インタビュー

何が日本一働きたい会社を作るのか

羽田幸広2

従業員のモチベーション測定は組織の健康診断

加藤:御社はモチベーションの高い企業を表彰する「ベストモチベーションカンパニーアワード」で全参加企業中1位となりました。これはいつ頃から行っていますか?

羽田氏:2003年からです。

加藤:何を目的として従業員の満足度調査を行っていますか?

羽田氏:組織の健康診断です。ビジョンを実現するためには、社員がやる気に満ちていて、社員と会社の信頼関係が構築できていることが重要だと考えています。また、この調査を実施している会社の分析によると、社員満足度が高いと利益の伸長率が高いことがわかったそうです。

内発的動機を重要視

加藤:御社が従業員満足度調査で一位になった理由はどこにあると思いますか?

羽田氏:まず大きいのは採用です。我々は「自分はこんなことがやりたい、こうなりたい」という内発的な動機付けが強い人材を採用します。彼らに自分のやりたいことをやってもらえば、自分がやりたいことなので、勝手に勉強して成長もするし成果も出す。外発的モチベーションにしか反応しない人だと、言われたことしかやりません。

 ただ、彼らにやりたいことをやってもらうためには、彼らのやりたいことと会社のビジョンのベクトルが同じ方向を向いていることが重要です。ですので、会社のビジョンへのフィットが大前提になります。
 そのうえで、入社後に挑戦できる環境を用意する事。これは、新しいことができることも大事ですが、できる限り本人の気持ちに沿わないような人事異動をしないということも重要だと思っています。当社では、職種の変更を伴う人事異動は原則行いません。それによって、自分のやりたいことに集中できるというのは本人のやる気を高める要因として大きいと思います。具体的な制度としては、評価面談の際に長期的なキャリアを聞いて、それをベースに異動希望を申請できる「キャリア選択制度」などがあります。
 他には、新規事業プランを募集して、そのプランの評価の高い場合にはその社員に子会社の社長になってもらっています。

 新卒採用の説明会に参加してくれた学生が入社できる確率は0.5%~1%です。みんなとても活躍してくれていて、現在では執行役員が1名、グループ会社の社長が5名にまで増えました。他にも様々な仕組みがありますが、「挑戦できない」という言い訳ができないような制度と風土を目指しています。

採用を変えるべき

加藤:自治体の人事業務を自身が行うとしたら、どういうことをしたいですか?

羽田氏:自治体の人事の状況や制約について詳しいわけではありませんが、分かりやすく変えるとすれば、『採用を変えればいい』のではと思います。

個人のモチベーションを下げる理由は大きく二つ

加藤:著書の中に「個人の能力発揮を阻害する要因を徹底的に排除する」とありました。これはどういうことですか?

羽田氏:個人の能力発揮を阻害する要因の一つは、自分が意義を感じない仕事をすること。もう一つは発言や提案、意見ができないなど、力を発揮できない空気があること。これらが能力発揮を阻害する大きな要因になると思っています。

加藤:それをどうやって防ぐのでしょうか?

羽田氏:前者については先ほど述べましたが、後者については、前提として弊社の代表が社員の提案やチャレンジを心から喜ぶ性格なので、自然とそういう風土になっていると思います。メンバーはトップの言動を見てそれに影響されますから、組織のトップの振る舞いが重要です。「心理的安全性」と言いますが、発言をして間違えても無知だと思われないとか、反対意見を述べても評価が下がらないなど、社員が積極的に活動できる空気をつくることが重要です。

 また、従業員モチベーション調査で結果の悪い部署社員が能力を発揮できていない可能性があります。ですから、そういう部署に対しては役員や人事が支援に入り、改善をしてもらいます。

 発言できる空気を醸成する上で、「チームビルディング」という各部署でバーベキューやサバイバルゲームなどを行うための予算をとっており、社員同士が「仲良くなる」活動を推奨しています。

加藤:社員のモチベーションに大きく関わるのが上司の存在だと思います。能力発揮を阻害している上司に共通するポイントはどこにありますか?

羽田氏:「伝え方が下手」「自分の意見を押し付ける」「人の話を聞かない」「怖い」とか、割と一般的な話です。まさに部下が心理的安全を感じられない状況をつくって、「これを言ったら無能だと思われるんじゃないか」「評価が下がるんじゃないか」と思わせてしまっているケースです。

相談をしやすい人事部

加藤:部下側の不満はどう解消していくのですか?

羽田氏:モチベーション調査が一番定期的で網羅的な仕組みですが、人事に直接相談が来ることもあります。その場合、本人の話を聞いて、次に上司に話を聞いて調整していきます。

加藤:どのくらいの数を対応していますか?

羽田氏:週に数件の相談は受けますよ。それに一つひとつ丁寧に対応していきます。

地味に上司と部下の関係を調整

加藤:相談を受けたとき、上司側にはどのように伝えるのでしょうか?

羽田氏:「部下がこう言っているけど、何か身に覚えあります?」という感じで少し話してみて、上司に悪いところがあった場合には、「一回空気が悪くなると思いますけど、僕も同席してメンバーと●●さん(上司)が話し合う場をつくります。ご自身に課題があったのであれば、その場で『反省している、今後こうやっていく』と伝えてあげて下さい」などと、話していきます。上司側の納得感がないとダメなので、事前に上司の気持ちを確認したうえで、部下にどのように伝えるべきかを一緒に考えていきます。

 一方で、部下側にも「上司が反省して行動を変えようと考えているから、複雑な気持ちかもしれないけどぜひ彼(女)を信じて前向きにとらえてあげて」などと、地味に調整をします(笑)。

加藤:地味ですが、大事ですよね。

羽田氏:大事ですね。こういう組織課題を放置して一年経つとかなりの数になります。そんな数の地雷が組織に埋まっていると考えると怖いです。

※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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