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【中野区 酒井直人氏:第2話】改善を頑張れば税金の無駄使いがなくなる

手を上げて文書管理システムを導入する係へ異動

加藤:文書管理システムを改善された際は、どの部署に属されていたんですか?

酒井氏:総務課の文書担当です。それまでは法規担当として条例規則の制定や訴訟を担当していたんですよ。ただ、文書管理システムを入れる動きがあると知り、手をあげて隣の担当する係に行かせてもらいました。

加藤:新しいタスクだからこそ、自由にやらせてもらえたのでしょうか。

酒井氏:そうです。好んでやる人はいなかったですからね(笑)。

理解のある上司の存在

加藤:役職としてはどういう立場だったのでしょうか。

酒井氏:ヒラでした。ただ、課長から「責任は私がとるから、なんでも好きにやっていいから」と言っていただけました。

加藤:組織が成果を上げるうえでは、個々人がそれぞれ活躍する必要があると思います。そのためには理解ある上司の方の存在は貴重ですよね。

改善を早く進めなければいけないと思った

加藤:その後は何を改善されましたか?

酒井氏:財務会計システムの導入に関わりました。当時、財務会計システムが入る前は紙の伝票を使っていたんですね。「鉛筆1本買いました。100円」、「消しゴム買いました。50円」と紙の帳簿をつけていたんですよ。

 それが大変で、年間で600枚とかの伝票になるんですが、最初のほうで予算の差引の計算を間違えると600枚全部修正が必要になったりする。アホみたいでしょ。それを直さないと監査から指摘受けてしまう世界だったんですよ。

 例えばそれを電子システムで行うと、間違えたところを直せば全部自動で計算してくれる。また、一度作成した支出のデータは簡単にコピーできるので、毎月の支払いがとても楽になります。すごく効率化出来るんですよね。それを考えたら、財務会計システムの導入を早くやらなきゃと思ったんです。

再び 手を上げて異動

酒井氏:実は、もともと区の計画では財務会計システムを文書管理システムより先に入れることになっていたんですよ。ただ、先に文書管理が終わってしまった。

加藤:酒井さんがガツガツ進めたからですよね。

酒井氏:いえいえ。ただ、文書管理システムの導入はとても苦労して進めたのに、財務会計システムが全然検討を進めていなかったことにちょっと頭にきて、また手を上げて異動しました。情報システム課という部署に異動しましたが、うるさいヤツが来ると思われていたと思います(笑)。

加藤:そもそも財務会計システムはなぜ進んでいなかったのでしょうか?

酒井氏:具体的に開発業者が決まっていたんですが、その業者とのやり取りがあまり出来ていなかったんです。財務会計システムは関連部署が複数にまたがりますから、取りまとめをして進める部署がなかったことが一因だと思います。いざ財務会計システムを進めるとなって、専属の部署が出来て、そこに私が異動したというわけです。
 システム移行は既に2年遅れていた。だから、私1人が急に動かしたというわけではなくて、組織としてもやらなければいけないとは思っていたはずです。

お前は俺たちの仕事を分かってない

加藤:庁内全体で業務改善を進めようとした際、何を大事にしていますか?

酒井氏:所管は今のやり方が一番だと思いがちなので、粘り強く説得するのがとにかく大事です。例えば、所管部署にとって多少手間が増えても、組織全体では圧倒的にメリットがあるという場合もあります。財務会計システムを入れた時は、「お前は俺たちの仕事を分かってないから、1日こっちに来て仕事してみろ」と言われて、その部署の仕事をやらされたこともありました(笑)。

加藤:(笑)。

酒井氏:初日は私が行って、2日目は係長がいく予定でしたが、1日目に私がしおらしく一生懸命やったんで「明日は係長来なくていいよ」と言われました(笑)。

改善を頑張れば税金の無駄使いがなくなる

加藤:3年目くらいから役所の仕事が面白いと感じたとお聞きしました。なぜ、そう思ったのですか?

酒井氏:システムを入れたり、ルールを変えたりすることによって劇的に業務が改善されるというところに、純粋に面白さとやりがいを感じましたね。だって、自分が頑張れば年間で何百万、何千万という税金の無駄使いが無くなる。文書管理システムで3000人の職員が、1日1時間仕事を効率化出来たら、毎日3000時間の改善になるじゃないですか。

 財務会計システムについては、紙で作業していた時に1日かかっていた例月の支払いが、大体30分ぐらいで終わるようになりました。ざっくりですが、大体500人くらいの職員がシステムを使っていた場合、毎月500人日分、年間6000人日分の削減だから、人件費を考慮すると年間で約2億2500万円浮くことになりますよね。

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