インタビュー

【八幡平市 中軽米真人 #1】「起業家をわんさか生み出す」スパルタキャンプの仕掛け人

mnakakarumai

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【中軽米 真人(なかかるまい まこと) 経歴】
八幡平市商工観光課 企業立地推進係長。1998年、松尾村役場に入庁。主業務のかたわら村の情報化政策にも関わり、村内のほぼ全域をADSL化することに貢献(県内最速)。また合併協議会の情報システム統合担当として、補助金に頼らず民間の活力のみで市内全域の光ファイバー化を推進。2015年より企画総務部地域振興課 地域振興係として「起業志民プロジェクト」を主導し、日本全国のみならず海外からも参加者が集まるプログラミング合宿「スパルタキャンプ」を監修。そこから八幡平市の定住者・起業家を生み出している。

 岩手県の北西部に位置する八幡平市は、人口25,427人(2019年8月末時点)の決して大きくはない市だ。全国的にも知名度があるとは言えないこの市に、海外からも参加者が集う人気のプログラミング合宿がある。移住者や起業家を輩出しているこのプログラミング合宿を事業化、監修するのが中軽米真人氏だ。
 「面白いこと」だけを追求するという中軽米氏の話は、一見これまでの公務員像とはかけ離れているように見えるが、その根底にある「人を幸せにしたい」という想いは公務員の本来の姿であるようにも感じられる。そんな中軽米氏のスタンス、仕事術について詳しく伺った。

起業家を生み出すプログラム

加藤:中軽米さんが八幡平市で監修をされている「起業志民プロジェクト」について教えてください。

中軽米氏:少し前にHOLGに寄稿させていただきましたが「起業志民プロジェクト」は2015年に始まりました。その目的は、一言で言うと「起業家をわんさか生み出す」ことです。今年だけでも5社の起業予定があり、年度末には累計で10社となる見込みです。現在は、スパルタキャンプPython編のエントリーを10月8日まで受付ています。

加藤:いきなりインパクトのある数字ですね。

中軽米氏:ここには、本プロジェクト出身のメンバーが他地域での起業した数はカウントしていないので、私が起業のお手伝いなどで関わっている全体で言えば、もっと大きい数字になってきます。知ってる限りでも市外で起業した方が8人くらいはいますので、実数ではもっといるんじゃないですかね。
 「起業志民プロジェクト」自体は補助金がぜんぜん付かなくて年々予算が減っているんですけど、あまりに反響が大きくなってきたので9月の補正予算で追加することになりました。

加藤:ちなみに始めた頃の年度予算はどのぐらいでしたか。

中軽米氏:最初は年間1,700万円ほどで、いまは1,300万円ぐらいです。予算は減り続けていますが、八幡平市まち・ひと・しごと創生総合戦略に定めているKPIはどんどん高くなってきてまして(笑)

加藤:KPIとは起業家の輩出数などでしょうか。

中軽米氏:そうですね。「スパルタキャンプ」という毎週土日の4週間、たった8日間という短期集中型のプログラミング合宿を行っているのですが、応募者数が多い時で400人を超えるんですね。ちなみにこのエントリー件数については、市の総合計画の指標となっています。

スパルタクアンプのエントリー数の推移

 ここから15人程度に参加してもらい、プログラミングを学んでもらって、参加後に起業家が生まれていきます。当初は定員割れが常だったんですが、回を重ねるごとにエグい勢いで伸び続けてまして、最近は競争率20倍超えが普通になってきましたね(笑)

 昨年度は3回開催して414人のエントリーがあったんですが、今年は第1回で38都道府県8か国から427人の応募がありまして、昨年開催した3回分を優に超えちゃったんですよ(笑)。次の第2回では39都道府県5か国から320人。この2回分だけで、すでに過去4年分に匹敵するくらいになってしまいました。

一か月でプログラミングを学ぶ「スパルタキャンプ」

加藤:「スパルタキャンプ」は八幡平市内で行っているんですよね。

中軽米氏:ですね。八幡平市は東京駅から新幹線を使えば約3時間で行けるので、東京から通う参加者もいます。ただ「スパルタキャンプ」の参加者は温泉付き施設に無料で泊まることができるので、スパルタキャンプ期間中の4週間、八幡平に住み込みで参加する人が圧倒的に多いですね。

加藤:つまり一か月間、温泉付き施設に無料で泊まれるんですか。

中軽米氏:そうなんですよ。ちょっと普通じゃないですよね(笑)
 プログラミングを教えているのは毎週土日の8日間で、講義自体は6日間。その間に一般的なプログラミング教室で半年以上かけて教わることを身につけます。
 教える先生としてアサインしているのも、本業がスクール講師の人ではなく現役エンジニアですから、教科書とか能書きとか関係なしでとにかく手を動かして現場のノウハウを叩き込むことを重視しています。

加藤:アウトプットが中心なんですね。

中軽米氏:まさにアウトプット第一主義です。週末の講義に加えて、平日には前週習ったことプラス、自分で調べないと解けないレベルの課題をポンポン出して、解けたらもう一歩進んだ課題にする。
そうすることで平日もひたすら自分で手を動かすことになって、仕事がある人も夜に必死で頑張って解いてくるんです。

加藤:スパルタキャンプのゴールはどういう感じになるんですか。

中軽米氏:毎週土日の4週間やる、とお話しましたが、実際に講義形式で開催するのは3週目までです。4週目に何をやるのかと言うと、最終課題として、オリジナルのアプリやウェブサービスを開発してもらいます。
 6日目の夕方には参加者全員に、自分の作りたいもののアイディアをプレゼンしてもらい、そこで「自分のアイディアよりも面白そうだから、一緒にやろう」などチームビルディングを想定した流れになります。実務でもチームで開発するのが普通ですからね。この辺も超実践主義です。
 最終週に、投資家に対するプレゼンの簡易版をイメージしたピッチを全員にやってもらいます。ターゲットはだれで、こういう価値を提供するサービスです、といった感じで話をしてもらう。
ここまでのゴール設定をすることで、より実務に近い経験をしてもらいます。

加藤:そうなると、個人単位で明確なゴールが決められているわけではなく、やりながら変わっていく感じですか。

中軽米氏:変わっていきますね。機能の作り方は教えますが、どういうものを開発するかは自分たちで考えてもらいます。
 例えば、教えたレジュメから大いに逸脱して「マッチングアプリを作りたいです」など難易度が高い目標を設定する参加者もいますが、「サーバーを用意するのは大変だから、アプリ内だけでマッチングアプリ的な動作をするものを作ってみようか」と言って参加者のレベル感に合わせて、まず手を動かしてもらうようにします。自力でできそうな人には、調べるキーワードだけを与えて「分からなかったら質問して」と個別に対応したりもしますけどね。

 参加者にそこまでのレベル感のものを作りたいニーズがあるのであれば、次回開催時には無料の簡易サーバーを使ってデータ連携まで経験できるレジュメにバージョンアップすることで、希望を叶えられるようサポートします。

加藤:そこまで個々人に対応するとなると、毎回メニューを変えないと対応できませんよね。

中軽米氏:そうですね。毎回のレジュメもそうですし、あとは市場ニーズの変化によって新しい言語を扱う必要が出てきますから、毎回めちゃくちゃアップデートさせていく感じです。全く同じ内容で教えたことは一度もありませんよ。

(文=小野寺 将人)

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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