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テクノロジーは地域の良さを可視化できる

地方創生ベンチャーサミット 全体セッション3

(PR)=HOLG.jpが本になりました「なぜ、彼らは『お役所仕事』を変えられたのか?」

本記事の内容は「地方創生ベンチャーサミット2019 ローカルテック(地域×テクノロジー)の可能性 supported by KDDI(2019年2月3日開催)」の全体セッションの内容を文字起こししたものです。一部、言い回しなどを編集しております。[第3話目/全5話]

〇スピーカー
・井上 高志  株式会社LIFULL 代表取締役社長
・小林 史明  衆議院議員
・髙島 宗一郎 福岡市長
〇モデレーター
・吉田 雄人 (一社)熱意ある地方創生ベンチャー連合 事務局長
       Glocal Government Relationz株式会社 代表取締役

吉田氏 : ちょっと高島さん、小林さんに聞きたいんですけど、課題感先にありきっていう話し合いがあったと思うんですが、それを見つけられる感覚とかってどういうふうに身に付けられましたか?

 空き家の問題で相続が課題です。特に仏壇どこにやるかが課題ですなんていうのは、普通の生活してたらあんまり分からない課題感だと思うんですね。でも小林さんは空き家の問題といえば、相続だよね、仏壇だよねって話をされる。その課題発見能力ってどうやって身に付けるんですかね?

小林氏 : もとはサラリーマン時代に法人営業やってたら、やっぱり課題解決ですよね、営業の仕事って。それを社会に適用したら同じことが起こるってことなんです。なので、政治家ってすごい特別な存在だって思われるんですけど、私は社会起業家の一つだと思うんですね。いきなり10人ぐらいの事務所構えて、あなたの地域の課題解決しますから、お金と信頼をファンディングしてくださいって言って、政治家になるわけです。だからそんなに特別なことじゃない。

 ただ問題は、同じように地道にやれるかです。現場を回って、本当に懐まで入ってって、「あなたの課題なんですか」って言って、ポロっと言ってもらえる信頼関係を築けるかどうか。そこまで踏み込む覚悟をやりきっていくっていうのが一つと、もう一つは目の前に見えた課題をちゃんと抽象化して、目の前で言ってる問題意識の根本はなんなんだって。別の地域と照らし合わせて、実は共通するのこれなんじゃないか。それに対してどんなソリューションを提供できるかって考えていくのが政策になってくる。こういう流れだなと。

吉田氏 : 高島さん、課題をちゃんと見極めておかないと、ベンチャーって有象無象あるっていうのが一般の感覚だから、「ここと組みたい」と言える能力っていうのはどうやって身に付けましたか?

高島氏 : いきなりドンではなくて、とにかく小さく始めて、大きく育てるっていう感じかな。だから、うちもいろんな窓口をつくって、こういうこと一緒にやってみたいっていうところに、いったんチャレンジできる場っていうのをできるだけ提供してあげるわけですね。そして一緒にやっていく中で、少しずつ成功事例っていうのを生み出していきながら、信頼感を高めていくっていう。小さく生んで大きく育てるっていうやり方かな。

吉田氏 : 井上さんにもお伺いしたいんですが、こういう二人、行政と政治のプロ、そして、これからっていう方々にどんな連携ポイントを期待したいなっていうふうに思ってますか?

井上氏 : 今おっしゃったのがまさにその通りで、基本的に僕ら、技術も事業化するところもマネタイズも、そんなの自分たちがやりますよっていうスタンスで、それが健全だと思うんですよね。ただし、おっしゃっていただいた、場を提供してくれるとか、つないでくれるっていうのはものすごい加速します。

 特に場というのも二つの意味があって、リアルの実験場という場、ということと、そこに規制がなるべくない状態のものが自由に絵を描けるので、「白いキャンバスいただけたら、勝手に描きますから」ってこんな感じなんですよね。

 例えば義務教育とか受けなきゃいけないとかになると、教育論にもつながってきますけど(笑)。別にいいじゃんっていうふうに思うんです。海外出るとそういう学年のカリキュラムも全部ぐちゃぐちゃみたいな、ピースフルスクールとか
グリーンスクールみたいな事例だってありますし。

 それから、「ドローンを飛ばしていいですか?」って言うと「140メートルまでならね」「それだと実験できないこといっぱいあるんだよね」とか、あと自動運転カーもトヨタさんと組んでやりたいんだけど、それにはこうしてああしてこうしてああして、その膨大なルールを超えていくのにはものすごいエネルギーかかるので、白いキャンバスあれば傾きます。

高島氏 : まとめは小林さんにうまくまとめていただくんで、私は散らかしますけど、その白いキャンバスに一から組み立てていくと現時点での最適化された国なり町ができると思うんですけど、私もうやめたんですよね、そのプロセスをとろうとするのを。

 だって日本はもう……。悪い意味じゃないですよ。変わらないだろうなと。そんな根本からひっくり返すようなことは、決めていくプロセスって本当に大変なので。他のやりとり見てても、こうしたいと思っても、絶対それに対する「反対」っていう形で、本当にものを変えていくっていうのはすごい大変っていうことが分かったから。

