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長井さん6

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【神戸市 長井伸晃 #4】人も予算もないから機動的に動ける

Facebook投稿へのコメントから実現

加藤:Uber Eatsと出前館という大きなプラットホームとまず連携し、それでも足りない面を補うためにモビマルさんとのキッチンカー提供実験に結びついたんですね。

モビマル連携 参照:神戸市のリリース

長井氏:はい。去年「つなぐ課」で、まちの賑わい創出に関する取り組みのリサーチをしたんです。神戸の街は駅前は賑やかなんですけど、そこからちょっと歩いたら寂しいところがある。いろんなところで賑わいがあるような街にしないとあかんだろ、と。
 規制緩和も含めて可能性を探ってほしいと言われたのですが、市長からはキッチンカーのような食に限らず、街中で例えばアーティストとかがパフォーマンスできるような場も作ったほうがいいという話があったんですね。
 それで、プレイヤーになってくれそうな人たちにアプローチする中で、モビマルさんと知り合ったんです。その後、Uber Eatsの会見についての投稿をFacebookにしたら、そのコメント欄にモビマルさんが「私たちにもできることがあれば」と書き込んでくれたんです。
 そこで、キッチンカーというものの活用と足りないと思っていたパーツが頭の中でつながって、すぐにオンラインでブレストしましょうと、一緒に企画を考えました。さらに、ニュータウンが高齢化してきてオールドニュータウンって言われていますけど、そういったエリアにキッチンカーが入ることで、コロナ対策だけでなく街の利便性が上がり、新しいまちづくりの形になるんちゃうかな、と思いました。そこで都市計画をやっている部署に声をかけました。また幸運なことに、その都市計画課長が普段からめちゃくちゃ付き合いのある人だったんです。
 それで、思い付いたら躊躇なく電話することができて、「一緒にやりませんか」と提案したら、「何か貢献できることがあれば」と前向きに反応してくれました。

買い物難民エリアを客観的にあぶりだす

加藤:具体的にはどのような連携スキームを作ったのでしょうか?

長井氏:キッチンカーをレンタルしたり、出店しようと思ったら、もちろん使用料や出店料がいりますが、住宅団地という本当にお客さんとして人が来てくれるかどうかわからない場所での出店というのはリスキーじゃないですか。それを市が補助して、キッチンカーを出店する費用をゼロにする。あとは家庭支援の文脈で、1商品100円まで割引してもらう費用も助成しました。
 都市計画課が入ってくれてよかったと思うのは、スーパーや出前館とかの配達エリアを地図上に落とし込んで、他の商圏にかぶらないようにしっかりと分析したうえで実施場所を決めることができたことです。コロナの影響で買い物難民になっている可能性の高いエリアを客観的にあぶり出して、「何でそこなん?」と言われないようにしました。

キッチンカー2

スピード感と庁内調整とのバランスが難しい

加藤:3つ連携の取り組みで、難しかったことはありましたか?

長井氏:もちろん自分だけではできない部分があって、そんな中でスピード感をいかに出すか。根回しも含めて、その辺がハラハラしました。

 商業流通課をはじめ経済観光局は、まさにコロナの経済対策のど真ん中にいたので、なかなか無理を言えない。一方で早くしないといけない。上にあげるスピード感もそうです。局長レベルの人も知っているので、行った方が早かったりもするんですけど、それをすると現場の顔を潰しちゃうことになる。バランスが難しかったですね。

 あとは予算をどこから引っ張ってくるかとか、スピード感をもって庁内調整をやるというのとか、1個かけ違えたら大変なことになる。そこで止まったら、途端にスピードが落ちるから、リスクを抑えるために先回りしました。僕の上司から話をしてもらうことで、スムーズに行くこともありました。自分1人だけで調整しようと思わないことが大事でしょうね。

人も予算もないから機動的に動ける

加藤:今予算の話がありましたが「つなぐ課」の予算として実行することもできるんですか?

長井氏:それは基本ありません。それができたらいいんですけど、そのような予算もついてないし。しかも僕には部下もいないので、やってくれる課を見つけて、実務を担当してくれる人もお金も出してもらう。それが難しいところです。

加藤:「つなぐ課」が予算を持たず外に切り出され、予算を持っている部署と調整するというのは、縦割りの弊害が余計に生まれないんでしょうか?

長井氏:「つなぐ課」はとにかく機動性を持ち、遊撃部隊として活動することが最重要視されているので、お金も人もつくとその機動性が落ちるということやと思うんです。

加藤:「つなぐ課」の人の負担が大きくないですか? 予算はないけど調整はしなきゃいけない。例えば、商業流通課に長井さんが入って、遊撃部隊みたいな感じでやるほうが、組織を動かしやすい面もあるのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。

長井氏:そうですね。でも企画調整局にいることで俯瞰して見えるというのが大きいと思います。事業部局側に着いちゃうと、どうしてもそっち側の目線になるので動きにくくなるかもしれませんね。もちろんその目線も大切ですが、知らないからこそ切り込んでいけるということもあるんじゃないかなと思います。
(編集=市岡ひかり)

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※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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