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地方創生ベンチャーサミット 全体セッション2

HOLG編集室 事例を知る 情報システム

東京の真ん中でローカルベンチャーを語っても分からない

本記事の内容は「地方創生ベンチャーサミット2019 ローカルテック(地域×テクノロジー)の可能性 supported by KDDI(2019年2月3日開催)」の全体セッションの内容を文字起こししたものです。一部、言い回しなどを編集しております。[第2話目/全5話]

〇スピーカー
・井上 高志  株式会社LIFULL 代表取締役社長
・小林 史明  衆議院議員
・髙島 宗一郎 福岡市長
〇モデレーター
・吉田 雄人 (一社)熱意ある地方創生ベンチャー連合 事務局長
       Glocal Government Relationz株式会社 代表取締役

吉田氏 : ではまず、この会場を貸していただいます井上さんから、LIFULLに限らずLiving Anywhereと、いろんな取り組みされてらっしゃると思うんですが、民間の立場から見た地方創生の取り組み。事例も含めてで結構ですんで、ご紹介いただきたいと思います。

井上氏 : これスライド出ますか? ありがとうございます。規模感を見てください。だいたい時価総額1000億ぐらいで1300人ぐらいで、グループ会社15、サービス展開が63カ国。グローバルまで展開してます。

 僕いろいろやってるんですけど、この会社の社長、創業経営者以外に新経連の理事やっていて、これは規制改革したいからです。Next Wisdom Foundation。これ100年後の社会デザインってどういうことしたらいいのかっていうのを研究しています。21世紀学び研究所、これ教育改革です。Living Anywhere、後でお話しします。そして、この熱意ある地方創生ベンチャーの顧問という感じになっておりますので、僕のキーワードは日本の不動産業界とかを変革する。

 それからそれをグローバルに展開する。それから地方創生をやっていく。その他新規事業を次々生み出す。こんなことに力を注いでいます。

 社是、利他主義。世のため人のためです。ここに書いてある理念の所に、より多くの人々が心からの安心と喜び。これすなわち、幸せってことを言ってるんですけど、みんなが幸せになる社会の仕組みどうやってつくろうかっていうこと、社会課題を解決している。こんな会社です。

 公益資本主義というのを提唱してます。真ん中に利他主義というのがあって、周りには社中といわれるいろんな関係者がいます。一般のコンシューマーもいればクライアントもいれば一緒に働いてくれている従業員。それから株主とか取引先、パートナーとか地域社会とか地球環境とか。こういった人たちに良かれと思ってやっていく。だから、株主のためだけに働く経営なんてもう古いよねっていうことで、ROC経営と言ってます。リターン・オン・カンパニーです。カンパニーというのは、元々会社という語源は一緒にパンを食べる人カンパニーっていうことなんで、関係者にとっていい社会を作っていきましょうっていうのをやってます。

 地方創生の専門部署を作って、「未来は、空き家にあった。」ということでやっています。僕は横浜出身なので、どちらかというとシティーボーイなんですけれども、(笑)。

吉田氏 : 自分で言っちゃいましたね(笑)。

井上氏 : ありがとうございます、ツッコミ(笑)。最近、地方創生をやってるとますます強く思うのは、地方って宝物だらけだよねっていうのを強く感じます。食べ物も人も水も景色も空気も、いろんなものが大変素晴らしい。人間ってやっぱり自然の中の一部なんだなっていうことをものすごく実感するし、それで東京帰ってきて、通勤ラッシュとかやたら人混みの中にいると、ちょっとげんなりするっていうような感覚を持っています。

 一方で日本の空き家ってどんどん増えていっちゃっている。この前の調査で「820万件余ってますよ」っていうふうに言われているんですが、これ赤い折れ線グラフで空き家率がどんどん上がってくる。当然ですよね。人口が減っているのに、新築はまだまだ造られ続けてるんです。年間80万戸から90万戸。

 このギャップがどんどん開いていくんですね。人が減っていく、物はどんどん生まれていく。最終的に、あと20年ぐらいすると2000万戸ぐらいの空き家がでる。5000万世帯しかいないんですよ、日本は。「そのうち2000万軒余っちゃいます」っていうのにひたすら突っ込み続けてるっていう状態で、「どうする?」っていうのがあります。

 で、「未来は、空き家にあった。」ということで、地方にヒト、モノ、カネ、知恵を回していこうというので、人は人材を育成してマッチングして、協力隊のような形で各地に送り込んでいくと。それから、モノでいうと空き家バンクというのをやっていて、どこにどんな空き家があるのかって市場に出でこない情報が結構いっぱいあるので、これを一生懸命、自治体と一緒になって吸い上げて構築をしてます。

