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【ふるさと納税 最前線】留学支援という新しい選択肢

船橋力

文部科学省官民協働海外留学創出プロジェクトディレクター船橋力氏

大手ふるさと納税サイトに 留学支援特設サイトがオープン

 2017年9月19日、株式会社トラストバンクの運営するふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」内に、海外留学支援の特設サイトがオープンした。同サイトでは、自治体がふるさと納税の仕組みを利用して留学資金の寄附を募ることができ、集まったお金は地域の学生の留学資金に充てられる。ふるさと納税サイトを活用した留学支援は、全国で初の取り組みである。翌20日には株式会社さとふるが運営する「さとふる」に同旨の特設サイトがオープン。ふるさと納税2大サイトが相次いで留学支援のページを特設したことで、世間からの注目がどの程度集まるのか、ふるさと納税の新しい使い道として留学支援が今後定着していくのか、その動向を追っていきたい。

ふるさと納税で留学支援を行う背景

 実際に両サイトの特設ページへ入ると、まず目につくのが「トビタテ!留学JAPAN」のロゴだ。「トビタテ!留学JAPAN」は文部科学省が推進する国家プロジェクトで、2020年までに留学生を倍増することを目指している。文部科学省のデータによると、日本人全体の海外留学数は2004年をピークに下降、横ばいを続けており、経済成長を続ける近隣諸外国と比較すると危機的な内向き傾向である。そこで国をあげて支援に乗り出した形だ。また、210社もの民間企業が本プロジェクトを支援していることが従来の留学支援とは大きく異なる点であり、企業は金銭的な支援のみならず、学生の選考、留学計画のアドバイスなどにも協力しているというから驚きだ。
 両サイト運営会社もこのプロジェクトの支援企業であり、特設サイトをオープンすることで留学機運の醸成や、留学の地域差の解消に一役買っている形だ。

 本件について、文部科学省官民協働海外留学創出プロジェクトディレクター船橋力(ふなばしちから)氏に話を伺ったところ、今回の取り組みの背景となる興味深いデータを紹介いただいた。船橋氏曰く、日本の学生の海外留学は特に「高校生」と「地方」に課題があるという。具体的なデータを見てみると、まず高校生に関しては約40%が留学をしたいと思っているのに、現状では1.1%しか留学をしていない。また、地方という観点では、例えば北海道・東北の高校生留学生割合は0.6%、九州・沖縄は0.7%と地方からの留学者は都市部よりも更に少なく100人に1人もいないという状況だ。そして、地方から留学が増えない代表的な要因に「経済力」が挙げられる。

 そこで、ふるさと納税で全国から寄附を集めることで、経済力に関係なく留学機会を提供できると考え、ふるさと納税サイトとの連携に至った。今後、本件に賛同する納税者や参加する自治体が増えることで日本の各地域で留学機会を増加したい考えだ。

 なお、「ふるさとチョイス」では寄附金額がリアルタイムで確認できる仕組みとなっており、サイトオープンから2週間で約150万円の寄附が集まっている(※10月2日時点)。まずは上々の集まり具合と言えるのではないだろうか。

自治体の参加状況

 2017年10月2日現在、参加自治体は長野県白馬村、長崎県平戸市、沖縄県宜野湾市、沖縄県北谷町の4自治体となっている(2サイト合計)。支援対象はいずれも、高校生や中学生といったケースが多く、若いうちから世界を体験してきてほしいという地域の想いが感じ取れる。

 また、納税者の視点で考えると、自分の地元の学生のためであれば積極的に寄附したい、といった方も多いはずだ。正直なところ、私個人としては返礼品競争などを誘発する既存のふるさと納税の仕組みには懐疑的なところもある。
 しかしながら、今回の取り組みは若者への投資を促すという、新しい挑戦でもあると感じた。11月以降のふるさと納税のピークにかけて寄附や参加自治体がどのように増えていくのか、少し長い目で見守っていきたい。(記=加藤年紀)

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