インタビュー

【生駒市 大垣弥生氏 #7】いいまちだと思えるって、幸せなこと

大垣弥生17

市民がまちの魅力を発信「いこまち宣伝部」

加藤:広報広聴課から異動して、いこまの魅力創造課に配属されました。現在のお仕事を教えてもらえますか?

大垣氏:シティプロモーションを担当しています。生駒市は大阪のベッドタウンで、県外就業率が全国2位。つまり、まちと関わる機会や必要性が少ない方々が多いんです。でも、今後人口や税収が減っていく中、いかに地域に参画してもらうかは大きな課題です。
 生駒市ではシティプロモーションを「まちの推奨者・参画者を増やす仕組みづくり」と定義して、転入促進を含めた事業を展開しています。

魅力創造課

生駒市役所 魅力創造課

加藤:具体的にはどんな事業ですか。

大垣氏:まず、市民PRチーム「いこまち宣伝部」を運営しています。生駒で暮らす方々が、市の公式フェイスブック「まんてんいこま」への投稿やCM・フォトブックの制作を通じて、まちの魅力を発信してくださっています。

加藤:市民が自分たちで市の魅力を発信するんですね。想定通りの応募はありましたか。

大垣氏:地域と関わる機会の少ない方に参加してもらいたかったので、対象を18~49歳に限定しました。無償の活動にもかかわらず、定員を超える応募がありました。特に、宣伝部のフェイスブックチームは10名の定員に、3倍の応募があったんです。

いこまち宣伝部 講座風景

いこまち宣伝部員はプロによる写真・文章講座を受講できる

魅力を見つけ、魅力を創り出す存在に

加藤:すごいですね。まちの魅力を発信したい人が、そんなにもいたんですね。

大垣氏:それが、そうではないんです。魅力がわからないから応募したと話す人も多かったし、情報発信のノウハウを学びたいとか、地域にママ友以外の友達を作りたいとか参加の理由はさまざまでした。

加藤:活動していく中でまちの魅力に気づいていかれるんですか。

大垣氏:魅力を発信する立場になると、地域にアンテナを張り、まちの人と話し、見つけた魅力を言葉や写真にするという作業を繰り返します。長期的な活動を通じて、魅力に気づくだけではなく、まちへの想いを深めていかれました。

 毎回、活動を終えたときに「生駒を輝かせるために自分もできることをしようと思った」とか「自治会や保護者会といった地域活動が苦にならなくなった」という感想をもらいます。実際にイベントを開催したり、ママを対象にしたサロンを立ち上げたりと、魅力をつくり出す側になった方も多くいらっしゃいます。

加藤:地域を好きになったら、地域のために何かしたくなるんですね。

大垣氏:そうなんです。フォトブックチームはメンバー15人のうち5人がデザイナーでした。CM制作チームには大学の先生や中学校の先生もいらっしゃいました。事業内容を工夫すれば、今までまちづくりに関わったことのない方々と接点を持てることも分かりました。

「まちに関わること=楽しい」を見える化する

大垣氏:それから、生駒の魅力を体感してもらうアウトドアイベント「IKOMA SUN FESTA」を開催しています。地域の推奨者を増やすことが私たちの仕事。行政が今までつながってこなかったカフェやバー、キッチンカー、美容院といった事業者の皆さんに出店のご依頼をしたら、ほとんどの方が「こんな場を待っていた」と快諾し、SNSなどで「生駒をみんなで盛り上げよう」と発信してくださいました。おかげで初回から1万人の来場がありました。

加藤:それはすごいですね。

大垣氏:装飾にこだわり、フォトジェニックな空間をつくることも徹底しました。イベント当日は、たくさんの人が会場の写真とともに「生駒、ほんまにいいまち」「引っ越してきて良かった」と生駒を発信されていて、プロモーションの手ごたえを感じました。2回目となった今年度は、生駒で暮らすママ達にもクラフト系のワークショップや親子ヨガのブースを担当してもらいました。快くまちの魅力を作り出す側になってもらえたことが、とても心強かったです。

加藤:まさに市民協働ですね。これから先、何をしていきたいですか。

大垣氏:愛してやまなかった広報から異動になったとき、辛すぎて、3ヶ月ほど落ち込み続けました。でも、シティプロモーションも、まちを愛し、まちのために何かしてみようと思うスイッチを押す仕事だと気づいて気持ちを立て直し、今はすっかりこの仕事の虜です。
 3月には「スタイリングパーティ」というオトナ女子会を初開催したんです。ポジティブな地域のつながりは相乗効果を生み、まちのエネルギーになることを改めて実感しました。
 自分が暮らすまちを、いいまちだと思えるってとても幸せなことだと思うんです。これからも、「まちに関わること=楽しい」を見える化し、まちの皆さんといっしょに生駒の可能性を高めていきたいです。

スタイリングパーティ

いっしょにパーティを企画したまちの方々と

編集後記

 終始、笑いの絶えないインタビューであったが、「日本一負けず嫌い」という前評判は、大垣さんが愛されているからこその言い回しだということを再認識した。

 いこまち宣伝部やサンフェスタなどの活動は、役所内外から「わざわざ役所がやらなくてもいい」と言われることもあるという。さらに酷い時には、「あなたの仕事を全てなくしても、市民生活に影響がない」と言う者まで存在したという。もちろん、行政がセーフティネットに重きを置くのは大切だが、人と人が結びつくことは、人間の根源的な幸せを生み出すことを忘れてはならない。

 将来的に、様々なものが機械に置き換わるだろう。しかし、人と人のつながりは代替されることのない数少ない要素である。それは、目には見えないが確実に存在し、そのまちだけではなく社会全体の資産となる。

 モノ消費からコト消費の時代と言われるのと同様に、有形資産よりも無形資産が求められる時代になってきた。公務員のもつ信用・信頼という無形資産が、人のつながりという無形資産を生み出すのだとしたら、それは大いに奨励されてしかるべきだろう。

 もちろん、湯水のようにお金を使うことは是とされない。しかし、信用と信頼を活用することで、お金をかけずに人と人をつなげ、そして、幸せにする力が自治体にはある。きっと、大垣さんはそれを実践しているのだろう。

※本インタビューは全7話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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