 お金、地方創生ファンドというのもつくりました。あとクラウドファンディングなんかも地方創生のためにやってます。だから、人を育てて送って、物あるから、お金もあるよ、と。それで「住む以外の用途をどうやって開発する?」ていうことをナレッジとして全国各地、成功事例を共有していこうというので、ヒト、モノ、カネ、知恵。これがぐるぐる回ってくようにしようとしてます。その出口の一歩は楽天さんと民泊のプラットフォームを始めています。

 今、空き家バンクを開設している自治体さんっていえばだいたい900ぐらいあるんですけれども、そのうち537の自治体がこのLIFULL HOME'S空き家バンクの方に物件を登録していただいてます。でも推定すると、市場に出ていない物件情報ってだいたい300万件ぐらいあると思ってます。現時点で。

 それに対してここに載ってるのはまだ5000軒ぐらいです。まだまだなんですね。ずっと賃貸にも出されない。売るわけでもない。人が住んでるわけでもない。ただただ放置されている家というのが地方中心にどんどん出てきてます。

 そういう、一般には市場に流通してこない、それから買取再販とかにも対象にならない、ただただ放置されているような市場性のない物件っていうのに、もう一回新たな価値を入れて活用しましょうっていうことをやり始めてます。

 これは岡山県総社市、それから福井県鯖江市の方で。これ両方、8LDKぐらいあるんですけど、家賃いくらぐらいだと思います? 月4万円とか5万円で貸していただけます。実際うちの社員がここに行って、一階は事務所利用で二階は居住スペースとして入り込んでいっています。

 それから地方創生ファンドつくりました。うちが10億円出資して、すでにファンド作ってます。最終的に他社さんからも入れて30から50億ぐらいにしようと思ってますので、案件あればぜひ、お声かけてください。

 民泊にしてるケースなんですけれども、これすごいです。初期投資金額18カ月ぐらいで全て回収しちゃうぐらいの利回りで回ってます。松江の、なんでそんなところでっていう感じなんですが、非常に高利回りになっている、いろんなものも出てきてます。

 Living Anywhereですね。先ほど、スーパーシティ構想のところで、全く人が住んでない山林の中でもいいんじゃないんですかって言っていたのは、オフグリッド社会を作るっていうことをLiving Anywhereでは目指してます。Living Anywhereですから、どこででも生活できるっていう意味で、電気、ガス、水道のインフラがない所でも、それを自活して作り出すことができる技術をテクノロジーで入れます。全て遠隔医療、遠隔教育、遠隔で働くことができる。そんな社会をつくろうという実験を進めてます。

 みんな通勤時間がものすごいストレスで、それからAIが出てくると収入減るよという予測もあります。そうすると支出を減らしていって限界費用ゼロ社会っていうのをどうやってテクノロジーでつくれるか。こんなことをやっています。

 医療、教育、働き方、どんどん変わってきてます。Living Anywhereのテクノロジーでフォーカスしてる、VRとかARとかMix Rとか、いわゆるXRって言われるところですね。それから、移動型で車輪が付いてて、どこでも進める4人家族用の家でシャワーもキッチンも洗濯機も全部付いています。

 それからこれは、ビルドさんというベンチャーなんですけれども、その辺にある森から木を切ってきて簡単に製材して、コンピューターベースでデータ流し込むと自動的にバーっと木材を切り出してくれます。そうするとその場で半径500メートルぐらいのところで木を取ってきて製材して、椅子を作ったり、テーブル作ったり、そのうち家も造れるようにしちゃおうと。

吉田氏 : 3Dプリンターみたいなね。

井上氏 : そうですね。木工用3Dプリンターみたいな感じですね。これを水がぐるぐる循環して使えるシャワーを作って。これもベンチャーですね。通常1600リットル必要な4人家族のシャワーの水。40リットルで1カ月もつ。こんなやつですね。あとはインスタントハウスです。家として住めるんですけれども、硬い発泡ウレタンでできてます。これ1日で造れます。3LDKサイズが。

