インタビュー

【流山市 河尻和佳子 #5】隣のまちの人口減少を喜ぶのはナンセンス

河尻和佳子TOP5

シティプロモーションは地域によって違うもの

加藤:最近、シティプロモーションという言葉が多く使われていますが、河尻さんはどういうものだと考えていますか?

河尻氏:シティプロモーションという言葉が流行っていて、いろんなことを言う方がいますが、私は「シティプロモーションはこうあるべき」みたいなことを言う人はちょっと信じられないんです。それはなぜかと言うと、地域によって目的やアクションの仕方が違うはずだからです。

 流山には全国または海外から視察にたくさん来ていただくんですけど、あくまでも、流山の事例だと伝えています。これをそのまま別の地域でやっても結果が出るとは限らない、むしろ、おそらくうまくいかない、と。

 私が流山でやりたいシティプロモーションはまちの魅力を外に伝えて、まちの力を高める活動。それによって、外から見て「なんか関わりたい」「住みたい」と思ってもらいたい。そして、住んでいる人にはそういう活動を見て、うちのまちは意外と良いまちだからもうちょっと関わってみよう、と思ってもらうことだと思っています。

人口を増やせないことへの言い訳

河尻氏:これは少し言いづらいんですけど、「シティプロモーションって人口を増やすことじゃないよね」と言う方がいらっしゃいます。それはおっしゃるとおりで、間違っていないんですよ。

 ただ、人口は減るよりは増えるほうがいいんです。今後、人口増はますます難しくなるので、実際は人口維持または微減あたりを目指すことになるのですが、シティプロモーションの果たす役割はあると思うので、それを否定するのはちょっと違うと思っています。

 ここも言い方が厳しくて申し訳ないんですけど、「シティプロモーションは人口を増やすものじゃない」というのが、人口を増やせないことへのエクスキューズに使われがちなんですよ。

 それが共通認識になれば、一気にラクになる人が結構いるのではないでしょうか。よく自治体の人は言い訳が上手だって揶揄されるじゃないですか。でも、明らかに難しいことであっても、挑戦はしていかなきゃいけないと思っています。

お金で釣ると、シビックプライドは醸成しづらい

加藤:個人的に思うのは、日本全体で限られている人口数を、自治体がお金を使い合って呼び込むのは止めて欲しいと思っています。車のディーラーが支店ごとに価格競争することはあっても、民間は損益目標を考慮して歯止めが効きます。ただ、損益という基準を強いられていない自治体が、税金を使って競争を始めると際限がなくなるリスクもあると思います。

 塩尻市役所の山田崇さんが「塩尻に転入してきた人の人生が、豊かになる転入は望むけど、ただ人口を増やしたいわけじゃない」と言っていますが、私はそれに共感しています。

河尻氏:私もそれは共感します。実は流山は出産祝い金も出していないですし、流山で家を買ったら補助などもしていないんですね。

 転入促進目的でそういうのを新しく始める自治体もありますけど、もともとそのまちに住んでいるシビックプライドを持った方々にはマイナスではないかと思うんです。ずっと住んできた好きなまちなのに、新しくきた人を優先するなんて、と。そうやって、まちの魅力ではなくお金で釣ると、その後にシビックプライドを醸成するのに手間がかかるはずなんです。

隣のまちの人口が減って喜ぶのはナンセンス

河尻氏:いつも感じるのは、自治体職員は行政区でモノを見ちゃうんですけど、市民感覚ではそうではないですよね。流山おおたかの駅の隣の柏の葉キャンパス駅に住む人は、柏市という行政区ではなく、隣に流山おおたかの森ショッピングセンターがあって買い物にいけるし、柏の葉のららポートにもいけるしと、行政区と関係なくまちを見ています。

 だから、隣のまちを単なる競争相手だけとして考え、隣のまちの人口が減って喜ぶというのは全くナンセンスな話です。もし隣の市が減ったら、自分の市も次に減ると思え、ということなんです。

 敵視するのではなく、近くの行政区同士がもっとうまく組めると思うんですよね。既存の近隣連携の仕方だと意図が明確でなく、逆にガチガチになって動けなくなっちゃうことも多い。それを、「こういう人たちに来てほしいのは共通だから、この部分は一緒にやりましょう」と具体性を持って手を組むと良いですよね。

 そうすれば、流山市にないものは無理して流山市に作らなくていい。図書館がないまちがあって、隣の市に行ってもらうとかでもいいじゃないですか。

※本インタビューは全7話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

他のインタビュー記事を読む

ネイティブアド



頁トップへ