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「あつまれ どうぶつの森」を活用した防災情報の発信[東京消防庁防災安全課]

総務省消防庁コラム1

(記事提供=総務省消防庁 広報誌『消防の動き』

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はじめに

 東京消防庁では、当庁公式ツイッター及びフェイスブックにおいて、「あつまれ どうぶつの森」(Nintendo Switch、任天堂株式会社、以下「あつ森」)を活用した防災情報の発信を開始しましたので紹介します。

1 新型コロナウイルス感染症による防災訓練等への影響

 当庁では、年平均230万人以上に対して防災訓練指導を行ってきましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、各業務の実施には慎重な対応が必要となっています。今年2月から防災訓練等の実施件数はごくわずかに留まり、このような状況が長期的に継続すれば、都民の防災意識の低下や災害発生時の防災行動力の低下が懸念され、対面しない形での普及啓発をより強化する必要性が高まっていました。

2 「あつ森」の概要と防災との関連性

 「あつ森」は、とある無人島の最初の移住者となって、好きなものに囲まれながら、どうぶつたちと気ままなスローライフを送るというゲームで、今年3月に発売以降、外出自粛の影響もあって世界的な大ヒットとなっており、子どもから大人まで幅広い世代に親しまれています。
 ゲーム内でさまざまなものをデザインできる「マイデザイン機能」を活用したファッションブランド、美術館等の企業、団体による情報発信も盛んで、情報発信のプラットフォームとしての活用も広がっています。
 また、ゲームを進めていく上でプレーヤーがこだわる要素である家具の配置、家づくり、街づくりなどは、いずれも消防防災に関連が深く、普及啓発のツールとして活用するチャンスが潜んでいました。

3 発案から実現までの経過

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、生活様態や社会のあり方が変容していく中、当庁防災部では、これからの防災を見据えた新規事業の企画提案コンペを行いました。
 コンペでは、防災部全職員が自由な発想で建設的な事業提案を行い、この中で、震災対策課の職員から「防災週間にあつ森内で防災訓練」という提案がありました。この提案が防災部内で高い評価を受けたため、関係する職員でプロジェクトチーム(以下「PT」)を作り、直ちに事業に着手することとなりました。
 PTは、さっそくゲーム開発者である任天堂株式会社に企画提案書を持ち込み、ゲーム内で地震等の災害を発生させる、防災訓練が実施できる島を制作するなどの提案を行いましたが、ソフトの改修が伴うため難しいとの回答でした。
 一方で、マイデザイン機能を活用して各企業等が行っているSNS発信等については、一定の条件を満たせば問題ないとの見解が得られたことから、当庁公式ツイッター及びフェイスブックを活用して、防災情報を発信するという方向で実現を目指すこととしました。
 PTでは、移住する島の名前を「ボウサイ島じま」に、島に移住して防災情報を発信する職員の名前を「あつお」とした上で、各種制服のマイデザイン化、消防防災に関連した画像の作成に取りかかりました。

4 情報発信の反響

 防災週間が約1箇月半後に迫る7月16日、第1回の投稿として、「マイデザイン機能」でデザインした各種制服を背景に、職員が何かを考えている画像(図1参照)を投稿したところ、大きな反響があり、新聞(夕刊)の一面を飾るなど、このような取組に対する社会のニーズが高まっていることがうかがえました。
 なお、同様の取組は、行政機関としては当庁が初めて(東京消防庁調べ)となります。
 11月11日現在、情報発信は29回行っていて、若い世代を中心に、対面式の防災訓練参加者とは違った層に対しても、一定の訴求ができているものと思われます。最も反響が大きかったツイートでは約2.1万のいいねがあり、「これはわかりやすい」、「対策をしなければ」といったリツイートがありました。

「あつまれ どうぶつの森」を活用した防災情報の発信1

 多くのマスメディアに取り上げられ、テレビ、新聞などで全国に報道されたことで、一定の認知度を確保した「ボウサイ島」の取組ですが、消防防災への関心を集めること
を目的とした各種制服のマイデザイン公開と、実際の防災対策に繋げることを目的とした普及啓発内容をミックスするなどして、計画的に情報を発信しています。(図2、3、4参照)