吉田氏 : 災害時にも使えますよね。

井上氏 : そうなんですよね。こういう地方のシェアサテライト。住むこともできます。泊まることもできます。そういった場所をどんどんつくりだしていこう、と。ここは絡む人たちがいろいろいるので、会員企業として、法人もいれば、個人会員もいれば、地元の企業とかビジター、ノマドの人とか、そういった人たちが集まってきて。2日前までここの会津の方に1週間ほど行ってたんですけど、そこでずっと仕事しながらピュッとスキー場行って1時間だけパウダースノーを経験して、楽しんで、またすぐ帰って仕事するとか。「ちょっと、ワカサギの氷結釣りしに行かない?」みたいな声聞こえると、「あ、それいいね。俺も乗る、みたいな感じで、ちょっと行って、ワカサギ釣って、その場で食べて、また帰ってきて仕事する。そんな生活が楽しめます。

 会津磐梯(あいづばんだい)の方に拠点が4月から常設でつくられますので、ぜひ利用してください。それから夏には沖縄の方ができます。5月は静岡の下田ですね。それから南富良野。こっちの北海道の方にもすでにあったりします。こういうのをどんどん作っていって将来的に500カ所とか1000カ所、こういったものバーっと作っていくと、いつでもどこでも、みんなが生活をしたり働いたりできるような、そういったサテライトがたくさんできる、と。廃校って今5000校ぐらいあるんですけど、この5000校の使い道決まってないんで、ただ空いてる状態なんですね。だからそういうものをうまく活用していく。そういう感じです(笑)。

 2回目の巻けが出ていますが、もう終わります、もう終わります。遊休不動産とか公的不動産を活用するよ、と。これこまごまは説明しないんですけど、どういうビジネスモデルかというと、どんなに一生懸命がんばって、どんなに会員が増えても、利潤がずっと出ないっていうモデルにしようとしています。

 我々、民間企業で株式会社で上場してますけど、要は割り勘スタイルです。なので、法人の利用ユーザーとか個人会員が増えれば増えるほど、かかった経費全部ガラス張りで見せるから、それを均等に割り算して割り勘にします。だから、増えても、活性度が上がっても、それは割り勘が減るだけであって利潤が積み上がらない。こういうモデルで、将来的にこんな拠点バンバン増やしていこう。そんなふうに考えてます。こんなところですかね。

吉田氏 : ありがとうございます。みなさん一回拍手をお願いします。今の話をお聞きして、逆に高島市長なんかは、これだけ福岡、人口規模も大変大きい中で、小さいとこだからこそやれる話とかっていうのもあると思うんですけど、感想を聞かせていただいてもよろしいですか。

高島氏 : 地方創生ってだいたいなんなのかっていうところからになっちゃうんですが、ただいずれにしても価値ないところに実価値を見つけていくっていうのはすごく大事なキーワードかなっていうふうに思っています。それから、大胆な発想で、グリッドから外れるっていうような発想の仕方っていうのがすごく新しくて、「今だとそんなことできるの?」とか、いろんな疑問は湧くけれども、それを実践していくって中ですごくヒントが見えてくるっていうことはたくさんあるだろうなっていうふうに思いますね。

吉田氏 :今、井上さんのプレゼンの中では国にこういうことやってほしいとか一切出てこなかったんんですけど、逆に今みたいな話聞いたときに、国としてどんな協力とか連携ができるかなと感じますか?

小林氏 : 「まだ5000軒ぐらいしか空き家ないんだよね」って言っていましたが、残り数百万戸。これ、そのままいくと出てこないんですね。一つは相続が整理されてないからなんですよ。でもどんどん正式に登記しないまま分担していくと、兄弟が世界中にいて、なんだったら南米でまではんこ取りに行かないと、その空き家を整理できないっていうのと、ここは国としてちゃんと整理をしましょうねって思っているのが一つ。

 もう一つは本当に日本人的ですけど、仏壇が残っていて、「これどこに持ってくかね」っていうのがあるんですね。そういう意味ではさっきの話を聞いて、みなさんに思っていただきたいのは、「なんかおもしれえな」っていうことじゃなくて、あの空き家を本当に全部800万戸動かそうと思ったら、「俺らにチャンスあるな」と思っていただきたいということですね。私も地域で空き家バンクの手伝いをしてるんですけど、知らない人が入ってくると嫌がりますね。

高島氏 : 特に市街化調整区域とか島とかに、移住したいっていう人結構いるんですよ。ニーズあるんですよ。ところが島の人が入れてくれないんですよね。「どんどん人が少なくなって困る。なんとかしてくれ」って言うんだけど、じゃあこうして入れましょうかっていうと、ちゃんと審査をして、島に適する人を入れたいっていうね。

