インタビュー

【四條畷市 安田美有希 #1】働き方改革をやらない理由はない

安田美有希1

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【安田美有希(やすだみゆき) 経歴】
 2003年に四條畷市に入庁。6年間生活保護担当としてケースワーカーに従事。2009年より人事課に異動。2017年に30代という若さで人事課長に抜擢。2019年4月より教育委員会生涯学習推進課へ異動。論文「地方自治体における婚活支援策について」で市町村職員公募論文(平成24年)を受賞。社会福祉士。

 様々な施策を矢継ぎ早に進め、注目を集めるのが四條畷市だ。同市の東修平市長は市民と向き合う体制づくりを行うために、日本一前向きな市役所の実現を選挙公約のひとつに掲げ、当選後は市役所内の働き方改革を推し進めている。
 当然、実務レベルで働き方改革を具現化するには、その仕事を担う職員の力が不可欠となる。その重責を担うべく、なんと、四條畷市では30代の女性人事課長が誕生した。四條畷市の人事政策について、人事課長である安田美有希氏に職員視点からお話を伺った。

私が働きやすい職場にすることが、全職員の働きやすい職場につながる

加藤:以前に東修平市長にお聞きしましたが、市長と実際にお会いする前に、安田さんが人事課長になることが決まっていたそうですね。すごいことですよね。

安田氏:そうなんです。東市長は恐ろしいことをされる方でして(笑)、2017年の1月15日に当選され、ご着任後、2月1日には人事異動です。私自身、東市長には内示を受けた時に初めてお会いしました。

加藤:安田さんは人事課長になる前はどのような部署を経験されていますか?

安田氏:大学で社会福祉を学んでいたこともあり、2003年に入庁後は生活保護のケースワーカーをしていました。同年4月から2008年の12月31日まで約6年間、生活保護の現場に在籍しました。その後、2009年の1月に人事課に異動し、第1子を出産したり、昇任するなど少しずつ環境が変わりました。
 東市長から人事課長の内示を受けた際、子どもは当時3歳でした。率直なところ、保育園年少クラスの子どもを育てている状況で、まさか人事課長になると思っていなかったので、内示をいただいた後には自分に人事課長の責務が果たせる自信もなくて、だいぶ泣きましたね(笑)。

 福祉部局に在籍していた頃は特に、総務部長など管理部局の上役の方とはなるべく接触することがないようにしていました。基本的に、人に注目されることは苦手で、組織の現場でコツコツ地道に業務をこなしていきたいという性格をしていますので、未だに人事課長をさせてもらうというのは違和感があります。

加藤:市長からは何を期待されていたのでしょうか。

安田氏:20年後の組織に責任を持ってもらえる人を配置したい、と言われました。20年後って、だいぶ先のことですよね(笑)。人事課長として着任した頃は、社会全体で女性活躍促進の動きが活発にあり、その中で育児をしている私が象徴的だったという側面もあったかもしれませんが、東市長は、私が働きやすい職場や組織にしていくことが、全職員の働きやすい環境につながる、という考えを持っていらっしゃるようです。

働き方改革は市民と向き合う体制づくり

加藤:四條畷市では、働き方改革に対しての注力度合いが群を抜いていますね。

安田氏:東市長が「日本一前向きな市役所へ」という組織改革を掲げておられます。心に余裕を持って市民と向き合う時間を確保し、市民への説明責任をきっちり果たすことのできる体制づくりを進めているところです。

加藤:職員側の反発はなかったのでしょうか?

安田氏:やはり職員の一部には、今までの仕事への取り組み方を変える必要はないという意識がありましたね。

加藤:それに対して、組織として具体的にどのように動いたのでしょうか。

安田氏:東市長は就任後すぐに、ワーク・ライフバランス社の「労働時間革命自治体宣言」に賛同されました。さらに、所信表明や平成29年度の市政運営方針で、働き方改革を進めると発信しました。

加藤:安田さんの役割はどのようなものでしたか?

安田氏:まず予算を組むところから始まりました。約1700万円の予算を組みました。すごい金額だと思うんですけど、東市長に言わせると、「働き方改革が進めば、副次的に残業時間が減ることから、時間外勤務手当の減少も見込まれる。将来的にプラスになるので、予算要求に恐れることはない」、と。議会とも様々な議論を経たのちに、ご承認いただき、事業をスタートしていくことができました。具体的な事業として、まず、東市長が管理職員を対象に、なぜ働き方改革が必要なのかをご説明なされました。次に、働き方改革を進めるためにコンサルを選定し、コンサルの助言のもとで働き方改革に取り組むモデル課を選出しました。モデル課には業務性質の異なる4課に参加してもらいました。

加藤:コンサルと相談しながら次の手を打っていったのでしょうか?

安田氏:そうですね。前述した通り、まだまだ働き方改革の機運は高まっていなかったので、モデル課で成功事例を作り、それを元に組織に浸透させていく手法をとりました。

加藤:モデル課というのは実証実験のような意味合いですね。それはどのくらいの期間の経過をみるものだったのでしょうか。

安田氏:2017年の秋から年度末の2018年3月までですね。ただ、モデル課を募集しても、最初はどこの部署も手を挙げませんでした。「働き方改革のモデル課になると手間が増えるので、やるなら人を配置して」という空気もありました。

 実際にモデル課の事業が動き出すと、モデル課のある課長には「改革という割には大したことをしていない。もっと劇的なことをしないと改革にならない。」と考える人もいました。『ちょっとした業務改善にすぎない』と感じて、不満があったようです。「こんなことをしていても改革にはつながらない」と何度も言われました。

加藤:そういう時はどうしていたのでしょうか。

安田氏:事務局である人事課職員をはじめ、副市長やコンサルの方に入ってもらって、粘り強く取り組んでもらうように調整しました。

働き方改革をやらない理由はない

加藤:安田さん自身もまだ実感のない世界を目指していたわけですよね。どのように理解を広めようと考えたのでしょうか?

安田氏:働き方改革が進むことによって、職員も家事や育児への参加ができたりしますよね。他にも余暇を充実させることもできます。すでに三重県の民間企業では、出生率に好影響が出ている成功事例も存在しています。働き方改革で得ることのできるメリットを伝えることで、職員の理解を求めていきました。

加藤:効果的な説得手法はありましたか?

安田氏:権力行使ですね(笑)。特に市長から言われたら「はい」と言うしかありません。あくまで最終手段ですが(笑)。

加藤:新しいことを進める上では、やっぱりトップの意志が大きいですよね。

安田氏:市長は、働き方改革を推し進めていくことは組織の最重要課題であると明言されていますからね。それに、これから労働人口が減少していくと見込まれる状況で、今後の行政運営を考えると、結論は火を見るより明らかです。働き方改革に反対しようとしても、理論的にも崩すことは不可能なのです。

(編集=文書編集チーム、加藤年紀)

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