「あつまれ どうぶつの森」を活用した防災情報の発信4

 ツイッターを主体としているため、文字数はハッシュタグ(#)やURLを含めて140文字までとなります。限られた文字数の中で、徹底的に文章をそぎ落とさなければならないため、ツイッター及びフェイスブックを主管する広報課と連携し、本当に普及啓発したい内容と、多くの都民の目に留まりやすい(キャッチーな)内容とを比較し、これまでの反響の分析などを踏まえて細かな推敲を行っています。
 また、マイデザインについても、「東京消防庁オフィシャル」のものとして、可能な限り精細に再現するよう心がけています。マイデザインの公開が主眼ではありませんが、公開するものが細部までリアルでおもしろく感じられるからこそ、ほかでは真似できないものとなり、当庁の情報発信を見てくれる人が増えてくるものと思っています。

6 消防署における活用

 制作した画像及び動画については、一定の条件下で、管内の各消防署が自由に活用することができることとしています。
 すでに多くの消防署において、署HPやチラシ等への掲載が行われていますが、ゲームの仕様を誤解させるような画像の修正は行わない、ゲームの娯楽的要素を強調しないなどの点に注意して活用しています。また、ツイッターで発信した文章については、文字数制限の関係でやむをえず割愛している重要な部分もありますので、消防署で活用する場合には、既存の資料を引用するなどして、必要な補足を行っています。
 なお、この取組は、当庁が一ユーザーとしてゲームを活用して作業を行っているものであり、当庁が任天堂株式会社と「コラボレーション(協業)」等を行っているわけではない点に注意が必要です。

7 応用的な活用

 ツイッター上の反応は9月ごろにピークとなりましたが、現在は情報発信やマイデザインの公開だけに留まらない応用的な活用を行っており、PTの活動する範囲は拡大を続けています。
 1つは、リアルとの融合です。ゲームだけでは届かない都民への訴求力を高めるため、現実世界とミックスした情報発信を行っています。例えば、本物に近い辞令を作成し、あつお君を10月1日に消防副士長に任命するというツイート(図5参照)、本物の当庁防災部長からボウサイ島に対してオンラインで激励が行われたというツイートなどです。
 もう1つは、他組織と連携した情報発信です。例えば、気象庁にボウサイ島の地形分析を依頼した上で、「危険度分布」を広報するというツイート(図3参照)、NHKの記者がボウサイ島を訪問して、あつお君に直接取材するというツイートです。ゲーム内で行われたテレビ取材はおそらく世界初で、取材の模様は秋の火災予防運動初日の11月9日に、「おはよう日本」で放送されました。
 数多くの団体が「あつ森」を活用したマイデザイン公開等を行う中、これらの応用を加えつつ消防ならではの重要な防災情報を発信し続け、他の活用団体との差別化を図っています。

おわりに

 PTの中でも、防災情報の発信を目的としているとはいえ、本当にこの事業が実現するのだろうかという漠然とした不安もありました。しかし、強力に推進してくれる上司、熱意ある同僚、そして関係各課の多大なる協力にも恵まれ、発案から実現まで、非常にスピーディに進めることができました。
 最初のツイートが発信され、都民からリツイートなどの反響が増えていくのを目の当たりにして、大きな達成感を感じることができました。
 今回の取組で、消防機関が行う普及啓発の一つの新しい形を示すことができたと思います。生活様態や社会のあり方が変容していく中、私たちも既存事業を柔軟に点検し、地域住民や社会が注目する媒体を効果的に活用することが重要なのではないかと思います。
 なお、当庁では、「あつ森」の活用と並行して、防災訓練動画のYouTube配信、当庁HPの学習コーナーの充実等、対面しない形での普及啓発を推進しています。これらの各種取組を通じて、一人でも多くの都民の防災への関心が高まり、実際の行動(防火防災訓練の参加や各種防災対策の実践)につながっていくことを期待しています。
 動画も多数!!東京消防庁公式Twitterをぜひチェックしてください!!
https://twitter.com/i/events/1318116573136130048
「あつまれ どうぶつの森」を活用した防災情報の発信5
(文責 東京消防庁ボウサイ島 あつお)

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