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【元大東市 入江智子 #1】市が全額出資した企業が 市営住宅の建替えを主導

【入江 智子(いりえ ともこ) 経歴】
大東公民連携まちづくり事業株式会社取締役・まちづくり事業部長。1999年大阪府大東市役所入庁。学校や市営住宅などの営繕業務に従事、2017年より現職。二級建築士。

-近年、行政が行う業務に民間企業がさまざまなかたちで携わるケースが増えてきた。一方、地方自治体が所有する様々な公共施設の老朽化が進む中、大阪府大東市が自ら全額出資し、大東公民連携まちづくり事業株式会社を2016年10月に設立した。地方自治体が直接出資し、市営住宅の建替えに関わる民間企業を設立するケースは珍しい。元大東市職員で現在は同社の取締役を務める入江智子氏にその企業活動や市職員時代からの変化などを伺った。

加藤:大東公民連携まちづくり事業株式会社について教えて頂けますか。

入江氏:2016年10月に設立された、大東市が大株主の民間企業です。市の総合戦略には「市民や民間を主役にする」と書いてありますが、大東公民連携まちづくり事業株式会社(以下まちづくり会社)には、そのエンジン役として、公民連携のお手本になるような事業を行うことが求められています。社長は市長が名を連ねていますが、市長を除いて4人が働いていて、そのうちパートを含む3人が常勤です。

加藤:具体的な事業を教えて下さい。

入江氏:「北条まちづくりプロジェクト」「深野北小学校跡地活用プロジェクト」「住道駅周辺活性化プロジェクト」「健康スクール事業」という4つの事業があります。

加藤:事業の中での優先順位はあるのでしょうか。

入江氏:『北条まちづくりプロジェクト』は絶対です。築50年近い市営住宅の建て替えを公民連携の手法を取り入れ、民間主導で建設を行う全国初のプロジェクトです。分かりやすく言うと、市の持っている土地を借りて、そこに民間会社として建物を建築し、賃貸料などで返済していく事業スキームです。

大東市_市営住宅

既存の市営住宅

 2020年4月に建物が建つことが決まっていますが、市はもともと建っている市営住宅の入居者さんに仮転居して頂き、今年度中に建物を壊さなければいけない。並行してうちは銀行の融資を受けながら設計図を描き、来年度建設をして、今度は入居者に戻ってきてもらう必要がある。

 開発に際しては子会社を作っていて、そこが銀行からの融資を受けたり、設計事務所や建設会社にお金を払って建物などの資産も保有します。

加藤:この事業の売上が立つのはいつ頃からですか?

入江氏:2020年4月からテナント料が入り、銀行に返済する役割も同時に担うことになります。親会社のまちづくり会社はテナントリーシングをメインに行い、建物ができたあとも子会社から管理や運営の仕事を請け負います。

まちづくり会社が主体的に開発を行うメリット

加藤:この事業スキームだから実現することはありますか?

入江氏:私は大東市に勤めていた時、ずっと市営住宅の担当者だったので、実際に建物の管理をしたり建て替えたりしていました。でも、市が税金を使ってやると、周囲からすごく浮いた建物が建つ。それに、入居者さんと周囲の交流も生まれないし、利便性のある商業施設を持って来ることもできない。

 今回もそうですが、民間に賃貸物件を建ててもらえると、市は資産を保有するのではなく、建物の一部を借り上げるスキームができ、資産を保有する際に生じるリスクを負う必要がありません。また、市が借り上げる部屋と別に、民間賃貸と商業施設が残ります。そうすると、周辺地域の人たちが車に乗って外からも来てくれることもあるだろうし、地域のイメージが変わって、プロジェクトそのものの敷地だけではなく、地域周辺にある土地の価値も上がる。

 もちろん、初めてのプロジェクトなので設計費と建設費を抑えるのが難しいし、テナント料もそこまで高く取れず、金利は高いです。だから、これがうまくいくようにして、次のプロジェクトではどんどん収益性の高いプロジェクトに変えていくことが重要だと思っています。

加藤:既にテナントは決まっているのでしょうか。

入江氏:オガールと同じように、テナントが決まらなかったら設計に入らないというのがプロジェクトの肝なんです。テナントがこの土地で坪単価5,000円だと言ったら、そこから逆算した建物を建てる。それだと絶対取りっぱぐれはないですよね。

 現在レストランやアパレルや雑貨の店、アウトドアショップなどのテナントが決まってきています。建てた後にテナントリーシングをして最後まで埋まらなかったというのが、失敗する再開発ビルのパターンですよね。本当はもうちょっとお金をかけたかった部分もあるんですけど、次のプロジェクトでできたらいいなくらいの気持ちです。

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