったんですけど、そしたら「子どもたち、うんこ大好きですよ」ということだったので、身近に落ちているうんこを切り口に、身の回りの生き物や自然について学ぶ授業を組み立て、実際に行いました。

 それがものすごく大当たりで。子どもたちの反応もいいし、自分も楽しくって。終わった後にいろんな方とアイディアを出し合いながら、その授業に名前をつけようという事になりました。うんこをただ「うんこ」と言っても面白くないので、少しひねろう、と。

 試しにアルファベットで書くと、「UNKO」。そこから「UFO」を連想して、UFOみたいに「未確認○○物体」と表現できたら面白いなぁ、その英単語の頭文字をとったら「UNKO」だった、というストーリーがあると、もっと面白いなぁ、というのが発想の元でした。

 うんこを表現する際に、どうしても「循環」という概念を入れたかったんですよね。「K」では単語のイメージが広がらなかったのですが、「C」でも「UNCO(うんこ)」と読めることに気づき、ひらめきました。UNCO(Unidentified Natural Cycling Object)=「未確認自然循環物体」、つまりは「自然の中を循環する謎の物体」と表現しよう、正しい英語かはよくわかりませんが、意味は伝わるだろう、と。「できたーー!」と、もう、大発明をしたような気持でした(笑)。

うんこから自然の循環を知る

加藤:具体的にはどのように授業を進めるのでしょうか。

福薗氏:まずこれ、見てください。プログラム紹介キットの「Mobile UNCO」ですね。そしてこれが私の大好きな一押しのうんこなんですけど、コーヒー豆にしか見えないですよね(笑)。

Mobile UNCO

福薗氏:口で言ってもなかなか分からないので、こうして体験版の標本をいくつか詰め込んで持ち歩いています。これがUNCOの第一弾ですね。これを見せて「なんでしょう?」って言うと、だいたいみんな「タネ」って言うんですよ。木の実とかコーヒー豆という人も多いです。いざこれがうんこだと話をしたら、「えーっ!」てなりますよね(笑)。

 これでまず、うんこの「形」の概念を崩します。「こんなにかわいい形のうんこがあるの!?」って。そして、「におい」の概念も崩します。多くの人が「くさい」と思っているので、「いい香り」のうんこを嗅いでもらうんです。すると、「なんで!?」「誰のうんこ!?」「どうしてこんなにおい!?」と、興味の扉が一気に開くんです。

 UFOじゃないですけど、この「謎の物体」の謎解きをしながらちょっとずつ自然の「循環」の世界に誘うんです。「知っているようで知らないこと」を入り口にしていることが、プログラムのポイントですね。うんこに対する「思い込み」が強いので、それが覆った時の学びの大きさは計り知れないものがあります。

 うんこを切り口に、身近にどんな生き物がいるのか、何を食べているのかに目を向け、うんこを出している生き物と、その周りにある自然、そしてそれが全て「つながっている」ことを、プログラムを通して感じてもらっています。

 「生物多様性」という言葉を使っても難しくて伝わりにくいんですけど、うんこを切り口に自然を見ていくと、子どもたちも「生き物って、いろいろ」を感じることができるんですね。うんこはとても身近なので、非常に破壊力のある教材だぁと、実践を重ねるほどに実感しています。

 「排泄」は、「食べる」こととつながっているので、うんこの違いから「草食」や「肉食」など食べ物の違いもわかるんですね。それは歯や頭の形にも違いが表れてくるので、その頭骨の実物を見せて、「どのうんことどの頭がセットでしょう」っていうクイズを出したりします。ちなみにこの骨は交通事故など不慮の事故で命を落とした動物たちを活用し、死体を見つけては自分で解剖して標本化しています。

 こんな風に、うんこやホネなど「実物」に触れながらプログラムを進めますが、実際にプログラムの後は、みんな「UNCOマジック」にかかって、身近に落ちているうんこが気になって仕方なくなるようですね。今まで素通りしていた風景が、一変するんです。「これ誰のうんこ?」「何食べてるの?」「ここにもこんな生き物いたんだね」という感じで、「うんこの向こう側」に目が向くのが、いいなぁと思っています。仕掛けたこちら側としては、「してやったり」ですね。とても強力なツールだと思います。

Mobile UNCO2

オーダーメイドで授業する

加藤:UNCOは宣伝をしているわけでもないのに、どんどん広まっているそうですね。どんなところで開催しているのですか。

福薗氏:小学校、中学校、大学、図書館、社会人サークルなど様々です。一時間がスタンダートですけど、短くも長くもできます。アレンジは自由ですので、オーダーしてくれる方がどういう目的を持っているのかに合わせて組み立てをします。身近な自然へまなざしを向けてもらいたいので、プログラム参加者がどんな環境に住んでいるのかも考慮しています。

 だからそのオーダーの数だけプログラムが出来上がるんです。オーダーはいっぱいあるのですが、活躍する標本が限られていて、まだ活用できてない標本の方が多すぎます。それが、もったいないなっていうのが今の課題ですかね。

 プログラムで使う標本は、全て「本物」です。ひとつひとつが持つ物語や、本物が放つ迫力などを、五感を使って感じてもらうことを大事にしています。プログラムが広がるのも、体験した人が、「みんなにも体験させたい!」と思ってくれるからなんですよね。これは、「本物」だからこそ為せる業なんだと思います。

福薗恵子2

加藤:福薗さんはUNCOの他にも講座などやられていますか。

福薗氏:相手のオーダーと、自分が持っているスキルや教材を掛け合わせてできることは、いろいろチャレンジしています。教員免許を持たない私が、理科の先生方の先生をする、という畏れ多い経験もさせていただきましたし、中学校での「職業講話」に呼んでいただいたこともあります。

 職業講話は、進路指導の一環で「こんな働き方をしている人がいる」ということを見せ、生徒たちの職業選択の視野を広げる、という趣旨のものだったので、責任重大でしたが、「就活をしていないアウトローな立場」から伝えられる視点もあると思い、引き受けました。

 ずっと「非正規」でしか働いたことのない私ですが、「ご縁」と「経験」の積み重ねで仕事がつながっていることや、挫折しながらも「好きなこと」から自分で仕事を作り出していることを、UNCOのプログラムも交えながら紹介しました。「生き生きと」「楽しそうに」語る私の姿に、仕事に対する姿勢や、自分なりの仕事との出会い方、生き方について、生徒たちそれぞれが自分に引き寄せて考えてくれていたようで、ほっとしました。

 せっかくだったら「働く」ことを楽しんでほしいし、自分が「楽しい」と思う仕事で、社会に貢献してほしい。そんなメッセージが伝わったのなら、嬉しいですね。

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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