 見てわかるじゃないですか。だって、震災が起きた後だってそんなに変わってないじゃないですか日本て。あれだけのインパクトがあったのに、日本ってそう変わらないっていうのを、私はもう……。悪い意味じゃないですよ。これはアプローチの仕方としてゼロからやろうではなくて、これもできる権限の範囲内で、具体的な事例をとにかくやってみせるっていうところをどんどんやった方が早いかなっていう。

吉田氏 : なるほど。でも多分、言ってることあんま変わってなくて、特区申請とかをいち早く福岡市が出して、外国人の就労を認めたと。それが今回の外国人労働者の受け入れとかにつながってるっていうことを考えると、高島さんのアプローチ自体が否定されてるわけじゃないっていうふうに思うんです。

小林氏 : そうですね。なので、まとめをっていうことなんで整理をすると、国会でも私がよく整理をしてるです。

吉田氏 : 整理担当大臣(笑)。

小林氏 : 整理担当です(笑)。そういう意味では、絶対みなさんにここで、もう一回覚えてほしいのは、がんばってる創業者、経営者ほど、白いキャンバス論になりますね。それはもう正しいんですよ。確かにそっちの方が早いし。

井上氏 : そういうさがですからね。

小林氏 : そう、さがなんですよ。これは創業者という人種なんで、いいんです。でも、民間で一緒にやろうと思ったら、やっぱり政治の意思決定プロセス。特に民主国家で生きてるっていうことは、どうしても出てくるので。特区っていうのはどういうことかっていうと、さっきの白いキャンバス論は無理だっていうのは、まっさらなワイングラスに白ワイン注がしてくれって話なんですけど、もうグラスには注がれてるわけです赤ワインが。

 それに白ワイン、ドゥワーっと注いでみてだんだんロゼになって、それが真っ白になるまで注ぎ続けるっていうのが普通のアプローチですね。特区っていうのは、その赤ワインのグラスの上にちっちゃい器を浮かばして、「はい、ここは真っ白」っていうやり方なんです。その真っ白なものを見て、「お、いいじゃん。俺たちもやりたいよね」って言うと、みんなの意識が変わって社会全体で、「じゃあそのグラス使おうぜ」ってなる。

 同じ景色を早く見せる。これは高島さんのアプローチだし、これは自治体だからできること。国政の仕事は、そういうどっかにあるいいもので、絶対全国でやった方がいいものっていうのを早く標準化していくっていうのが大事な仕事。それで、レイヤーをどんどん、標準化のレベルを上げていけば社会全体がテクノロジーをどんどん実装して、フェアな社会になってくる。これを私たちが、おそらく一緒に目指しているんだと思います。

吉田氏 : いいですね。小林さんの話もすごく聞きたいんですけど、地方創生のあるべき姿論ていうのは、今までの話の中にももちろん、これまでの経緯の中にも見えてる方、たくさんいるとは思うんですが、ゴールイメージってどんなふうに、政権が描いてるかじゃなくてもいいですけど、小林さん自身が地方創生のゴールイメージってどんなふうに掲げてるか、ご意見聞かせていただいてもいいですか?

小林氏 : どこ住んでもめっちゃ楽しいっていう(笑)。やっぱり住んで楽しくなかったら住んでらんないですね。特に地域に足りないのってエンタメっていうか楽しさだと思うんですよ。そういう意味ではさっきの井上さんがしゃべった、「ワカサギ釣りに行こうぜ」「行こう行こう」みたいなのって、やっぱ楽しいじゃないですか。

 でもそれって、今まで可視化されてこなかったんですよね。ローカルルールがあって、ローカルコンテンツがあって、ローカルの人しか知らない。でもそれがテクノロジーによって全部見える化されて、簡単にアクセスできて、キャッシュレスで決済できる。これが私たちやりたいですよね。やっぱり、その姿だと思います。

吉田氏 : それってさっきの高島さんが一番最初に火吹いた、「スーパーシティつっても、地域のみなさん、なんもわかんないよ」と。だけどちゃんと通訳してあげれば、地域のみなさんに必要なものだと分かってもらえるし、住んでて楽しいなと。だから福岡に人がどんどん集まって。今回も総務省の発表で外国人が8000人以上、1年間で福岡に移り住んでいる。そういうまちを作れているのかなと思うんですけどどうですか?

