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羽田幸広4

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人事異動でも『内発的動機付け』を意識する

本人の意思がなければ大きな職種変更はしない

加藤:御社の人事異動はどういう方針で行うのでしょうか?

羽田氏:先ほども少し述べましたが、弊社は本人の意思がなければ原則的に職種変更を伴う人事異動はしません。同じ営業職で部署が換わるということはあります。

加藤:入社後、部署や職種を変えたい人は異動希望を出す。そうでない人は「現部署、職種のまま」と意向を表明する感じですよね。

羽田氏:そうですね。終身雇用の会社の場合は50歳くらいを目途に、その会社における網羅的なスキルが身についたリーダーに育てていくということを、育成のゴールにしている会社もあると聞きます。うちの場合は、どちらかというと欧米のような感じで、本人が伸ばしていきたいスキルを社内で発揮してもらうことが前提です。

加藤:配置や異動の中で気をつけていることはありますか?

羽田氏:採用と同様、『内発的動機付け』が重要だと考えているので、配置は本人が望むか望まないかを重要視します。また、異動があった場合、その意図を伝えてポジティブに受け取ってもらえるようにしています。

加藤:たとえば将来の経営層に期待している人がいたら、今の職種や本人の希望と乖離があっても経験を積ませるのでしょうか?

羽田氏:突然こちらが何か言い出すということよりも、内発的動機付けに基づく組織づくりという原則は変わりませんので、本人にやる気がある場合はそのような経験を積んでもらいますし、やる気はないが期待する場合は、いろいろと話をしてやる気に火を点ける場合もあります。

異動を繰り返すメリットはない

加藤:地方自治体は大体3年くらいで異動を繰り返して、全く関係のない部署にいくことも多いです。御社がそれを行うメリットはありますか?

羽田氏:弊社にはあまりないですね。
むしろデメリットの方が大きくて、例えば、人事の仕事を2年3年関わっただけでは、身につくスキルに限界もあると思います。しかも、毎回素人が異動で来るとしたら、受け入れる各組織の成果が出しづらい環境にはなりますよね。また、インターネット業界は人材不足のため転職が容易なため、本人が望まない異動を強いると退職してしまうリスクも高まります。

異動経験が多くとも ジェネラリストとして優秀とは限らない

加藤:自治体の人事では「スペシャリスト育成」と「ジェネラリスト育成」という2軸で語られることがあります。今までのスキルセットと違うところに部署異動を繰り返すことは、優秀な「ジェネラリスト」を育成することになると思いますか?

羽田氏:ひと通り異動したことがあるから、ジェネラリストとして優秀なわけではないと思います。ジェネラリスト特有のスキルが必要で、例えば、事業責任者としてビジョンを描けるかとか、専門家たちをうまくマネジメントして仕事を分担できるかとかですよね。各部署の機能をこなせることと、事業を率いるリーダーという意味でのジェネラリストに求められる能力はまた違いますから。

役職や年齢は給与と直接関係しない

加藤:御社の評価制度の特徴はどのようなものでしょうか?

羽田氏:人事評価は年に2回行っていて、基本的には「人格」と「能力」で等級の昇降格を決めています。年齢などに関係なく、この等級でベースの給与額が決まります。また、役職手当はありません。

短期的な「業績」「成果」については、賞与で報いるという考え方をとっています。昇格していく人は目標になる人なので、人格面で優れていないと組織的に安定しない。だから、業績が良くても人格的に優れていない人は昇格させません。

加藤:人格は何で判断しているんですか?

羽田氏:理念への共感、社是「利他主義」やガイドラインの体現、あとは「人として…」みたいなものですね。他人を傷つけるような人や発言が許されてはいけないと思っています。

評価の難しい部署の仕事について

加藤:自治体が人事評価をするときに、「売上という分かりやすい数値がないため評価ができない」という話を聞くことがあります。民間でも売上との関連度合いが低い部署もありますが、御社ではどうされていますか?

羽田氏:民間企業でもバックオフィスに関しては、「100パーセントやることが当たり前」という感覚があり難しい面もあります。実際の運用では、重要なタスクを期日通り出来たかや、クオリティに対する評価をできうる限り定量化します。もちろん、通常は事業部側に比べると飛び抜けて高い評価が付くことは少ないと思いますが、逆にいうと、極端に低い成果も付きづらいです。

ただし、どんな仕事でも違いを出せる余地はあると思っています。例えば、全職種共通でできることとしては業務プロセスの改善だとか、総務であればオフィス移転の際に予算配分を工夫して期待値を大きく上回るオフィスをつくった場合などがそれにあたります。

背伸びしないとできない仕事をしてもらう

加藤:最後の質問です。育成については何をされていますか?

羽田氏:結局はどういう実務経験をするかだと思っているので、できることを繰り返すのではなく、できない経験をしてもらうというのは大事ですよね。社内で経営陣を目指してもらうための選抜研修なんかもやっていますが、その中で、営業部門などにいる社員に、オフィス移転のプロジェクトリーダーをやってもらったりもしています。

加藤:著書にも書いてありましたね。研修を沢山やった時期もあったけど、結局、実務としてやってもらったほうが伸びると。

羽田氏:たとえば「3C」などのフレームワークだけ覚える研修を受けても眠くなりますよね(笑)、そうではなく、「3Cというフレームワークも使って、自分が今所属する部署の来期の戦略を作る」という実務に紐づいているから身になる。だから、基本は配置で育てるイメージ。今より少し背伸びしないとできない仕事をしてもらいます。

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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