[記事提供=旬刊旅行新聞]
一般に未来予測というのは悲観的なことを言う方がコメンテーターとしては安全といわれる。
というのも、「これから先好況が来ますよ」と楽観論を唱えて、それが当たらないと、「予想と違うじゃないか」と叱られてしまい、時によって恨まれてしまうことがあるからだ。これに対し、「うーん、先行き難しそうです」としかめっ面して言うと、人気はあまり出ないが、外れて景気が良くなると、予想を外していると批判されても、景気が良ければ結果、皆ハッピーになれるから、それほど叱られないですむ、という面がある。
楽観論のハードネス、悲観論のイージネスというものだ。という前提で2019年を占うとなると、悲観論的な立場をとりたくなってしまう。イージーだろうと誹られても。
表面的にはラグビーのワールドカップもあるし、20年を目前にして活気が生まれるかもしれない。大阪万国博、IRの話題もある。人手不足も18年度内に急ぎ決着をみた入管法改正で、外人労働者枠増大でやや緩和されるかもしれない。
トピック的には結構、いいカードが手札に来ている感じがするのだが、やはり疑い深いジャーナリストの端くれ、ネガティブな面を見てしまう。
まずはインバウンド景気。この正体は単純に巨大人口を抱える中国の景気がまだまだ健在だから、ということに尽きる。国力を伸ばしている国の隣国が観光で潤うのは、17世紀から18世紀にかけてのヨーロッパ、グランツァー時代のころから不変の法則だろう。
だから僕がいちばん懸念しているのは中国経済の減速。トランプさんが仕掛けている米中経済戦争の行方次第で、どうなるか? 他にも英国のEU脱退に伴う欧州の深刻な経済不安などもある。
それからロボット化、AI化。メーカー方面の自動化はこれから2、3年の短いスパンで急速に進み、第2次産業から人手が余る。
それも不況要員になるが、サービス産業は今の人手不足を外国人で補っていると、そこから出てくる優秀な人材獲得に後れを取ってしまう。それに20年を超えればホテル旅館は一気にオーバーストア化し、リストラ必至になるだろう。人手不足の今だからこそ、少数精鋭型オペレーションを確立しておきたい。
そして今年秋の消費税10%化。相当なダメージになるだろう。駆け込み需要はあるかもしれないが、外食や旅行は買いだめできないからその恩恵は受けにくい。そして増税後、不要不急とされるレジャー支出の削減現象は結構、長引くと思っている方が正解だと思う。
どれも当たってほしくない予想だが、僕自身は20年以降のサバイバルのために、最も大事な準備な年と位置づけている。
(跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授 松坂 健)
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