高島氏 : 福岡は別に万能じゃなくて、それよりも宮崎の方がいいとこもあるし、秋田の方がいいとこもあるし。エッジを立てていくっていう。それぞれのいいところのエッジをとがらしていったり、タグ付けして。だってワカサギ釣りが苦手な人は、別に寒いとこ行かなくていいし、自分の生き方としてどこを優先させていくかっていうときに、「私が行きたいのに一番フィットする町はここだ」ってみんな住みたいとこに住んで、働きたいように働く。それがゴールな気がしていて、別に人口を平準化するという話ではないし。

吉田氏 : そういう意味では、東京一極集中の理由っていうのは東京に魅力があってエンターテイメントもたくさんあって、働く場所もあってっていう時代から変わってきてるっていう感覚ですかね? 民間としては。

井上氏 : 僕はテクノロジーで、場所とか時間の概念が超越できるようになったので。そうすると20世紀のときには、やっぱり集合した方がそこに社会インフラがある。高度な教育とか医療がある。でもそれが今「遠隔でも受けられるようになるよ。教育も別にこのラインで全然大丈夫だよ」ていうふうになると、住みたいとこに住めるようになるっていう。このセッションのテーマ、テクノロジーがテーマだと思うので少しテクノロジーの話を(笑)。

吉田氏:忘れてました(笑)。

小林氏 : どんどんそうなっていくわけですね。そういう意味では来年から。今年から実験的に始まりますが、5Gっていう新しいテクノロジーのインフラが整えば、1000分の1秒しか誤差が出ない遅延なんですよ。東京都心で私、ブルドーザー動かさせてもらったんですけど、東京都心でブルドーザーをグッと押したら、横須賀の現場でグググっと動くんですよ。しかも4Kカメラの映像でその現場が見えるんで、全く工事現場に行く必要ないなっていう感じ。これ遠隔医療にも必ず使えるし、さっきのワークスタイルであればテレワークでも使えるっていうことになってくるので、テクノロジーは確実にチャンスを増やしていく。

 問題はさっきの規制とか、ルールどうしていくかっていうことなんですけど、もう一個今年注目していただきたいテーマが海ですね。去年、漁業改革を70年ぶりにやったんです。6年、私がかかってやったんですけども、実は、海辺に養殖業で入ろうとすると企業が参入できなかったんですよ。これをできるようにします。しかも相場も分かってなかったんですね。

 だから不動産業界だったらあり得ないですよ。空き家があるのに空き家の値段の相場も分からないし、どこが空き家かも分かんないし、入ろうと思うとよく分かんない人がショバ代くれとか、いろいろ言っちゃうと。これ整理するんですね。そうすると、めちゃくちゃ一次産業ってテクノロジー使われてない分野なので、ものすごく伸びるし、世界でも成長産業は水産業ですね。しかも浜浜に楽しい文化があって、さっきのLiving Anywhereとか、体験とか、観光とかと合わせてやると、ものすごいチャンスが広がっている。これは国がちゃんとルールを決めて、標準的に整備をすれば、地方にチャンスが生まれる。そういう事例になると思います。

井上氏 : それいつから施行されるんですか?

小林氏 : 今年で一気に整備をして、来年、再来年から随時、出来上がった段階から始めますので、良かったらLIFULLさんも。

井上氏 : 手、挙げますよそりゃ。

小林氏 : まず、漁場をウェブ上に整理してほしいですね。ここ空き家っていう。

高島氏 : 空いてる海岸線が検索できるみたいな。

小林氏 : そうそう。「ここの漁業権空いてます。いくらです」っていう。これ来ます、絶対に。

高島氏 : なかなか手を付けるの難しいですもんね。海の家問題じゃないけれども、誰の権利があるのかって結構ややこしいですからね。でも、そういう意味では海ってなかなか海岸線を含めて、入りにくいといえば入りにくい場所なんですが、例えば今日、アソビューさんが「福岡市って、来て何して遊ぶ?」っていう中で、マリーンレジャーってあんまりイメージないと思うんですね。福岡に来たらだいたい、おいしいもの食べるか、何かするか、夜のイメージとかいろいろあるんですが、海のイメージ。

 だって、実際我々も、博多湾でいろんなアクティビティーできるけれども、そんなのどう外に発信するかっていうようなこと、全然できてなかったんです。そういうものをベンチャーであるアソビューさんが入ってきて、掘り起こして、それをうまく発信をするっていうことで「福岡に来たときに、こんな遊び方もあるんだ。こんな魅力で楽しめるんだ」っていうふうに、これまで自分たちではうまく価値にできなかったものをお金に変えていく。価値に変えていくっていうようなことは。そういう発見する目をベンチャーのお金で発掘してもらうんだっていうのは助かりましたね。

小林氏 : だから、テクノロジーで地方で期待できることっていうのをいくつか整理すると、1つはやっぱり見える化ですね。ローカルにあるものをウェブ上にバッと整理してあげることでブワッと見えるようになる。次は、つなぐこと。マッチングができるっていうことですね。3つ目は決済も含めて、アクセスを楽にするっていう、この3つができると、本当に地域としてはものすごく助かって。さっきの宝物がいっぱいっていうのは、宝物はみんな目の前までグッと浮き上がってくるんですね。あとは取り放題です、と。

【「地方創生ベンチャーサミット2019 ローカルテック(地域×テクノロジー)の可能性 supported by KDDI(2019年2月3日開催)」の全体セッションの内容はこちら】
第1話 スマートシティ構想は分かりやすく市民に伝えなければならない
第2話 東京の真ん中でローカルベンチャーを語っても分からない
第3話 テクノロジーは地域の良さを可視化できる
第4話 やる気のある自治体の見える化が重要
第5話 スマートシティは人を幸せにするのか

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