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総務省消防庁コラム1

事例を知る 公安

「豊田消防式」防火管理者、消防計画届出関係 オリジナルひな型、チラシを作成愛知県[豊田市消防本部予防課]

(記事提供=総務省消防庁 広報誌『消防の動き』

(PR)=HOLG.jpが本になりました「なぜ、彼らは『お役所仕事』を変えられたのか?」

1 はじめに

 豊田市は、トヨタ自動車㈱の本社工場をはじめ、その関連企業を含め世界をリードするものづくり産業の中枢都市としての役割を担っています。一方で、市域のおよそ7割を森林が占め、四季折々に彩られる豊かな自然や、農産物を実らせる田園が広がる恵み多き緑のまちとしての顔も併せ持っています。人口は、約42万5千人で、愛知県一広大な面積を持ち、県のほぼ中央に位置しています。
豊田スタジアム周辺の風景
紅葉の美しい香嵐渓

2 現状と課題

 「職員が届出書類の窓口対応にかなりの時間を使っている。」、「防火管理者の業務はボリュームがあるが、本当に伝わっているか疑問だ。」などの意見が職員から上がっていました。また、防火管理者の選任指導等、査察の是正指導の強化により、これまで未届出であった事業所から届出され、届出件数が増加傾向にあります。その一方で、受付業務を行っている職員から、①届出書作成に係る市民の負担②届出書作成の指導に係る職員の負担③防火管理業務の理解不足(届出書類作成に手一杯で、内容の理解まで到達していない)という3点が改善すべき課題として挙げられました。

 防火管理者等の届出業務について、職員間で問題点を列挙し、改善すべき項目を次のように掲げました。
ア 既存の防火管理者等の届出書の記入例の見直し
イ 既存の消防計画のひな型の見直し
ウ 届出に必要な提出書類を示した、持ち物チェック票の作成
エ 防火管理業務の理解を深めるため、防火管理業務の中で重要な項目をまとめたチラシの作成
 以上の4点について作業を進めました。

《ア 届出書の記入例の作成》について
 既存の届出書の記入例は、細かい文字の説明で、どの記入欄の説明か分かりづらくなっていたため、レイアウト、文字の大きさ等を刷新し、どこにどう記入すればよいか一目で分かるようにしました。また、専門的な用語の項目(項判定、令2条適応等)は窓口で調べる旨を記載し、関係者の負担を減らしました。
届出書記入例
 また、立入検査時に届出書を手渡すことを考慮し、記入例と様式を合体させ、中央に切り取り線を入れたA3サイズの記入例を作成しました。

《イ 消防計画のひな型の作成》について
 既存のひな型はページ数が多く、それに伴い関係者が記載しなければならない項目も多くありました。そのため消防計画のページ数と記載項目を減らし、消防計画作成に費やす時間の短縮を図ることを考えました。ただし、ページ数を減らしたとしても、法令で定められた内容を網羅することは必須条件になるため、作成したひな型をメンバー全員で確認し、法令で定められた消防計画になっているかという点に重点を置き作業を進めました。

《ウ 持ち物チェック票の作成》について
 立入検査で防火管理関係書類の未届けを指摘された関係者の中には、何も書類を用意せずに窓口に来てしまう関係者がいました。当然、再度来庁してもらう必要があり、関係者にとって負担となっていました。そこで、立入検査時に職員が関係者に持ち物チェック票を渡すことで、事前に必要な書類が確認できるようにしました。また事前に電話予約をしてから窓口に来るよう促し、届出に必要な書類を①から⑦までの項目に分け、職員がチェックして関係者に必要な書類を明確に伝えることができるようにしました。この持ち物チェック票は、届出するときに予防課へ持参してもらうこととしています。これにより、立入検査の指導によって関係者が届出に来たことが一目でわかり、立入指導をした職員、受付業務を行う職員、関係者をつなぐツールとして活用しています。

《エ 防火管理業務の理解促進》について
 前述アの届出書とイのひな型を見直したことで、市民、職員双方の届出に要する事務負担及び時間削減は効果があると確信していました。しかし、それでは届出の本来の目的である、防火管理業務についての理解を深めることができず、「届出」という行為だけで終わってしまいます。
 この問題を解決するために、届出完了時に配布するチラシを作成しました。これは、市民の防火意識向上を目的とし、防火管理者に“これだけは伝えたい”という観点から、『消防訓練の実施』、『消防用設備等の点検と報告』、『防火管理者の引継ぎ方法』、『増改築・用途変更時の消防用設備等の事前相談』の4点に絞った内容としました。
消防計画記入例
チラシ
 このチラシはカラーで作成しインパクトを残すとともに、掲示しておくなど、届出書類関係一式とともに大切に保管してもらうよう指導しています。

4 成果

「①届出書作成に係る市民の負担」「②届出書作成の指導に係る職員の負担」に対する成果

・事前に書類を作成して提出に来る関係者が増えたため職員の負担が減った。
・関係者が窓口で届出書類を作成する時間が短縮された。
・持ち物チェック票を持っている関係者からの事前相談は、必要書類の指導が円滑にできるようになった。
・持ち物チェック票を作成したことで必要な書類が明確になり、立入検査を実施する職員が、防火管理者等の届出指導で迷うことがなくなった。

「③防火管理業務の理解不足」に対する成果

・届出完了時に職員がチラシの内容を説明することで『消防訓練の実施』、『消防用設備等の点検と報告』などの必要性を直接訴えることができた。
持ち物チェック票

5 おわりに

 今後の課題は、防火管理業務の理解促進であると考えています。チラシに掲げた項目の、消防訓練の届出率と消防用設備等点検の実施率を分析・検証し、それぞれの割合の向上に繋げていく必要があります。
 今回作成した、記入例、ひな型などは、今後も検証を重ね、火災を発生させないこと、発生したとしても被害を最小限に抑えることを目標とし、防火管理業務全般に役立たせることを目指します。

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