小林氏 : 入った後、生活になじめるようにコーディネートする役割が必要だったりするので、そういうのはまさに、今日お集まりのローカルベンチャーのみなさんの一つのビジネスチャンスだろうと思ってますが、それでちょっとだけ感想を言うと、全然関係ないんですけど、昔、磐梯山の裏磐梯猫魔スキー場で3年間、スノーボードのインストラクターを大学時代やっていて。

吉田氏 : 全然関係ない話してきましたね(笑)。その時、金髪ですからね(笑)。ピアス空きまくりですよね。

高島氏 : 相当モテたでしょうね。

小林氏 :いやいや、それはまあ置いといて。

吉田氏:否定しないっていう(笑)。

小林氏:これ空き家をまた4万円で借りて住んでたんですよ。この経験ていうのは得難くて、やっぱりローカルに突っ込んでって初めて見える景色があるなと。だから、私はすごく景色論って重要だと思ってて、東京の真ん中でやっぱりローカルベンチャー語っても、最後は分かんないですね。だからみんなで、ああいう拠点に行って、地域の景色は何が見えるのかとか。そこの人間関係は何に困ってるのか。というとこをみんなで行く拠点ができるっていうのは、ありがたいことだと思います。

井上氏 : ものすごい気持ちいいですよね。あとLiving Anywhereやってて、あんまり地元の人から「お前らなにもんだ」みたいに排除されたことないんで、「本当にそんなのあるの?」っていう感覚なんですけど、結構多いんですか?

小林氏 : 特に磐梯山は別荘地が結構あるので、そこにワサッと人がやってくるっていうのは結構受け入れてくれますね。だから、もっと違う場所に行くと、そういう問題も起こってくると思うんですけど、その辺は後で話すことになるであろう政治行政の役割ですけど、行政はそのために場の提供者であるべきです。

 今までの行政って、予算付けてやってくれっていう、行政自体が実践するっていうのが役割だったんですけど、そうじゃなくて、行政のお墨付きを付けて、場を提供するからいいよね? この上でどうぞ自由に踊ってくださいっていうプラットフォーマーの役割にこれからなっていく。それを実は高島さんはうまくやってる。一方で政治家はその場の中に入ってくる、うまくコーディネートするコーディネーターにならなきゃいけないっていうのがポスト平成の政治行政の在り方だと思います。

高島氏 : 今例えば、実証実験フルサポート事業(福岡市)っていうのをしているのはどういうことかっていうと、例えばみなさんが、これは非常に地域のために役立つと思うという、そんなサービスがあるっていうときに、行政は何をしているかっていうと、お金出してこれやってくださいではないんですね。

 これは行政と一緒になって地域の中に入っていって、それで地域のみなさんを説得していく。ここで、こんなことをやってみようみんなで。そうするとこの地域の課題、解決するかもしれないね。だから、サービスを持ってきたときに、実際サービスを行っていくのに一番、この福岡の中でも適した地域はどこかっていうところをセレクトしてあげて、そして、その地域に一緒に行ってあげて。それで、一緒にお話をして地域をまとめて、それで、じゃあこれを一緒にやってみましょうっていうことを行政が一緒にする。その場を作るっていうだけで、まず地域のみなさんの反応が全然違うわけですね。

 聞いたことのない横文字の会社がやってきて何をされるんだ。ではなくて、ちゃんと行政、福岡市もついてるんだったらとなって、これは相当大きな役割だし、いきなりベンチャーのみなさんが入ってくるのを、どこにどう問い合わせていいのか分からないっていう方多いと思うんですね。

 それで、mirai@っていう窓口一本にしちゃう。行政と一緒にやりたいこと。それから行政にこういう後押しをしてほしいこと、行政に規制緩和してほしい。とにかくそんなアイデアがあったらmirai@の一個のアドレスに送れば、それで「うちの方で処理するから大丈夫ですよ」っていう窓口を作って、こういう見える化をする。その役割。つなぎ役っていうか触媒っていうかね。つなぎやくに徹しているわけですね。

【「地方創生ベンチャーサミット2019 ローカルテック(地域×テクノロジー)の可能性 supported by KDDI(2019年2月3日開催)」の全体セッションの内容はこちら】
第1話 スマートシティ構想は分かりやすく市民に伝えなければならない
第2話 東京の真ん中でローカルベンチャーを語っても分からない
第3話 テクノロジーは地域の良さを可視化できる
第4話 やる気のある自治体の見える化が重要
第5話 スマートシティは人を幸せにするのか

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